Lesson64

自殺や欝、アレルギー疾患との喫煙関連




喫煙と精神衛生状態という要素から、喘息と自殺念慮の関連を説明できる可能性がある

うつ病や不安のような精神疾患のある喫煙者において、喘息と、企図を伴う自殺念慮との間に関連があることが、研究で示唆された
Laurie Barclay

【5月20日】うつ病や不安のような精神疾患や精神状態を有する喫煙者において、喘息と、企図を伴う自殺念慮との間に関連があるという研究結果が、『Annals of Allergy and Asthma Immunology』5月号で報告された。

「呼吸器疾患と自殺念慮および自殺企図との間に関連があることを示すエビデンスが存在する」と、ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学部(メリーランド州ボルチモア)のDiana E. Clarke, MSc, PhDらは述べている。「これらの関連の基礎にあるメカニズムをより理解するには、喘息のような特定の呼吸器疾患と、自殺念慮および自殺行動との関連を検討する必要がある。さらに研究では、喘息と自殺念慮および自殺行動との関連に関与する可能性のある多くの一般的リスクファクターについて検討する必要がある」。

本研究の目的は、米国の成人における喘息と、企図を伴うおよび伴わない自殺念慮との関連を検討することであり、特に喫煙、ニコチン依存症、うつ病、不安、およびアルコール乱用の関与について検討することであった。

研究者らはUS National Comorbidity Survey Replication(US-NCR)を用いて、18歳以上の5692人のデータの記述的分析と多変量ロジスティック回帰分析を行った。

生涯有病率の推定値は、企図を伴わない自殺念慮が8.7%、企図を伴う自殺念慮が4.2%、喘息が12.0%であった。企図を伴う自殺念慮および喘息の頻度の上昇と関連した因子は、女性、現喫煙者、うつ病、不安、アルコール乱用、およびニコチン依存症であった。

喘息は、企図を伴う自殺念慮と関連したが(p<0.001)、企図を伴わない自殺念慮とは関連しなかった。喘息と、企図を伴う自殺念慮との関連は、喫煙、ニコチン依存症、年齢、性別、および人種/民族について調整すると、16%低下し、うつ病、パニック障害、およびアルコール乱用について調整すると、12.4%低下した。これらの調整を独立して、または組み合わせて行っても、喘息と、企図を伴う自殺念慮との間には、依然として有意な関連(p=0.02)が認められた。

「喫煙および現在の精神衛生状態は、独立して、喘息と、企図を伴う自殺念慮との関連の原因のかなりの部分を占める可能性がある」と研究著者らは述べている。「喘息と自殺企図の間の残りの関連のメカニズムをさらに解明するために、更なる研究が必要である。喫煙行動の修正、およびうつ病、不安、アルコール乱用、そしてもしかすると喘息の有効な治療は、自殺予防のための重要な方法である」。

この研究の限界には、因果関係を決定できない横断的データであること;自己報告による喘息の状態の妥当性が確認されていないこと;および因果関係の方向を決定する妨げにもなる喘息症状の最新性に関する情報が不足していることが含まれる。

「たとえ喘息の発症が自殺念慮または企図の発現より前であったとしても、タイミングに関する情報が不足しているため、ここで検討しなかった他の中間因子が、観察された関係の原因である可能性があったかどうか決定することはできない」と、研究著者らは結論づけている。「したがって、これらの複雑な関係を解明するために、できれば全国代表標本を用いて、病気のメカニズム、喘息の発症および最新性、自殺念慮、ならびに自殺企図に関する情報を含む、比較的長期にわたるデータを用いた研究を実施することが絶対に必要である」。

本研究は、米国国立精神衛生研究所、米国国立薬物乱用研究所、カナダ保健研究機構の博士課程修了特別研究員賞、およびトロント大学精神医学部門の公衆衛生特別研究員賞による支援を受けた。US-NCRは、米国国立精神衛生研究所;米国国立薬物乱用研究所;薬物乱用精神衛生管理庁;Robert Wood Johnson財団;およびJohn W. Alden Trustによる支援を受けている。


(2008年5月20日 記事提供 Medscape