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音声認識は自動車のUIの要、VWがAmazonとタッグ クルマのパーソナライズ化も


米Tesla社とパナソニック、世界最大の電池工場を稼働

2017年01月05日 15:23

2017年1月4日、米Tesla Motors社(以下、Tesla社)はパナソニックと共同で、米ネバダ州で世界最大のリチウムイオン2次電池工場「Gigafactory(ギガファクトリー)」を稼働させました。2014年6月から建設を進めてきた同工場はこのほど竣工し、リチウムイオン2次電池のセルの生産を開始しました。

 工場のオープニングセレモニーには、Tesla社の会長兼最高経営責任者(CEO)のElon Musk氏とパナソニック社長の津賀一宏氏が出席。その後、共同会見を開きました。


図1 Tesla社のElon Musk氏(真ん中)とパナソニック社長の津賀一宏氏(右)

 「ペンタゴン(米国防総省の本部ビル)の3倍以上のサイズになる世界最大の工場で規模のメリットを追求し、電池を低コスト化する。長距離走行できる電気自動車(EV)を安価にして、みんなの手が届くようにしたい」。Musk氏はこう強調しました。

 「電気をためてクルマが走る時代が来る。社会を変えるためには電池をいかに有効活用するのかが大事で、だからこそパナソニックはGigafactoryへの投資を決断した」と津賀氏は語りました。

 Gigafactoryへの総投資額は50億米ドル(約6000億円)で、パナソニックの投資額は1500億~2000億円程度になると見られます。現在は工場全体の約30%が完成した段階で、段階的に投資を続けて生産能力を拡大します。


図2 Gigafactoryの外観。一部で生産を開始したが、まだ建設中の建物が多い

 同工場が生産する電池は、Tesla社が2017年半ばに量産を開始する予定の小型セダンのEV「Model 3」に搭載される予定です。「2170」と呼ばれる直径21×長さ70mmの電池で、現在の主力車である中型セダンの「Model S」や多目的スポーツ車(SUV)の「Model X」向けの直径18×長さ65mmの電池よりも一回り大きいものになります。セル当たりの容量を高めるのと同時に生産効率も向上させられるとします。


図3 Tesla社の小型セダンのEV「Model 3」

 Model 3のベースモデルの価格は3万5000米ドル(約416万円)から、と手ごろです。Tesla社のModel SやModel Xの半額程度の水準になります。

 EVの低コスト化のカギとなるのが、部品コストで最大とされる電池コストです。電池コストを大幅に引き下げるのに、Gigafactoryが重要な役割を果たします。集中生産で規模のメリットを追求することに加えて、パナソニックなどの電池メーカーや材料メーカーと協業して、材料から電池セル、電池パックまでを一貫生産することで、電池パックのkWh当たりのコストを30%以上削減します。

 電池コストの低減で車両の本体価格を安くしつつも、Model 3は1回の満充電で走行可能な距離(以下、航続距離)を215マイル(346km)以上にします。EVの課題とされる航続距離を十分に確保しています。

 Model 3は既に37万台以上の予約を獲得しています。米国での予約金は1000米ドル(約12万円)で、新規予約する場合の引き渡し時期は2018年半ばごろを見込んでいます。

 好調な予約を受けて、Tesla社はModel 3の量産拡大を当初計画から前倒しします。米カリフォルニア州のフリーモント工場では、EVの生産能力を2018年にも年間50万台にします。フリーモント工場はTesla社が買収する前は、トヨタ自動車と米General Motors社の合弁工場「NUMMI」でした。当時は年間50万台の生産能力を持つ工場だったため、Model 3の増産は十分可能とみられます。

 

EV:早くも追われる立場になったテスラ

2017年1月2日

テスラへ挑む新EVがCES2017に登場

まずは下の映像。ベントレー・ベンテイガ、フェラーリ488GTB、そしてテスラ・モデルX P100Dという並み居るハイパフォーマンスカーに、カムフラージュしたクルマが0-60mph加速対決を挑んでは勝利し、最後に「MORE TORQUE TO COME」と挑発しています。公開したのはFaraday Future(以下FF社)というアメリカのEVベンチャーで、なんでも同社は元ジャガー・エンジニアのニック・サンプソン、元BMWのデザイナーであるリチャード・キムら、元大手自動車メーカーにいた人物が独立して立ち上げた企業で、LeTv社という中国のIT企業が出資しているようです。

FF社は2016年1月のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)にFFZERO1というコンセプトEVを出展してその存在が知られるようになり、まもなく開幕するCES2017にも、おそらくこの映像のモデルなのでしょうが、新たなモデルを出展するようです。同社のEVの基本構造は、ラダーフレームがあり、ホイールベース内のフロアにバッテリーを敷き詰め、その上に自由なスタイルのボディパネルを被せ、駆動はRWDでも4WDでも自由自在という、まさにテスラのやり方そのまんまです。というかEVの理想のレイアウトを追求すると、だれが考えてもだいたいこんな感じになるのでしょう。

まっすぐの速さを競うのはいささか子供っぽいような気もしますが、わかりやすく高性能をアピールするには適しているのかもしれません。アメリカだし。それにテスラ・モーターズもつい最近まで加速性能を強調していました。ボクサーの挑戦者は事前の記者会見の際には最大限威勢よく振る舞うと相場が決まっているのです。

一時は雨後の筍のごとくたくさん生まれたEVベンチャーですが、わりとすぐ消え、残ったのはテスラくらいです。ここへきて、じゃあテスラと同じようにやればいいんだと、同じようなレイアウトで、より速いモデルをつくるフォロワーが出てきたということでしょうか。誰かが成功したらあとに続こうとする者が出てくるのは当然です。今後FF社が市販にこぎつけ、その内容が速さのみならず、使い勝手、快適性、安全性、高度運転支援機能など、総合的な魅力を備えていれば、テスラのシェアをいくらか奪うかもしれません。

EV進化のためにテスラのライバル成長を望む

速さのみならず、使い勝手(航続距離や充電場所、所要時間、料金などを含む)、快適性、安全性、自動運転機能など、総合的にテスラを上回るのはすぐには難しいと思いますが、テスラもつい最近まで、既存の高級車のシェアを奪うのは難しいと言われていましたから、FF社にも可能性がないわけではないでしょう。

実際、ポルシェ ミッションE、アウディ e-tronクワトロ、メルセデス・ベンツ ジェネレーションEQ、そしてジャガー I-PACEと、プレミアムブランドがコンセプトEVを相次いで発表しています。どれも市販前提の現実的なモデルばかり。伝統ある老舗がテスラを意識しまくり、反応しまくっているわけです。

わずか十数年の間に、できないと言われたことをいろいろやって自動車業界をかき乱し、早くも守りの立場になるなんて。このスピード感自体、テスラが持ち込んだもののひとつですが。ただ、テスラはモデルXをもってEVの高性能は証明できたとして、今度は低価格のほうへ舵を切ると同時に、自動運転技術をさらなるレベルへと引き上げようとしています。彼らに守りの意識はないのかもしれません。

FF社の映像をたまたま見て、テスラの歩みを思い出しました。ともあれ、EV全体の進化のためにも、FF社にはうまくやってテスラの直接的ライバルに成長してもらいたいです。メルセデス・ベンツにはBMWが、フェラーリにはランボルギーニが、文春には新潮が、ガッキーには長澤まさみが必要なのです、多分。というわけで、2017年以降も引き続きEVウォッチを続けていきたいと思います。


 

 

 

 

 

 

EV:2016.12.29レスポンス レポート:2017年、トヨタが本気になると日本はイッキにEV大国化する? 小沢コージ

2016年12月29日

2017年発売のプリウスPHVに注目せよ

すっかり年末。あといくつか寝たらお正月ですよ。いやもう早いもんです。

さて、2017年の自動車界を勝手に予想すると、遂にトヨタがBMWと組んで本格スポーツカーを出すとか、ホンダが「NSX」の速いバージョンを出すとか、マツダがとうとうロータリーエンジン車のもうちょい現実的なコンセプトを発表する!? とかありそで無さそなウワサが飛び交ってますが、実のところ小沢の最大の注目は「プリウスPHV」です。現在、発売が遅れてる例の現行プリウスの電池増し増し充電可能版ですな。

既にプロトタイプには乗ってて、電池が旧型のほぼ倍の8.8kWhになってモード燃費EV走行60kmとか、ルーフに太陽電池も搭載できて一部完全エネルギー自給自足走行が出来るとか、興味深いポイント目白押しですが、小沢が本当に気になってるのは、コイツが2017年以降“事実上の日本最多販売EV”になるってことと、その読めない活用法です。

コイツはガソリンエンジンで自家発電できるPHVですが、もちろん外部充電もできるし、急速充電のチャデモ対応です。

プリウスPHVが売れると日本に充電クライシスが発生する!?

しかし、一番のポイントはコイツがプリウスの進化版だけに爆発的に売れると予想されることです。お値段300万円チョイだった場合、日本だけでも月間1万台前後、年間10万台ぐらい売れるかもしれません。となったらみるみるうちに、日本マーケットはプリウス&プリウスPHV化していきます。

その時生まれる問題は充電クライシスです。トヨタの開発エンジニアは「ウチはなるべく自宅充電を推奨し、既存のピュアEVユーザーに迷惑をかけないようにする」と言いますが、せっかくのEV性能、広く使いたいのが人情でしょう。

となると日本の充電環境が破綻するのは目に見えています。今日本に約7万台走ってる「日産リーフ」+αだけでも全国の急速充電所では渋滞が起きてます。ここにプリウスPHVが2017年10万台! 2018年20万台!! と増えたらどうなるか? 小沢は充電ソケット取り合い事件の発生すら危惧しています。「オマエ、PHVだからそこどけ」「なにいってるんだ、コッチはずっと並んでたんだ!」みたいな。

しかしこれはトヨタが本気になったらイッキに解決できます。全国に5500店舗あると言われる大ディーラーネットワーク。ここに最低1店舗1つは急速充電器を付けるとしたら? そこに上手な課金システムを作れたとしたら、急速に日本のEV充電環境は解決するはずです。

トヨタが格安の月額充電し放題プログラムを売る時

もちろんそうなると電力不足が起こり、原発再稼働問題、火力発電のCO2排出問題が巻き起こるでしょう。でも、そこに自然エネルギー発電が加わったとしたら、誰も反対する余地はありません。

繰り返しますが現在トヨタはプリウスPHVのために充電環境を整える! というメッセージは発していません。しかし、事実上の“ハーフEV”たるプリウスPHVが大量に世間に出回ったとしたら…さらに万が一トヨタが本気で自前ネットワークを使った月3000~4000円・充電し放題プログラムを売ったとしたら、凄い事になるはずです。人はエコではなく、おトクのために動く生き物ですから。

もちろんそのための投資リスクとか考えるとトヨタもすぐにはやらないでしょう。しかし、もしや国が充電施設に一大補助金を投入すると決めたら状況は変わり、日本はイッキにEV化する可能性があります。

プリウスPHVが大量に売れるということは、そういう未来をも暗示している。小沢はそんな気がしてならないのです。

 

自動車業界における脳科学関連技術の応用可能性と事例

セミナー 2017年1月26日 開講予定

Ⅰ. 自動車業界における脳科学関連技術の応用可能性と事例
株式会社NTTデータ経営研究所 情報未来研究センター
ニューロイノベーションユニット マネージャー 茨木 拓也(いばらき たくや) 氏
【13:00~14:10】

近年の、ヒトを対象とした脳科学における各種計測技術と解析技術の発達は、産業界に大きなインパクトをもちうるものであります。特に、自動車業界のおいても国内外で様々な研究開発が展開され、自動車の設計・評価・販売に応用され始めています。
本講演では、「乗車感」の定量化の可能性や、車のデザイン、あるいは車に関する広告活動に脳科学が如何に変革をもたらしうるかを事例と共に紹介します。

  1. 人間計測技術の紹介
  2. 「車」に関わる脳の基礎
  3. 「車・運転者」の可視化
  4. 自動車のマスマーケティングへの脳情報解読技術の応用
  5. 質疑応答/名刺交換

Ⅱ. ウェアラブル脳波計を利用して、無意識下の情報を垣間見て応用する
国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)
脳情報融合研究センター 脳機能計測研究室 副室長 成瀬 康(なるせ やすし) 氏
【14:25~15:35】

我々は、いつでもどこでも誰でも脳波計測が可能にするためのウェアラブル脳波計を開発しています。これを利用することで、日常のシーンを含めた様々な状態で脳活動計測が可能となります。脳波を利用することのメリットの一つは、無意識下の情報を垣間見ることができることです。この無意識下の情報は産業応用を含め、様々な分野で利用可能であると考えています。
本講演では、ウェアラブル脳波計の概要を説明した後に、我々が研究している様々な応用について紹介します。

  1. ウェアラブル脳波計の概要
  2. 脳波を利用したマーケティング法
  3. 脳波を利用した外国語学習法
  4. 脳波を利用したワークロードの定量化法
  5. 質疑応答/名刺交換

Ⅲ. TVCMの最適化への表情解析・脳科学の活用
アウディジャパン株式会社 マーケティング本部
リサーチプロジェクトリーダー 後藤 晋哉(ごとう しんや) 氏
【15:50~17:00】

ハードとしてのクルマのコモディティ化が進む一方、自動運転の進化によるソフトウエア化も同時進行する自動車業界。また、平均して10年に一回しか購入されないなど購買行動が特殊な自動車消費者。
まず、その消費者の購買行動の特徴とそれに対するマーケティング施策を解説し、次に、新しい情報収集技術であるSSP(Single Source Panel)の活用による発見をもとに、表情解析や脳科学を用いて行ったTVCMクリエイティブの最適化へのトライを紹介します。

  1. クルマ購買行動の特殊性
  2. TVCMの認知バイアス
  3. 表情解析技術の活用
  4. 脳科学技術の活用
  5. 質疑応答/名刺交換

【2017年1月26日】開催お申し込み・詳細はこちらから
https://expotoday.com/event/10462/

 

EV:テスラとパナソニック、太陽電池の生産で合意 2017年夏開始

2016年12月28日 9:00

米国のEVメーカー、テスラモーターズは12月27日、パナソニックとの間で、ニューヨーク州バッファロー工場で太陽電池セルとモジュールの生産を開始することで合意した、と発表しました。

高効率な太陽電池セルとモジュールは、ソーラールーフ以外の製品向けのソーラーパネルの生産に使用される予定です。また、ソーラールーフの生産開始の際は、テスラの生産する各種ソーラールーフ用ガラスタイルにもパナソニックのセルが使用されます。

また、これらのソーラー製品は、テスラのエネルギーストレージ製品である「パワーウオール」や「パワーパック」とシームレスに統合します。なお、太陽電池モジュールの生産は2017年夏に開始する予定で、2019年までに1GWの生産能力に拡大します。

契約の一環として、パナソニックはバッファローの工場で必要な投資の一部を負担。テスラはパナソニックから、工場で生産された太陽電池を長期間にわたり購入します。

両社は、「この協業により、テスラのギガファクトリーにおけるEV用電池や蓄電池の生産によって構築された関係を、さらに強化し拡大させていく」とコメントしています。

 

EV:300万円の攻防 電動車、主役はEVかPHVか

2016年12月26日 6:30

 2020年から先を見据えた、クルマの電動パワートレーンの覇権争いが始まりました。2016年9月末に開幕した「パリモーターショー2016」で、プラグインハイブリッド車(PHV)から主役の座を奪ったのは電気自動車(EV)でした。ドイツのVolkswagen(VW)とDaimlerが相次いで“EVシフト”を宣言。一方のトヨタ自動車は、PHVを電動車両の主軸に据えます。

 EVが成長の芽を出しました。仕掛けたのはVWです。「パリモーターショー2016」で、誰もが予想しなかった構想をぶち上げました。

 「我々が新しい時代を提供する。(1回の充電で)最長600kmまで走れるEVだ。『ゴルフ』のディーゼル仕様車と同等の価格帯で、2020年に発売する」。大風呂敷とも思える宣言をしたのは、同社で乗用車部門トップを務めるHerbert Diess氏です(図1)。

図1 パリモーターショーはEV一色に。VWは新型のEVコンセプト車「I.D.」を初披露
図1 パリモーターショーはEV一色に。VWは新型のEVコンセプト車「I.D.」を初披露

 300万円ほどの価格で600kmの走行距離を備えるEVという目標は相当野心的です。Diess氏は「ガソリン車でもPHVでもない。EVを2025年までに100万台販売し、マーケットリーダーになる」と意気込みます。目標実現の第一歩として、パリでは新型のEVコンセプトカー「I.D.」を初披露しました。

 この動きにドイツDaimlerが同調。EV向けの新ブランド「EQ」を立ち上げ、2025年までに10車種のEVを市場に投入する計画を明かしました。

■欧州手動のPHVにトヨタが本格参戦

 これまで欧州メーカーはPHVに注力してきました(図2)。EVは「車両価格が高い」「走行距離が短い」「充電インフラが乏しい」という三つの課題を抱え、普及に時間がかかると見ていたからです。

図2 欧州勢はトヨタとは別の土俵で勝負。EV走行距離と車両価格を基に、日米欧の自動車メーカーの主なEVやPHVを整理した。これまでPHVを推進して欧州メーカーが“EVシフト”を始めた。トヨタは「プリウスPHV」を今冬に投入し、PHV市場の拡大を狙う
図2 欧州勢はトヨタとは別の土俵で勝負。EV走行距離と車両価格を基に、日米欧の自動車メーカーの
主なEVやPHVを整理した。これまでPHVを推進して欧州メーカーが“EVシフト”を始めた。
トヨタは「プリウスPHV」を今冬に投入し、PHV市場の拡大を狙う

 VWは2014年発売の「ゴルフGTE」を始め、グループ傘下のドイツAudiや同PorscheなどにもPHVを広く展開してきました。Daimlerは、2017年までに10車種のPHVを投入する計画を完遂する見込みです。ドイツBMWも主力車種にPHVを用意します。

 徐々にPHVの存在感が高まる中で、トヨタ自動車が動きました。今冬に、2代目となる新型「プリウスPHV」を発売します。開発責任者を務めた豊島浩二氏(同社Mid-size Vehicle Company MS製品企画本部ZFチーフエンジニア)は、「(次の全面改良までに)累計販売台数で100万台を目指す」と気炎を揚げます。

■目処がついた2021年規制

 いよいよPHVが普及期に入る――。こう思われていた矢先、欧州メーカーの“EVシフト”宣言が勃発しました。そもそも、欧州勢がPHVに取り組んできた最大の理由は排ガス規制への対応でした。乗用車におけるCO2(二酸化炭素)の平均排出量を、2021年に95g/km以下にするものです。

 厳しい目標ではあるものの、2021年規制は「高効率エンジン車とPHV、48Vマイルドハイブリッド車(HV)で対応する算段がついた」(エイヴィエルジャパンパワートレインエンジニアリング事業部の中島正博氏)ようです。

 果たして欧州メーカーの関心は、2025年以降の燃費・排ガス規制に移りました。キーワードは「ゼロエミッション」。新しい電動パワートレーン戦略を構築する上で欧州勢が中枢に据えたのが、排ガスを一切出さないEVなのです。

■EVの追い風は米・中、そして欧へ

 世界を見渡すと、確かにゼロエミッション車を求める動きが急増しています。先行するのが米国カリフォルニア州です。同州の「ZEV(Zero Emission Vehicle)規制」が2018年に強化されます(図3)。販売量の多い自動車メーカーは、一定数のEVか燃料電池車(FCV)を売らなければならなくなります。

図3 電動車両に関連する規制や政策の動向。米国や中国、欧州で、2020年ごろを境に規制強化や方針転換などがありそうだ
図3 電動車両に関連する規制や政策の動向。
米国や中国、欧州で、2020年ごろを境に規制強化や方針転換などがありそうだ

 しかも、電動車両の販売を代替する手段である「クレジット」(CO2排出枠)売買への疑問の声が増えています。ZEV規制の大義は社会全体でのCO2排出量の削減で、「クレジット売買での帳尻合わせは廃止すべきとの議論が出ている」(IHS Markitプリンシパルアナリストの波多野通氏)。こうなると、自らEVやFCVを販売せざるを得なくなります。

 巨大市場の中国では、「NEV(New Energy Vehicle)規制」の導入検討が進みます。EVやFCVの販売の義務付けやクレジット売買などZEV規制の内容を踏襲し、2020年に開始する目標です。

 米国と中国に続くのが欧州です。現在、2021年以降のCO2排出量の目標値についての議論は佳境を迎えています。検討案で最も厳しいのが、2025年に68g/kmまで引き下げること。こうなると、EVなしで目標を達成するのはほぼ不可能でしょう。目標値は「2017年前半には決定する見通し」(IHSの波多野氏)です。

 VWのEVシフトを後押しするかのような動きが、お膝元のドイツで幾つも起こっています。課題の一つだった充電インフラは、官民が3億ユーロ(1ユーロ=114円換算で342億円)を拠出し、2017~2020年に合計1万5000カ所の充電ステーションを整備します。

 2016年10月にはドイツ連邦参議院が、2030年以降にガソリンやディーゼルなどの内燃機関車の販売を禁止する決議を採択しました。法的拘束力はありませんが、走行中に排ガスを出さないゼロエミッション車の普及を後押ししそうです。

 EVを充電する電力は、再生可能エネルギーを使えるように環境を整備中です。ドイツにおける再生可能エネルギーの割合は、2015年は30%程度でした。同国政府は、2030年に55%、2050年に80%まで引き上げようとしています。

■PHVの「橋渡し」役は短命か

 これらに加えて、欧州勢のEVシフトを後押しする材料となっているのが米Tesla Motorsの躍進です。2016年3月末に発表した新型EV「Model 3」は、予約開始から1週間で32万台の受注を獲得しました。VWのある役員は、「EVには確かな市場があることが分かった」と語りました。期待と同時に、危機感も生まれました。このままでは、既存の自動車メーカーは市場を奪われるためです。

 こうした理由から、欧州メーカーはPHVへの注力だけでは不十分だと判断しました。PHVの開発を打ち切るわけではありませんが、EVへの「橋渡し」としての役割は当初よりも短くなるとの想定です。

 BMWの執行役員でパワートレーン研究部門を統括するMatthias Klietz氏は、「規制対策としてPHVは中期的に使うが、100%のゼロエミッション走行はできない。長期的にはEVとFCVの2択しかない」と断言します。

 EVシフトの急先鋒となったVWには、2015年9月に発覚した排ガス不正の悪いイメージを払拭して“新生VW”をアピールしなければならない側面もあります。その決意は、巨額の投資を伴うEV専用のプラットフォームの新開発を見れば明らかです。同社は「Modular Electric Drive Kit(MEB)」と呼ぶ電動化ツールキットの開発を進めています。

■電池価格は150ドル/kWhまで下落

 さらに、電池コストの低下も長距離走るEVには追い風です。電池とモーター、インバーターを主要部品として構成するEVは、エンジンや発電機を持つPHVに比べてシンプルな構成です(図4)。

図4 PHVとEVのシステム構成を比較した。各部品を示した四角形の大きさが、現状のコスト差を表している
図4 PHVとEVのシステム構成を比較した。各部品を示した四角形の大きさが、現状のコスト差を表している

 最大のネックとなっていたのがリチウムイオン電池で、EVの車両価格や走行距離の課題を生んでいました。それが、「ここ数年で一気に半値になった」(富士経済名古屋マーケティング本部主任の青山雅登氏)ことが状況を変えつつあります。

 2010年頃に800ドル(1ドル=105円換算で8万4000円)/kWh程度だった車載電池の価格は、2016年には150ドル(1万5750円)/kWhほどまで落ちました(図5)。価格下落を引き起こしているのが、韓国の電池メーカーであるLG ChemとSamsung SDIです。電池業界に詳しい矢野経済研究所インダストリアルテクノロジーユニット兼ソウル支社の稲垣佐知也氏は「韓国の2社が将来のシェア確保を見据えて赤字覚悟で契約をまとめている」と分析します。

図5(a) 劇的に価格下落したリチウムイオン電池。車載向けリチウムイオン電池セルの価格推移を示した。取材を基に日経Automotiveが推定した
図5(a) 劇的に価格下落したリチウムイオン電池。車載向けリチウムイオン電池セルの価格推移を示した。
取材を基に日経Automotiveが推定した

図5(b) 電動車両市場で特に存在感を示しているLG Chemの電池。写真はRenaultの改良新型EV「ZOE」の搭載品 例えば、米GMの新型EV「Chevrolet Bolt」の電池セルはLG Chem製で、コストは145ドル(1万5225円)/kWhです。2020年には100ドル(1万500円)/kWhを切る可能性も出てきました。

 それでも電池は高いです。VWは今回、「300万円で最大600km」という具体的な“仕様”を示しました。電池にかけられるコストはせいぜい、30万~40万円でしょう。必達目標を掲げることで、電池メーカーに常識を超えた奮起を求めた格好です。
図5(b) 電動車両市場で特に存在感を示しているLG Chemの電池。
写真はRenaultの改良新型EV「ZOE」の搭載品

■EVで60km走れるプリウスPHV

 一方のトヨタは、あくまで現実路線を貫きます。実質的に燃費を低減できるPHVの普及こそがCO2削減への道だと信じます。EVは「100km程度の近距離移動用。小型車に向くパワートレーン」(同社の技術者)との判断です。

 このため、FCVを除けば、あくまでPHVで電動化を進める考えです。プリウスPHVの開発責任者である豊島氏は、「PHVをHVに代わる次世代環境車の柱にしていく」と説明しました。

 新型プリウスPHVは、4代目を迎えたHV「プリウス」をベースに開発しました。性能とコストの両面で高い水準に達したHVシステムを流用することで、価格を抑えました。CO2排出量は確定値ではありませんが、パリモーターショーで22g/kmと明かしています。

 2016年10月末時点で明らかになっているのは米国での価格のみですが、2万7100ドル(284万5500円)からとしました(図6)。最大4500ドル(47万2500円)の補助金を踏まえると、HVのプリウスよりも安くなります。100万台の販売目標を達成できれば、「PHVシステムを他車種にも展開可能になる」(豊島氏)。

図6 HVのプリウスよりも安く。(a)先代車の失敗を受けて、新型プリウスPHVではHVのプリウスと外観を大きく変えた。ヘッドランプやバックドアが特徴的だ。(b)「Prius Prime」として発売する米国では、補助金を勘案するとプリウスよりも安くなる価格設定とした
図6 HVのプリウスよりも安く。(a)先代車の失敗を受けて、新型プリウスPHVではHVのプリウスと外観を大きく変えた。
ヘッドランプやバックドアが特徴的だ。(b)「Prius Prime」として発売する米国では、
補助金を勘案するとプリウスよりも安くなる価格設定とした

 日系メーカーでトヨタと戦略が近いのがホンダです。新型PHVの2018年投入に向けて開発を急いでいます。EV派だった日産自動車は、シリーズ式HVの新型「ノート」を経由してEVの再起動を図ります。

 様々な思惑が絡み合う自動車メーカーの電動パワートレーン戦略に対し、部品メーカーはEVとPHVを両睨みできる部品の開発を強化します。

 電動車両の主役はEVかPHVか――。試金石となるのがプリウスPHVの売れ行きです。「大衆電動車」を巡るVWとの開発競争で、先手を打ちました。欧州勢がEVを投入する2020年までに確かな支持を集められるのでしょうか。販売が振るわなければ、一気にEVへ流れる可能性すらあります。車両価格の攻防ラインは300万円。2025年以降の自動車業界の勢力図を決める戦いが始まりました。

(日経Automotive 久米秀尚)
[日経Automotive2016年12月号の記事を再構成]

Dr.堤より
まだ、リサイクルが確立していない、リチウム電池が、大量に、廃棄されだしたら、どうなるんだろう?

 

EV:VW社、将来のモビリティービジョンを発表へ

2016年12月15日 17:43

 ドイツVolkswagen(VW)社は2016年12月14日、2017年1月に米国ラスベガスで開催される展示会「CES 2017」(2017年1月5~8日)で、将来のモビリティージョンを発表します。人やクルマと周辺環境のネットワーク化に焦点を当て、インテリジェントなコネクティビティー(接続性)を提案し、持続可能なクルマ社会を目指します。

 現在、VW社のクルマは、ユーザーのスマートフォンと簡単に接続できます。今後は、同社のユーザーIDを使ったサービスと組み合わせることで、オンラインサービスをさらに進化させます。

 新しいディスプレイーと制御システムのコンセプトも発表します。2015年のCESで発表した「Golf R Touch」と、2016年のCESで発表した「BUDD-e」のシステムを使って構築したものです。

 その他に、2016年の「パリモーターショー」で発表したコンセプト車「I.D.」を、北米で初公開します。電動車両用プラットフォーム「Modular Electric Drive Kit(MEB)」を採用した初めてのコンセプト車であり、電動車両とデジタルネットワークを組み合わせ、必要に応じて自動運転もできる制御システムを搭載します。

 

EV:Audi、信号が変わるタイミングを車両に知らせる技術を導入

2016年12月12日 11:46

 ドイツAudi社は2016年12月6日、信号が変わるタイミングを車両に知らせるVehicle-to-Infrastructure(V2I)技術を、米国ラスベガスに初めて導入したと発表しました。2016年6月以降に生産した、「Audi connect」搭載の「A4」と「Q7」で利用できます。同社は、将来的に米国の他の都市でもこのV2I技術を利用できるようにする計画で、いくつかの都市とインフラ整備に関して協議しています。

 Audi社は、信号機情報を転送するため米Traffic Technology Service(TTS)社と提携しました。公営交通管理センターが信号機のデータをTTS社に送ると、リアルタイムで4G/LTE通信などの高速インターネット接続を介して車載コンピュータに送信する仕組みです。

 「Time-to-Green」は青信号の残り時間や赤信号から青信号に変わるまでの時間を、車両のデジタル計器モニターやヘッドアップディスプレイに表示する機能です。欧州での実証試験では、ドライバーが信号機の情報を得ることで、赤信号で止まっている自動車が20%減少し、車の流れがスムーズになったといいます。また燃料使用量も15%節約できたといいます。

 信号機情報をナビゲーションシステムと組み合わせることで、燃料や電力を節約できる経路を設定したり、できるだけ赤信号に引っかからずに走れる速度を設定したりといったことが可能になります。電気自動車であれば、ブレーキ回生システムを効果的に働かせる走行パターンを設定することも可能になります。こうしたV2I機能は、将来、都市での自動運転の実現に不可欠になるだろうといいます。

 同社は欧州でもV2I技術の導入を予定しています。しかし、欧州では多様なテクノロジーが使われており、インフラも地域ごとに異なります。欧州全域では標準デジタルインフラがなく、統一データが取れないという問題があります。今後、データの互換性向上に取り組み、それが完了すれば導入できるといいます。

 

自動車の電子キーをコピーするデバイス、エンジン始動も可能

2016年12月12日 10:23

 全米保険犯罪局(NICB)は2016年12月7日、クルマの電子キーをコピーし、ドアの解錠だけでなくエンジン始動もできるデバイスの存在を確認したと発表しました。NICBは2014年にドアを開錠できるデバイスについて報告していましたが、最近確認したデバイスはエンジン始動も可能になっているといいます。

 NICBは、第三者のセキュリティー専門家を通じて海外企業からデバイスを入手しました。自動車メーカーや盗難防止部品メーカーが車両システムの脆弱性を試験するために開発されたものだといいます。「Relay Attack」ユニットと呼ばれるもので、いくつかのモデルでキーレスエントリーやプッシュボタンによるエンジン始動が可能でした。

 NICBが入手した「Relay Attack」ユニットは、リレーボックスとサブキーからなります。実験では、クルマの所有者が正規の電子キーでドアを施錠すると、近くにいた人が持つリレーボックスが正規キーの信号をコピーします。その信号をサブキーに送信すると、正規キーがなくてもサブキーでドアの施錠とエンジン始動が可能になりました。

 米国の大手中古車販売店のCarMax社と協力し、SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)やミニバン、ピックアップトラックを含む35車種の乗用車を試験したところ、19車種(54%)がドアの開錠が可能で、18車種(51%)がエンジン始動が可能でした。

 こうしたデバイスには異なる種類もあります。海外で販売され犯罪者が入手できるものもあり、高価なデバイスはより多くのモデルで開錠やエンジン始動が可能といいます。一つのデバイスですべてのモデルの開錠やエンジン始動が可能になるわけではありませんが、クルマの窃盗犯にとっては十分な機能を有しています。

 さらに、エンジン始動が可能になると、クルマの盗難だけでは済みません。ナビゲーションに登録してあれば窃盗犯に自宅を教えることになり、グローブボックスにガレージオープナーのリモコンが入っていたら、窃盗犯が自宅に侵入することも可能になります。

 クルマの盗難防止技術は過去25年間で進歩し、盗難件数を減らしてきました。しかし、窃盗犯はそれでも盗む方法を探し続けており、技術開発といたちごっこを繰り広げています。現時点でこの種のデバイスを使った盗難を防止する効果的な方法はありませんが、自動車メーカーは盗難防止の努力を続けなければなりません。また、クルマの所有者はこうした脅威を認識し、車内に貴重品をおいたままクルマを離れないなど、できる限りの注意を払う必要があるとしています。

 

EV:トヨタの次世代EVは歴史を変えるか…豊田佐吉の夢
【土井正己のMove the World】

2016年12月8日 11:30

トヨタが北米で市販した電気自動車「RAV4 EV」
 
豊田佐吉
 
トヨタ RAV4 EV
 
トヨタ RAV4 EVの市販モデル

トヨタが12月1日付で、EVに取り組む新体制をスタートさせました。豊田章男社長がEV事業企画室の統括を兼務するということだから、これは本物です。レクサスも豊田社長の「直轄地」となってからは、あの大胆なフロントグリルデザインが採用されるなど凄味が増しました。今回も、EVとしてトヨタがどんなクルマを出してくるのか、大変楽しみです。

◆初代「RAV4 EV」は1996年にデビュー

「トヨタはEVに出遅れた」というメディア報道もありますが、この見方は正しくありません。トヨタのEVへの取り組みは、実は、ハイブリッドよりずっと長い歴史があります。EV量産第一号は1996年で、『RAV4 EV』。日本と米国カリフォルニア州でデビューし、2003年まで販売されました。1995年には、このRAV4 EVが世界初のEVラリー「第1回スカンジナビア・エレクトリック・カー・レース」で優勝しています。また、米国ではつい最近まで、このクルマが電気スタンドで充電されている様子が確認されており、20万km以上の走行実績があったそうです。そして、社内的には、このクルマの開発チームが、初代『プリウス』の開発にも大きく貢献するなど、RAV4 EVが果たした役割は大きいです。

◆「佐吉電池」の研究は1925年から

トヨタの電気利用に関する歴史はさらに遡ることができます。それは「佐吉電池」への取り組みです。自動織機の発明で財をなしたトヨタグループの創業者である豊田佐吉は、1925年、画期的な蓄電池の開発を公募しました。「100馬力で36時間持続運転でき、重さ60貫(225キログラム)、容積10立方尺(280リットル)以内」という条件でした。懸賞金は100万円で、当時の初任給は75円程度ということですから、その額の大きさに世間は驚きました。佐吉は、飛行機にも利用できる電池を夢見ていたようですが、やはり無理がありました。しかし、佐吉の意思を継いだ豊田喜一郎は、1939年に蓄電池研究所を芝浦に作り、これが豊田中央研究所の母体(1960年設立)となっています。トヨタは今も「佐吉電池」の実現を目指し、電池研究を精力的に行っています。

◆次世代EVはどんなクルマになるか

そう考えれば、トヨタにとってEVそのものは、何も新しいものではありません。ただ、現在においては、航続距離で300~500kmを必要とすることから新たなバッテリーが必要となります。トヨタは、ハイブリッドカー用のバッテリーを当初、パナソニックと共同開発してきたので、今回再び、パナソニックから調達するという説もあります。しかし、可能性として考えられるのは「佐吉電池」です。社内での長年の電池研究成果を生かして画期的なバッテリーを独自搭載してくる可能性があります。個人的には、こちらの方に期待したいです。

次に楽しみなのはデザインです。EVはガソリン車と異なり、エンジンスペースなど気にしなくていいので、かなりデザインの自由度が高まります。また、ガソリン車よりも加速感が味わえることから、スポーツカーとしての位置付けも考えられます。豊田社長は自らもレーサーであることから期待は高まって当然です。ボディー軽量化を図るため、FRP(繊維強化プラスティック)も多用してくるでしょう。さらには、これも豊田社長が投資を決めたシリコンバレーでのAI研究所(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)の研究成果も、この新型EVに搭載してくるのではないでしょうか。

◆目指すはオリンピック

このようにトヨタにはEV研究の長い歴史があります。また、ハイブリッドカーを通じて培った電気利用技術には圧倒的な競争力があります。さらには、未来に向けたあらゆる研究開発が投資回収の時期に入ってきます。これを豊田社長が陣頭指揮をとり、世に送り出してくるクルマはEVの歴史を変えるものになるでしょう。2020年のオリンピックが、その舞台として用意されています。なんとも楽しみな話です。

<土井正己 プロフィール>
グローバル・コミュニケーションを専門とする国際コンサルティング・ファームである「クレアブ」代表取締役社長。山形大学特任教授。2013年末まで、トヨタ自動車に31年間勤務。主に広報分野、グローバル・マーケティング(宣伝)分野で活躍。2000年から2004年までチェコのプラハに駐在。帰国後、グローバル・コミュニケーション室長、広報部担当部長を歴任。2014年より、「クレアブ」で、官公庁や企業のコンサルタント業務に従事。

《土井 正己》

 

EV:EV開発は劇的に変わる
三菱自動車工業設計マスターの吉田裕明氏に聞く

2016年11月4日 9:56

参考:日経テクノロジーオンライン 近岡 裕=日経ものづくり

◎三菱自動車開発本部設計マスター(EVコンポ担当)の吉田裕明氏。量産型EV「i-MiEV」の“生みの親”。 電気自動車(EV)「i-MiEV」の量産で先駆けてEV市場を切り拓き、目下、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)「アウトランダーPHEV」の販売が好調な三菱自動車。量産型EV「i-MiEV」の“生みの親”と呼ばれる、三菱自動車開発本部設計マスター(EVコンポ担当)の吉田裕明氏にEV開発の可能性について聞きました。(聞き手は近岡 裕=日経ものづくり副編集長)

──日本にいるとEVをどうのように評価すべきか、難しいと感じます。HEVや高効率ガソリンエンジン車(以下、高効率エンジン車)が人気を集める中、EVは販売台数で大きな遅れを取っていると感じるからです。「EVは売れない」と言う意見も少なくありません。

吉田氏:EVが売れていないというのは、事実ではないと思います。例えば、米Tesla Motors社のEVは高級車ながら2000台/月以上が売れていると聞きますし、日産自動車のEV「リーフ」も日本で1000~2000台/月、世界で見るとさらにそれ以上売れています。三菱自動車のEV「MiEV」シリーズ(i-MiEV、「minicab-MiEV」「minicab-トラック」)はそこまではいっていませんが、アウトランダーPHEVは現在、1000~2000台/月が売れていて、販売好調です。

 「EVは売れない」という人は、販売ランキングの上位にあるHEVや高効率エンジン車と比較して言っているのではないでしょうか。日本で言えば、1000~2000台/月も売れれば、ガソリンエンジン車の中位のランキングに入ります。EVのインフラがまだまだ十分とはいえない中でも、売れるクルマは売れている。つまり、「売れているEVもあれば、そうではないEVもある」というのが、実態でしょう。

──確かに、日本ではHEVや高効率エンジン車ばかりが注目される一方で、ドイツのBMW社の「i3」や、Volkswagen社の「e-up!」「e-GOLF」など、EVを市場投入したり、予定したりする海外メーカーが目立ちます。彼らはなぜ、EVの開発に積極的なのでしょうか。

吉田氏:EVを開発しなければ、他のエンジン車(ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車など)まで販売できなくなる可能性があるからです。欧州の二酸化炭素の排出規制は年々厳しくなっています。2020年頃には、既存の技術の延長線上にある技術では解決できないほど、厳しい規制に対応することを自動車メーカーは余儀なくされます。この規制に対応できなければ、罰則として、自動車メーカーは自動車の販売を制限されてしまいます。この課題を解決する、極めて有効な1つの手段がEVなのです。

 もちろん、EV以外に解決策がないとはいいません。しかし、いずれにせよ、2020年頃に向けて、現状のクルマのパワートレーンを劇的に変えなければならない。その1つの技術としてEVを考えている自動車メーカーが、いつEVを開発・投入するかといえば、「今」ということになるのだと思います。

 こうした規制への対応に加えて、三菱自動車としては、他社ではなく「三菱自動車を選んでもらう理由」付けのために、EVの開発が必要だと考えています。当社には大手と同じようなクルマではなく、異なる“味(差異化)”が必要です。大手がHEVに力を入れる中、当社が同じくHEVを開発しても際立った特徴は打ち出しにくい。そこで、当社はEVやPHEVの開発に力を入れているのです。

──日本ではHEVの、欧州ではディーゼルエンジン車の人気が特に高い。こうした地域の市場特性や、会社の規模などにより、自動車メーカー間でEV開発には温度差がありそうですね。

吉田氏:そうでしょうか。実際には、日本であろうが海外であろうが、向かっている先は、そう変わらないと私は考えています。当社はEVの量産化で先駆けましたが、BMW社やVolkswagen社がキャッチアップしてきました。トヨタ自動車やホンダのような大手は、全ての環境車を手掛ける「全方位戦略」を採っています。その上、足下ではHEVが売れている。こうした中で見えにくいだけで、トヨタ自動車にもホンダにもEVの開発を手掛けている人がいる。要するに、どの自動車メーカーもEVの開発に本気で取り組んでいるというのが、現実だと思います。

 そう考える理由の1つは、EVは既に「大きな谷」を抜けている点にあります。つまり、技術面に関して量産化のための高いハードルを越えていることです。確かに、将来のクルマの選択肢は1つではありません。しかし、例えば燃料電池車(FCV)は、量産化のハードルをこれから越えなければなりません。車体を造る技術は、ある程度確立しつつあるかもしれません。しかし、水素インフラを整備するのは非常に大変です。例えば、水素スタンドは1基当たり数億円の費用が掛かると言われています。そこまで費用を要しない急速充電器ですら、日本に現在、2000台程度しかありません。FCVを普及させるには、いくつもの高いハードルをこれから越える必要があるのです。

──量産化の技術的課題を乗り越えたEVが普及するために、さらに解決すべき課題は何でしょうか。

吉田氏:航続距離とエネルギーの供給時間という2つの課題でしょう。エンジン車もFCVも、満タンにすれば航続距離が500kmを超えますし、ガソリンも水素も3分もあれば燃料タンクに供給できます。これに対し、例えばi-MiEVでは満充電の場合の航続距離(1充電航続距離)がJC08モードで120kmまたは180km(グレードによって異なる)で、充電時間は、出力が50kWの急速充電器を使っても30分程度かかります。Tesla Motors社のEVなどはi-MiEVの何倍もの容量のバッテリーを積んでいるので、その分、充電に要する時間も長くなります。

 しかし、既に1つの解はあります。ワイヤレス給電です。最初は駐車場のような所で使われると思いますが、将来的には、走行中のワイヤレス給電ができるようになるかもしれません。実際、韓国では万博においてワイヤレス給電で充電しながら電動バスを走行させました。日本でも研究開発が進んでいて、既に試験品レベルは完成しています。  走行中のワイヤレス給電が実現すれば、バッテリーを小さくしても、航続距離を長く、充電時間を短く、いや、充電時間を気にせずに充電することが可能になります。すると、現状ではバッテリーの積載量から小型車から中型車に限られているEVも、より大型のクルマに展開できる可能性が開けてきます。

 電波法などの法規制への対応やインフラ整備の課題はあります。特に、安全性が確保されなければ、実用化は難しい。しかし、ワイヤレス給電は技術的には可能な領域にあるのです。

──ということは、既に形が見えている技術を全て活用すれば、EVが売れる環境は整うということでしょうか。

吉田氏:今、EVの購入に二の足を踏む人は、既存のエンジン車に乗っている感覚をベースに、「充電はどうするの?」「航続距離は足りるの?」「暖房を使う冬場の航続距離は?」などといった疑問を抱きます。これらの点は、全て技術的に改善や解決が可能です。しかし、こうした点を解消してエンジン車の使い勝手に並ぶだけでは不十分でしょう。EVがブレークするには、EVでなければ不可能な使い勝手や楽しさを具現化する必要があると思います。

 例えば、EVの駆動用バッテリーにためた電力を使い、移動先の電力源にするアイデアがあります。そのために、当社は、i-MiEVやMINICAB-MiEVの急速充電コネクターに接続し、大容量の駆動用バッテリーに蓄えられた電力を、最大1500Wまで取り出すことができる「MiEV power BOX」を開発しています。アウトランダーPHEVはオプションで車載できるようにしました。これにより、移動した先で、例えば電気炊飯器でご飯を炊いたり、照明を照らしたりすることができます。また、インホイール・モーターを使えば、車体の中心部からパワートレーンをなくし、ガソリン車では考えられない広い車内空間をつくることもできます。

 エンジンと比べてモーターは、振動源(起振源)として扱いやすいという利点があります。複雑な振動に耐えるために、エンジン車ではボディーの曲げ剛性や、フロアの張り剛性などを高めたモノコックボディーやプラットフォームを採用しています。しかし、モーターが起こす振動には、エンジン車ほどの曲げ剛性や張り剛性が必要ないため、大胆なボディー変更が可能です。BMW社のi3の炭素繊維強化樹脂(CFRP)製ボディーは、そうした試みの1つといえるでしょう。

 現在の量産型EVは、既存のエンジン車をベースにしたデザインにすぎません。開発費用を抑えるために、プラットフォームや生産工程をエンジン車と共有していることが、その大きな理由です。しかし、EVは本来、設計の自由度が極めて高いため、クルマの形や使い勝手を劇的に変える可能性があります。EV開発はまだまだ発展途上で、これから大きな変化が見られることでしょう。

 

EV:エンジンはなくなるのか?

2016年12月8日 8:54

参考:日経テクノロジーオンライン

エンジンはなくなるのか?---欧州でHEVが売れている理由

実は今、欧州でHEVが売れています。「クリーンディーゼル」をベースとした欧州の自動車産業のシナリオがVW社の不正問題の発覚をきっかけに崩れてきました。

□全文
http://techon.jp/atcl/column/15/415543/111500057?ST=skillup

□本講座
世界の自動車用パワートレインの最新・将来技術と規制動向【12月16日開催】
http://techon.jp/atcl/seminar/16/041300140/?n_cid=nbptec_tecml

▼自動車に48V電源の波、PCの電源は驚くほど小型・軽量に

ドイツAudi社から、48V電源を搭載した「SQ7 TDI」が発売されました。欧州の規格「LV148」を電装品の電源として初めて採用した市販車になります。

□全文
http://techon.jp/atcl/column/15/417263/111400115/?ST=skillup

□本講座
自動車、電子機器の進化を支えるスイッチング電源の上手な作り方【12月20日開催】
http://techon.jp/atcl/seminar/16/092600240/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★★2017年の講座 続々と立ち上げています
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▼表面処理の実務上のポイントを押さえる--演習でトラブル事例も学ぶ

最近の部品には、従来よりも積極的に表面処理が使われています。日本の大手自動車メーカーの管理者から「最近、表面処理をとても重視している」と聞きました。(テクノサポートオーテス代表、ワールドテック講師(元デンソー)岡本邦夫氏)

□全文
http://techon.jp/atcl/column/15/417263/112300043/?ST=skillup

□本講座
自動車分野に必須の表面処理を極める【2017年1月24日開催】
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/seminar/16/110800268/

▼EV開発は劇的に変わる

EVを開発しなければ、他のエンジン車まで販売できなくなる可能性があります。欧州の二酸化炭素の排出規制は年々厳しくなっているからです。(三菱自動車 設計マスター 吉田裕明氏)

□全文
http://techon.jp/article/NEWS/20141104/386460/?ST=skillup

□本講座
設計マスターが語るEVとPHEVの開発のポイント【2017年1月31日開催】
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/seminar/16/110800267/

▼5G時代の半導体、パッケージは技術もビジネスも激変

iPhone 7にFOWLPが採用されるなど、新しい半導体パッケージ技術が注目を集めている。5Gのモバイル通信に向けて、半導体にはさらなる進化が求められており、パッケージはその実現の鍵を握る可能性が高い。また、台湾TSMCのようなファウンドリー企業が台頭し、韓国Samsung Electronics社や米Intel社がファウンドリー事業で追随する動きを見せるなど、パッケージのビジネスモデルも大きく変わってきた。

□全文
http://techon.jp/atcl/column/15/417263/111400116/?ST=skillup

□本講座
5G時代の半導体を実現するパッケージ革命【2017年1月20日】
http://techon.jp/atcl/seminar/16/110100259/?n_cid=nbptec_tecml

 

自動運転の社会では、なにが変わる?

2016年12月6日 10:43

『世界自動運転プロジェクト総覧』
■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎…◎…━
世界を牽引する48の企業と5つのプロジェクトの調査データから浮かび上がる、
“自動運転社会”の全体像、ビジネスモデル、競争領域
http://cleantech.nikkeibp.co.jp/report/adp201612/?xadid=11842

自動運転社会で誕生する新しい市場で勝ち抜くには、産業全体の全体像と
そこに構築されるビジネスモデルをいち早く理解した上で、個々の事業分野別の
競争領域・協調領域を冷静に分析し、自らの強みを高めてビジネスモデル構築に
欠かせないポジションを獲得する必要があります。

本レポートでは、自動運転の社会実装に向けた取り組みを推進する48の
キープレイヤーと5つの共同プロジェクトを調査し、それぞれのビジョン、
活動実績、提携・協業など、自動運転にかかわるファクトを厳選して抽出した
データを横断的かつ多面的に分析することで、自動運転社会の全体像と今後の
ビジネス展開のポイントをわかりやすく解説します。

≪こんな方におすすめ≫
・自動車関連企業の経営企画担当者
・ITサービス関連企業の経営企画担当者
・一般企業の新規事業開発担当者

│◎本レポートでわかること
└────────────

◆ 自動運転社会の目的と将来計画
◆ 自動運転車の社会実装に必要な技術とサービス
◆ 自動運転車の開発の影響を受ける産業分野
◆ 開発における競争領域と協調領域
◆ 今注力されている技術/事業分野と今後求められる技術/事業分野
◆ 社会実装に向けた課題
◆ 登場が予想されるビジネスモデル
◆ キープレイヤーのビジョン、実績、提携関係

│◎主 な 内 容
└───────
◆エグゼクティブ・サマリー

◆第1章 全体分析
1.1 自動運転プロジェクトの目的
1.2 自動運転技術の開発目標
1.3 自動運転車の実現要件
1.4 自動運転が産むニーズとビジネス
1.5 モビリティビジネスにおける競争領域と協調領域

◆第2章 企業分析
2.1 自動車メーカー(ドイツ)
2.2 自動車メーカー(米国)
2.3 自動車メーカー(日本)
2.4 自動車メーカー(スエーデン、韓国)
2.5 トラックメーカー/トラック関連開発企業 ほか

◆第3章 データ編
3.1 自動車メーカー(13社)
3.2 自動運転車開発企業(12社)
3.3 移動サービス関連企業(5社)
3.4 自動運転システム開発メーカー(16社)
3.5 地図・位置情報事業者(2社)
3.6 共同プロジェクト(5プロジェクト)

※上記は予定です。変更になる場合がございます。

 

MW、Daimler、VW、Fordが欧州に超急速充電ネットワーク

2016年11月30日 12:16

MW、Daimler、VW、Fordが欧州に超急速充電ネットワーク

 ドイツBMWグループ、同Daimler社、同Volkswagenグループ(Audi社とPorsche社を含む)、米Ford Motor社は2016年11月29日、欧州で超急速充電ネットワークを整備するための覚書に調印したと発表しました。

 電気自動車(EV)で長距離走行を可能にするため、欧州に多数の超急速充電ステーションを設置します。2017年にまず400カ所に充電ステーションを設置し、2020年までに欧州で数千カ所まで拡大する計画です。

 4社は、超急速充電ネットワークの整備に多額の投資を予定しており、インフラを整備する合弁会社を設立します。電動車のブランドに関係なく便利な充電ソリューションを確立するため、他の自動車メーカーにも参加を促します。

 超急速充電では、350kWまでの直流電源で充電するため、大幅に充電時間を短縮できます。充電器は、交流電源での普通充電や従来の直流電源での急速充電にも対応できるように、既存の技術標準を拡張して、350kWまでの超急速充電に対応します。日本で使われている急速充電器の出力は一般的に50kW程度であるため、欧州はこの7倍の出力を目指すことになります。

 高速道路や主要道路沿いにオープンネットワークの超急速充電設備を整え、従来のガソリンスタンドでの給油並みの便利さで電動車の長距離走行を可能にすることを目指しています。

 

米テスラ、サモアの離島で太陽光マイクログリッドを稼働

2016年11月28日 17:18

米テスラが米領サモアのタウ島で稼働したメガソーラー (出所: Tesla Motors)

 米テスラは11月22日、米国領サモアのタウ島でメガソーラー(大規模太陽光発電所)と定置型蓄電池システムで構成するマイクログリッドが稼働したと発表しました。

 メガソーラーの設備容量は1.4MWで、米ソーラーシティ製の太陽光パネル5328枚を使用しています。定置型蓄電池システムは、テスラの「Powerpack」60台で構成し、蓄電容量は6MWhです。

 今回のプロジェクトでは、米政府の環境保護庁(EPA)、内務省(DOI)などが約22億ドルの資金を拠出しました。施工期間は約1年です。

 ソーラーシティによると、このマイクログリッドによって年間に軽油10万9500ガロン(約41万4500リットル)の削減が見込まれています。

 米領サモア・タウ島はハワイの南西約4100kmの南太平洋上にあります。約780人が居住していますが、近年は停電や給電停止が頻発していたといいます。今回稼働したマイクログリッドにより、停電などがなくなり、タウ島の電力需要をほぼ100%賄えるといいます。

 

EV:2030年にドイツではエンジン自動車が買えなくなる?

2016年11月1日 12:03





9月に開催されたパリモーターショーでは、欧州メーカーが多くの電気自動車(EV)を発表していました。ここまで欧州メーカーがEVに本気になるとは関係者も驚いていますが、その急先鋒はドイツのプレミアムブランドです。ジャーマン3ことメルセデス・ベンツ、BMW、アウディはどのくらい本気なのでしょうか。それぞれのメーカーはどんな戦略を持っているのでしょうか。今回のコラムでそのあたりを探ってみたい。

ショーに先立つ9月23日、ドイツ連邦参議院が「2030年以降はエンジン車の新規登録は中止する」という決議案を採択して話題になりました。このニュースを聞いたとき、私はエンジン車を生んだドイツが「エンジンの死刑宣告」を考えていることを、にわかには信じられませんでした。ドイツは連邦政府という政治形態を持っているので、各州政府は何を考えているのか調べてみました。

BMWやアウディがあるバイエルン州とポルシェやメルセデスがあるバーデン=ヴュルテンベルク州は法案に反対していました。この2つの州はEVを推進する緑の党が力を持っていますが、それでも「2030年以降のエンジン車の死刑宣告」に反対しています。一方、ドイツ最大の自動車メーカーであるVWがあるニーダーザクセン州は賛成してしまいました。VWのディーゼルゲート問題で揺れ動く同州はどう見てもやけっぱちになったように見えます。その結果、各州の代表が集まる連邦参議院の総意としてこの死刑宣告案はドイツ政府に提出され、ドイツの週刊誌がスクープすると大騒ぎになったのです。法案なのですぐに効力を発揮するわけではなく、ドイツの交通大臣は「馬鹿げた法案だ」と切り捨てていますが、EUの方針を決める欧州委員会にも一石を投じたといえます。

ジャーマン3はEV開発のアクセルを踏む

パリモーターショーで見えてきたジャーマン3のEV戦略を見てみましょう。トップバッターはメルセデス・ベンツ。ツェッチェCEOは「単にEVにシフトするというものではなく新しい自動車メーカーのあり方を提案する」と述べ、「CASE」と書かれた4文字のコンセプトが発表されました。Cはコネクティビティ、Aはオートノマス(自動運転)、Sはシェアカー、Eは電気駆動の頭文字でした。

その目玉となる新コンセプトカーして「ジェネレーション EQ」と命名されたSUV風のバッテリーEVカーが発表されました。まるで「テスラ モデルS」を独走させないと言わんばかりのEVです。四輪駆動でポルシェ並のパフォーマンスを持ち、航続距離は最長500kmを謳っています。

一方、私も取材に参加した10月中旬に開催されたメルセデスの次世代エンジンのワークショップでは、ガソリンとディーゼルを合わせた5つの新エンジンが発表されています。1気筒=500ccのモジュールコンセプトで開発される次世代エンジンは、4気筒2Lディーゼル、直列6気筒3Lディーゼル、4気筒2Lガソリンターボ、直列6気筒3Lガソリンターボ、V型8気筒4Lガソリンターボです。これらはモーターと組み合わせてハイブリッドにも適応します。つまり、メルセデスの本音はエンジンと電気を上手に組み合わせたモデルラインナップで、ピュアEV=ゼロエミッションの「EQ」シリーズをその中心に位置づけるというものです。

アウディもEVを積極的に推し進めますが、最近発表されたニュースで目を引くのは、長く続けてきたWEC(ル・マンなどの世界耐久レース)から撤退し、EVで走る「フォーミュラE」に来年から参戦するというものです。親会社VWのディーゼル補償問題で多額の利益が必要なので、コストのかからないEVレースにシフトするという経済的な理由もありますが、メルセデスと同じように新しいモビリティの可能性にチャレンジする姿勢は鮮明です。

BMWはジャーマン3の中ではもっと早くからEVにシフトしていました。持続可能なモビリティブランドとしてまったく新しいブランド「i」を立ち上げ、バッテリーEVの「i3」に力を注いでいます。今年マイナーチェンジした「i3」は航続距離も大幅にアップし、より多くのユーザーを取り込もうとしています。トヨタとの提携を活かして、水素燃料電池車も近いうちに発表する予定です。

メルセデスの「CASE」が示しているように電気駆動(EVやハイブリッド)と自動運転は時代のトレンドになることは間違いありません。今回の法案採択について、ドイツの各メーカーは基本的には反対していますし、2050年頃まではエンジンと電気が共生すると考えているのでしょう。しかし、そんな彼らにとっても、電気自動車へのシフトは将来的には必須なのです。「電気もない、自動運転もないクルマ」は今後、携帯電話のガラケーのような存在になってしまいそうです。

 

EV:いよいよ、本格的なEVの時代が迫ってきている

2016年11月14日 14:11

これと、自動運転が組み合わさり、人工知能の発達で、将来は、免許なくて、車を足に使える。

参考:日経テクノロジーオンライン

VWが2020年投入のEV、600km走れて「ゴルフ」並み価格

「我々が新しい時代を提供する。(1回の充電で)600kmまで走れて毎日の足として使える電気自動車(EV)だ。ゴルフのディーゼル仕様車と同等の価格帯で、2020年に発売する」--。

ドイツVolkswagen社がぶち上げました。こう宣言したのは、同社で乗用車部門トップを務めるHerbert Diess氏です。2016年9月29日(現地時間)、「パリモーターショー2016」の会場で開いた記者発表会で計画を明かし、新型のEVコンセプトカー「I.D.」を発表しました。

EVコンセプトカー「I.D.」

VW社乗用車部門トップのHerbert Diess氏が熱弁をふるった

○Renault社、400km走れるEV「ZOE」を2016年内に発売

LG Chemの新型リチウムイオン電池を採用

フランスRenault社は小型電気自動車(EV)「ZOE」を改良し、1回の満充電で400km走行できるようにしました。「パリモーターショー2016」で改良した車両を初披露。2016年内に発売する予定です。

○Daimler社、2025年までにEVを10車種投入、第1弾は2019年

ドイツDaimler社は、2025年までに10車種の電気自動車(EV)を市場に投入する計画を発表しました。EV向けの新ブランド「EQ」を立ち上げる方針です。「パリモーターショー2016」の会場で開いた記者発表会で明かしました。

○Opel社のEV「Ampera-e」、WLTPでも380km走行

2017年に市場投入へ

ドイツOpel社は、小型の電気自動車(EV)「Ampera-e」を公開しました。5人乗りのハッチバック(5ドア)車で、親会社である米GM社のEV「Chevrolet Bolt」をベースにした欧州仕様車となります。価格は未公表ですが、2017年春に発売する予定です。

Dr.堤より
基本的に、空気を汚さないのが環境に優しいはずだが、リチウム電池のリサイクル環境はまだ、未熟だ。

 

EV:テスラ:ソフトウェア8.0がリリースされます!
2016年10月27日 11:30

テスラ ソフトウェア8.0

テスラオーナーの皆様

日本向けソフトウェア8.0が国土交通省から承認を受け、今週より配信可能となりました。

お使いの車の通信状態によって配信時間は異なりますが、アップデートの準備が完了すると、センターディスプレイにお知らせが表示されますのでインストールを行ってください。

8.0ではModel Sの発売後、タッチスクリーンのインターフェースに最も大きな変更が加えられました。
新しいメディアプレーヤーや、視認性が向上した地図、また自動運転機能にも多くの変更が追加されています。
また、これまで多くのご要望があったテスラ専用デスティネーションチャージング施設が充電ポイントリストに表示されるようになりました。

ソフトウェア8.0の主な変更点:

  • 検索機能が強化され、デザインが一新されたメディアプレーヤー
  • 素早く起動し、より使いやすくなったボイスコマンド
  • タッチスクリーン全体に映し出され、新しくなった地図
  • より快適になった自動運転機能、自動運転機能起動中もドライバーに運転への集中を喚起するドライバーモニター機能
  • 車を離れても車室が高温になることを防ぐキャビンオーバーヒートプロテクション
  • テスラ専用デスティネーションチャージング施設の表示
変更点の詳細については こちらから

新しいソフトウェアでより進化したModel Sをお楽しみください。

 

EV:トヨタ社長「142億キロの試験走行」で自動運転実現を宣言
2016年10月6日 7:00

Forbes JAPAN

豊田章男社長 photo by Christophe Morin/IP3 / gettyimages

トヨタは、他の多くの自動車メーカーと同様に交通事故の削減を目指して自動運転車の開発を進めています。自動運転車の実現には、さらなる技術革新が必要です。

「自動運転システムの信頼性を担保するためには、かなりの量の公道走行やバーチャルなテストを実施しなければならない」とトヨタの豊田章男社長は10月1日のパリモーターショーで述べました。豊田章男社長は、トヨタ創業者の孫に当たります。

シリコンバレーに研究施設

トヨタは、自動運転車の開発を加速させるため、シリコンバレーにトヨタ・リサーチ・インスティチュート(Toyota Research Institute、TRI)を設立し、10億ドル(約1,000億円)を投入することを発表しました。TRIは、自動運転車の他にもロボット開発や先端素材の研究を行います。TRIの責任者には、自動運転車開発の現在に至るまでの原点とも言える、DARPA(国防高等研究計画局)でロボットカーレースを率いてきたアメリカ人科学者のギル・プラットが就任しました。

「TRIのゴールは、トヨタが目指す自動運転車を実現することだ。トヨタは自動運転車の開発において2つのアプローチをとっている。1つは完全自動化であるショーファー(運転手)・モードの実現だ。これにより、老人や障害者など、これまで車を運転できなかった人にモビリティを提供することが可能になる。完全自動化を実現するためには、シミュレーションを含めて142億キロメートルのテストが必要だ」と豊田社長はパリの記者発表で述べました。

トヨタが取り組んでいるもう1つの自動運転技術が、「ガーディアン(守護者)・モード」です。「この技術は、現行の衝突回避支援パッケージであるToyota Safety Senseを進化させたものだ。ドライバーが運転中に事故に遭いそうになったら危機を回避し、状況に応じて自動運転に切り替わる」と豊田社長は説明します。

先月、米運輸省は自動運転車の開発や公道走行に関する初めてのガイドラインを発表しました。ガイドラインには、「自動運転車の安全設計、開発、テスト、公道走行」を規定する15項目の安全評価基準が含まれます。しかし、完全自動運転車が市場に投入される時期はまだはっきりしていません。一部のメーカーは2020年代初頭にリリースすることを目標にしています。

グーグルは約60台の自動運転車を走らせ、これまでに200万マイルの公道テストを実施して自動運転技術を世の中に広めてきました。そのグーグルですら、いつどのようにして自動運転車を発表するかを明らかにしていません。

イーロン・マスクは「100億キロ」宣言

テスラのCEOでビリオネアのイーロン・マスクは、自動運転車の信頼性を確実にするためには、60億マイル(100億キロメートル)のテスト走行が必要だと6月に述べています。マスクはブログで次のように述べています。

「ソフトウェアのレベルが格段に向上し、人間の運転より安全性がはるかに高まったとしても、規制当局が自動運転車を許可するまでには相当な時間を要するだろう。世界中で許可されるまでには60億マイルほどのテストが必要だと考えられる。現在のテスト距離は、1日当たり300万マイル(500万キロメートル)ほどだ」

マスクは、テスラが半自動運転技術を早いタイミングで市場に投入したことを擁護します。「オートパイロットは正しく使えば既に人間よりも大幅に安全だ。メディアからの批判や法的責任を恐れて実装を遅らせることは道徳的な観点から避難されるべきだ」とマスクは述べています。

TRIのプラットCEOが目標に掲げるテスト走行距離はマスクや豊田社長よりもはるかに長いのです。昨年ラスベガスで開催されたCESでプラットは次のように述べていました。

「これまで、自動運転車業界は数百万マイルものテストを実施してきた。これは誇るべき実績だが、完全自動化を実現させるだけの信頼性を確保するためには、100万倍の1兆マイルもの走行テストが必要だ」

 

EV:テスラEVでまた事故. 私も、自動運転中に、不意に、車線キープ機能が外れて、隣車線まで、移動しようとしたことが数回あった、
2016年7月9日 18:42

テスラEVでまた事故、喫緊の課題は「機能告知の徹底」
2つの事故から学ぶべきこと

インテル 事業企画・政策推進ダイレクター 兼 名古屋大学 客員准教授 野辺継男氏


インテル 事業企画・政策推進ダイレクター 兼 名古屋大学 客員准教授 野辺継男氏

 米Tesla Motors社の電気自動車(EV)の事故で、2016年7月に再び運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)の調査が入りました。今度はSUVの「Model X」。同年5月に起きた前回の「Model S」の事故では「Autopilot」機能が作動していたことが確認されています。今回はAutopilot機能が作動していたか否か判明していませんが、なぜこうした問題が起きるのでしょうか。「技術者塾」において「クラウド、ビッグデータ、人工知能がクルマの進化を促す」〔2016年10月6~7日(木、金)〕の講座を持ち、自動運転に関する事業開発も手掛ける、インテル 事業企画・政策推進ダイレクター 兼 名古屋大学 客員准教授に聞きました。(聞き手は近岡 裕)

 米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が、Tesla Motors社の電気自動車(EV)が起こした事故に関して新たな調査を開始しました。事故は2016年7月1日にペンシルベニア州で起きました。車両はSUVのTesla Model Xである(前回の事故発生場所はフロリダ州で、車種はTesla Model Sでした)。

 今回の事故は、Model Xが高速道路(Pennsylvania Turnpike)を走行中にガードレールに接触した後、道路の反対側にある中央分離帯のコンクリートにぶつかり180度横転したというもの。幸い、死者は出ていません。

 この事故の発生は、米国では比較的広く浸透しているセイフティー&セキュリティー機能の一部として、エアバックが展開した結果が事故直後にTesla Motors社に自動的に通知されました。だが、事故の詳細データ(例えば、Autopilot機能がオンであったことを示すフラグなど)についてはTesla Motors社に届いていないといいます。通常セイフティー&セキュリティーで利用する、全米に広がるPSAP (Public Safety Access Point)を介する通知は携帯網上をSMS (Short Message Service)で送信することが多く、事故に関連し得る詳細なデータはサイズによってはIP接続などで送信する可能性があり、数バイトのフラグデータぐらいはSMSで送信可能ではあります。

 技術詳細は別として、早い話現時点では「Autopilot」機能が作動していたかどうかが分からないと、Tesla Motors社もNHTSAも報告しています。

 このAutopilot機能が作動していたか否かで、検証すべきポイントが変わります。Autopilot機能が作動していた場合、まずはガードレールへの接触を避け得る機能定義になっていたのか、なっていたとすればそれが定義通り機能したのか否かの検証が必要になります。さらにガードレール接触後、反対側の中央分離帯に向かって跳ね返される過程で、Autopilot機能あるいは追加機能によって制動可能だったのか、その後の横転は避けられたのかといった検証も重要であり、今後の開発の必要性を示す重要な要件にもなります。

 一方、Autopilotが作動していない場合、通常の自損事故における過失の可能性などが検証すべき点となります。

 以上は今回の事故の現状把握から考察される内容です。だが、こうした新しい機能の有り無し、さらにそのオン・オフ状況といったことに関する今回の一連の調査から学ぶべき重要なポイントは、サービスや機能の提供者側はドライバーや市場に対して新機能に対する「正しい告知」を徹底しなければならない、ということです。

 今後数年以内に自動運転車は市販されます。各自動車メーカーは、Autopilotのような新しい自動化機能の搭載はもとより、自動運転の実現に必要な高機能なコンピューターを搭載し、その上で走る「走行アルゴリズム」を開発し続けます。そして、販売前はもちろん、販売後も市場に存在する各車両に対してソフトウエアをアップデートしていくことになります。すると、そうしたアップグレードにより、どのような機能がどこまで実現できて、何が未だできないのかを、ドライバーに正しく把握してもらうようにしなければ今回の例の様な致命的な事故につながり得ます。

 実際のところ、最新の家電製品やICT機器でも新しい機能を市場投入した場合、利用するユーザーにその全機能と利用方法を正確に把握してもらうことはほぼ不可能という現実があります。ましてや、クルマに新しい機能が追加されたとなれば、ドライバーにとっては前代未聞の経験だ。そうした状況でドライバーにその機能をどこまで「正しく」理解してもらい、安全に使いこなしてもらえるかということが、今後極めて重要な課題となります。

 ドライバーに誤った理解で「これは使える」と思われれば、新機能に対する「過信」につながります。実際、Tesla Motors社の運転支援システムを自動運転と誤認した今回の事例がそうです。自動運転装置がまだ存在していない状況なのに、「動作するに違いない」「事故は回避されるに違いない」と考え、そのまま走ってしまうことで事故が起きる危険性があります。

 逆に、新しい機能に対する「不信」が起こす危険性も考えられます。ドライバーが一度使って期待通りに動かない場合、「使えない」という判断をしてしまい、その機能をオフにします。そして、2度とその機能をオンにしないということは日常的に発生しがちです。その結果、本来その機能がオンであれば安全を確保できたのに、その機能が稼働していないために事故に遭遇するということが起こり得ます。これが「不信」による事故です。

 さらに、「状況認識の喪失」といった問題も起こり得ます。これは、例えば今後、自動運転装置に運転を任せた際に、外を見なくなることに慣れてしまう可能性があります。すると、「自動車に乗って移動している」という感覚を完全に喪失し、そのままの状態を維持することになります。そうした状況で、人間が突然危険に気づいて即座に対応すること難しいです。

 自動運転が実現された際には、こうした「過信」、「不信」、「状況認識の喪失」といったことが十分起こり得るということです。

 今後クルマに各種搭載される自動化機能や自動運転機能に対し、ドライバーや市場にいかに正確な理解を得てもらうか。これが、自動運転技術を開発していく上で自動車業界に突きつけられた喫緊の課題です。

 

2050年までクルマの技術と商品の未来を1年単位で予測!
2016年10月13日


2050年までクルマの技術と商品の未来を1年単位で予測!

 

5 Flying Cars You Need To See
2016年8月14日

 

EV:水を入れるだけで発電するマグネシウム空気電池、一般販売へ
2015年12月14日 12:45


 

古河電池が2年前に発売して話題となったマグネシウム空気電池「マグボックス」。紙製容器でできていて、水を入れるだけで発電するユニークな電池ですが、個人向けに小型のものが開発され、来年2月から販売されることになりました。

マグボックスは同社が東日本大震災で被災した経験を生かし、凸版印刷と共同で開発したものです。これまで主に自治体や法人向けに販売を行ってきました。非常に好評で個人客もほしいという声が続出したといいます。

そこで、大きさを半分にした「マグボックス スリム」を商品化したのです。箱にはUSBポートが付いていて、スマートフォンなどを充電できるようになっています。「いつでも、どこでも水さえあれば、スマホが20回充電できます。1回の使い切りになりますが、処分も簡単で、水を抜けば一般ゴミとして捨てることができます」と同社関係者は説明します。

大きさは210mm×110mm×220mmで、重量が1kg。そこに500mlペットボトル3本の水を入れます。発電時間は最大5日間。価格は1万5000円ほどになるそうです。非常用として家に1つ置いておけば、いざというときに非常に役に立ちそうです。

 

EV:テスラEVで死亡事故、識者に聞く
2016年7月6日 10:00

「自動運転が起こしたという認識は間違い」

インテル 事業企画・政策推進ダイレクター 兼 名古屋大学 客員准教授 野辺継男氏

米Tesla Motors社の電気自動車(EV)「Model S」が「Autopilot」機能で走行中に死亡事故を起こしました。これを受けて、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が調査を開始しました──。
2016年6月30日、日本で衝撃的なニュースが報じられました。この事故に技術的な課題はないのでしょうか。現在世界で開発が加速している自動運転技術に与える影響はないのでしょうか。「技術者塾」において「クラウド、ビッグデータ、人工知能がクルマの進化を促す」〔2016年10月6~7日(木、金)〕の講座を持ち、自動運転に関する事業開発も手掛ける、インテル 事業企画・政策推進ダイレクター 兼 名古屋大学 客員准教授に聞きました。(聞き手は近岡 裕)

インテル 事業企画・政策推進ダイレクター 兼 名古屋大学 客員准教授 野辺継男氏

──この事故はなぜ発生したのでしょうか。

野辺氏:米国の警察の発表によると、こうです。2016年5月7日の午後3時40分頃、Tesla Model Sがフロリダ州Levy Countyの4車線の高速道路を「Autopilot」機能を用いて走行していた。そこに、大型トレーラーが2車線分を超えて左折して来た。これより、Model Sは前方にほぼ直角になったトレーラーに突っ込み、トレーラーの下をくぐり抜けフェンス2か所に接触した後、電柱にぶつかり停止した。その現場でドライバーは死亡した──。

この事故に対し、Tesla Motors社は次のように説明しています。「車載カメラで前方を把握する状況下において、それまで認識していた前方の青空に、トレーラーの白い側面が覆いかぶさるように現れた。それを、カメラは認識できず、自動緊急ブレーキが作動しなかった」と。これは、ドライバーの通常の運転時であれば緊急ブレーキシステムが作動し、避けられた状況だったのかという分析が必要になります。

一方、今回のケースではドライバーがAutopilotに対して「自動運転」を実現したものと誤解・過信した可能性もあります。この点は、Tesla Motors社、あるいは米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)からドライバーや市場に対する周知徹底が十分でなかったと指摘される可能性もあります。

──こうした事故を回避する技術的な方法としては、どのようなものが考えられるでしょうか。

野辺氏:緊急停止ブレーキを機能させる為に、瞬時の露出調整が不得意なカメラだけではなく、79GHzミリ波レーダーやライダー等も複合的に使って、前方現れた物体をより正確に認識し、周囲のクルマやトレーラーの変則的な動きを把握・予測する必要があるでしょう。

また、急激な光の変化にも対応できるカメラを利用する事も考えられます。HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)機能を組み込み、通常露出だけではなく、露出過多や露出不足の画像を撮り、それらの画像を合成することで、光の強弱に関わらず常時画像を捉える方法もあり得ます。

──この事故は、今後の自動運転技術の開発にどのような影響を与える可能性があるでしょうか。

野辺氏:日本では自動運転技術をたたく(批判する)ような論調につながる可能性を危惧します。話を覆すようですが、現在のAutopilotは自動運転機能を実現するものではありません。そもそも、NHTSAは現時点ではまだ市販車が自動運転機能を使って公道を走ることを認めていませんので、今回は「自動走行中に事故」という話ではありません。

実は、自動運転の定義が曖昧になってしまっているところがあります。2013年にNHTSAが提言した「クルマの自動化の定義」の原文では、クルマの自動化について「レベル0~4」に分けて定義しています。レベル0は、自動化が全く行われていない水準。レベル1は、ハンドル、アクセル、ブレーキの3つのうち、1つ以上が独立して自動化された水準。レベル2は、ハンドル、アクセル、ブレーキのうち、2つ以上が複合的に動いて自動化された水準。そして、レベル3以上が自動運転ということになります。

今回事故が起きたModel Sの現状バージョンのAutopilotは「最終的な責任は人間が負う」とNHTSAが定義しているレベル2以下に該当します。NHTSAの「クルマの自動化の定義」は、広く国際的に認識されている自動化開発の指針のようなもの。しかし、これが日本では一部しか訳されておらず、その一部も誤って解釈されてきた。結果、一部のTeslaユーザーと同様に、現状のAutopilotで自動運転が実現されたと勘違いしてしまう。「人工知能が誤認識」などと報じるメディアもあるらしく、言葉を失います。

先の提言の中で、NHTSAが現在認めている自動運転はあくまでも「公道テスト」であり、その段階でも事故を避けるように厳格に指示しているのはもちろん、事故がなければ技術が進まないという認識も明示しています。その上で、事故があった場合は、その状況の詳細を包み隠さず提示することが要求されています。

NHTSAはあくまでも自動運転技術の開発を推進しています。この件に関する日本の誤った報道が、日本における自動運転技術の開発の足かせにならないことを願っています。

 

EV:燃えにくい電解液を使った電池、東大が開発
2016年7月6日 10:00

EVの航続延長

東京大学工学部化学システム工学専攻の山田淳夫教授、山田裕貴助教らは、燃えにくい電解液を用いた高性能4.6Vリチウムイオン電池の開発に成功しました。

電気を蓄え、必要なときに取り出すことのできる二次電池は、電気自動車の普及に基づく低炭素社会の実現に向けた中核技術です。現在最も優れた二次電池はリチウムイオン電池ですが、高密度エネルギー貯蔵(小型・軽量化)のため、現在の3.7Vから5V級への高電圧化の要請が強まっています。

このため、高電圧を発生する電極材料の研究開発が進んでおり、さまざまな5V級正極材料が提案されてきました。しかし、既存の有機電解液を用いると、高電圧による副反応が継続的に起こることが問題になっています。

これまで、添加剤の使用など、既存電解液をベースとしたさまざまな改良が行われてきたものの、安定した充放電反応には至っていません。加えて、既存の有機電解液は可燃性の有機溶媒を使用しているため、高電圧作動における安全性の確保も課題となっています。既存電解液の延長線上ではない、革新的な電解液の開発が急務となっていました。

今回、東京大学大学院工学系研究科の山田教授と山田助教らのグループは、物質・材料研究機構の館山佳尚グループリーダー、科学技術振興機構の袖山慶太郎さきがけ研究員らとの共同研究により、リチウムイオン電池の高電圧作動を可能にする新規な難燃性電解液を開発しました。

この電解液は、2014年に発表した「濃い電解液」(高濃度電解液)の概念に基づいて新たに設計されたもので、リチウムイオンの濃度を極限まで高めることによって、リチウムイオン、アニオン(マイナスイオン)、有機溶媒分子が相互に結び付いたネットワーク構造を持つことが、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を用いたシミュレーションにより明らかとなりました。

特殊な溶液構造により、有機溶媒に起因する燃焼性が格段に低下するとともに、高電圧作動時に発生する副反応を抑制することができ、既存電解液では不可能だった平均電圧4.6Vのリチウムイオン電池の安定作動に成功しました。難燃性電解液の開発で高電圧作動を達成、高密度で高安全性のエネルギー貯蔵が可能となり、長距離走行が可能な電気自動車の開発などに大きく貢献することが期待されます。

今回の研究成果は、Nature Communications誌に掲載されました。

 

EV:テスラ、自動運転中の死亡事故に声明
2016年7月1日 14:46

「完璧ではなく注意が必要」


 

米国のEVメーカー、テスラモーターズ。同車の顧客が、自動運転モードで走行中に死亡事故を起こした件で、同社が声明を出しています。

この事故は5月7日、米国フロリダ州で発生。テスラモーターズのEV、『モデルS』の顧客が自動運転モードで走行中、大型トレーラーに衝突する事故を起こし、ドライバーが死亡しました。

6月30日、米国NHTSA(運輸省道路交通安全局)は、このテスラ モデルSが事故の際、自動運転モードに問題がなかったか、予備的な調査に乗り出すと発表しました。同日、テスラモーターズは声明を出しています。

テスラモーターズは声明の中で、「自動運転モードでの走行距離は、累計1億3000万マイル(約2億km)を超えている。死亡事故は初めて」と説明しました。

今回の事故は、自動運転モードで走行中、大型トレーラーがモデルSの前方を横切る形で起きました。同社によると、太陽光が強かったために、ドライバーも自動運転機能も白い色のトレーラーを認識できず、ブレーキが作動しないまま、トレーラーの下に潜り込む形で衝突したといいます。

テスラモーターズは、「自動運転機能は、常に進歩している。それでも完璧ではなく、ドライバーは常に注意が必要」とコメントしています。

 

人が乗れるドローン「EHang 184」
2016年6月13日 13:15

米ネバダ州で飛行テストへ


 

 

 

 

ラスベガスで今年1月に開催された世界最大級の家電見本市「CES 2016」では、中国のドローン開発企業EHangが、人間を乗せることができるドローン「EHang 184」を発表し、注目を浴びました。このほど、米複数メディアはネバダ州が年内にも「EHang 184」のテスト飛行を許可するようだと報じています。

■「EHang 184」のスペックについて

「EHang 184」は1人乗りのドローンで、4つのアームに各2つ、計8個のプロペラが取り付けられています。飛行スピードは最高時速100キロほどで、バッテリーがフル充電で、20分ほどのフライトが可能となります。

Google Mapに登録のある地点であれば、どこでもタブレットで指定することが可能で、操作はすべて乗客が行う仕組みになっています。目的地を指定すれば、離陸はボタン1つで可能です。

■ネバダ州の経済開発局が協力!タクシーへの応用を期待

宇宙船や航空機の発射試験場が数多くあることからも容易に想像がつきますが、「EHang 184」のテスト飛行を許可したネバダ州は、「航空」や「宇宙」といった先端技術に関して理解のある州として知られています。今回の件に関しては、経済開発局が絡んでおり、「EHang 184」が(テスト飛行に成功して)ドローンタクシーへと成長し、ネバダ州の輸送システムの一部となることが期待されているといいます。

現時点においては、基本的に人を乗せたドローンが空を飛ぶことは米連邦航空局によって禁じられていますが、通販をはじめとした物資輸送へのドローン活用議論が本格化するなかで、規制緩和の動きが出始めていることも確か。

今回のテスト飛行に関して、「EHang 184」に人が搭乗するのかについては明かされていませんが、いずれにせよ歴史的な試みであることは間違いないだけに、フライト結果が注目されます。

人が乗れるドローン「EHang 184」、米ネバダ州で飛行テストへ!

 

EV:7億8000万マイル分の走行データが支えた、Teslaの自動運転機能開発
2016年06月02日 00:00

米Tesla Motorsがドライバーの走行データを収集していることはよく知られています。同社は高速道路上での自動運転機能の開発にTesla車のドライバーが過去18カ月間に走行した合計7億8000万マイルの走行データを利用したといいます。

写真1●米Tesla Motorsのオートパイロット・プログラム・ディレクター、Sterling Anderson氏

これは2016年5月23、24日に米サンフランシスコで開催された「MIT EmTech Digital 2016」というカンファレンスで、Teslaのオートパイロット・プログラム・ディレクターのSterling Anderson氏が明らかにしました(写真1)。

Teslaは2015年10月、高速道路上でほぼ自走状態に近いオートパイロット機能を実現するソフトウエアアップデートをリリースしました。ただしオートパイロットに使用するカメラやレーダー、超音波センサーなどのハードウエアを搭載したモデルは、それに先立つ2014年10月から販売していました。実は、ドライバーがどういった運転をするのかを調べるデータ収集は、既にこの頃から始めていたようです。

Teslaが販売するセダン「モデルS」やSUV「モデルX」は、レーン保持、レーン変更、インテリジェント・スピード・アシスト、衝突回避、並列駐車など、驚くほど豊富なオートパイロット機能をそろえています。高速道路上では前後左右の車を認識してスピードを調整しながら走行します。筆者もTeslaのオートパイロット機能を体験したことがありますが「これが来るべき自動運転車の乗り心地か」と感じさせるのに十分なほどで、ほぼハンズフリーで自走しました。

現在、オートパイロット機能を備えたTesla車は世界で7万台走行しており、同社は1億マイルに及ぶオートパイロット走行のデータを収集したといいます。だがTeslaはオートパイロット機能を有効にする前から秘密裏にデータを集め、ドライバーの走行を研究してきました。新しいソフトウエアがオンになった状態で何が起こるかを、先にテストしたわけです。「世界中の車で、不活性の(inert)機能をテストすることがよくある」とAnderson氏は説明しています。

写真2●Teslaにおける機能の開発プロセス

同氏が説明したTeslaの開発プロセスには、そのことがはっきりと記されています(写真2)。機能の発案、シミュレーション、社内での検証の後に、「Over-the-air installation (inert)(インターネット経由でソフトウエアをインストールして機能を有効にしない)」や「In-field performance validation(実車でのパフォーマンス検証)」という段階があり、その後「アクティベーション(ソフトウエアの機能を有効にする)」となります。データを基にしたテストと改良を何度も繰り返すというステップがあるわけです。

18カ月前は自動運転車で出遅れていましたが、それを挽回できたのは、高精度のデータが収集できたから」とAnderson氏は語ります。

テクノロジー業界ではよく「許可を求めるのではなく、許しを乞え」という表現が使われます。つまり、新しい機能を実装する際に、ユーザーや規制当局の許可をあらかじめ得るのではなく、先にやってしまってから許してもらう方がいいということです。テスラのやり方はまさにこれでしょう。

Anderson氏は当局との関係についても、「規制よりも一歩先んじていなければ、洞察を得ることはできない。我々が知らないことは、当局はもっと知らない」と語り、日本風に言えば「掟破り」なアプローチを採っている様子を伺わせました。ただし、同氏は「だからこそ、当局との親密なパートナーシップが必要」と強調しています。

ちなみに、Teslaが収集した7億8000万マイル分のデータは、米Googleが2009年の自動運転車プロジェクト開始以来走行してきたという150万マイルを大きく上回ります。だが、Googleの場合は高速道路だけではなく、歩行者や自転車がいて、信号機などもある混み合った町中の交差点といったより詳細なデータを集めているのが大きな違いです。

Teslaが完全な自動運転車のリリースをもくろんでいるのは、2018年です。データの力でどんどん開発が加速化しているのです。

 

2030年に北米では4台に1台が自動運転車
2016年06月03日日経テクノロジーオンライン

米フロスト&サリバンが普及予測

図1 フロスト&サリバンジャパンの森本尚氏
 
図2 北米における自動運転車の普及予測

「北米では2030年に、350万台以上の自動運転車が出荷されるだろう」──。フロスト&サリバンジャパン自動車・交通運輸部門シニアコンサルタントの森本尚氏は、2016年6月2日に同社が都内で開催したカンファレンスでこのように述べました(図1)。

森本氏が言う自動運転車とは、SAE(米自動車技術会)が定義する「レベル3(条件付き自動運転)」と「レベル4(高度な自動運転)」に該当するクルマです。レベル3の自動運転車では加減速や操舵など全ての制御をシステムが行い、システムのトラブルに備えて運転者は常に運転に介入できるようにしておきます。レベル4になると、運転者が介入しなくてもシステムが全ての運転作業を行います。

これらの自動運転車の北米における普及シナリオについて森本氏は、米Frost & Sullivan社が行った調査結果を基に紹介しました。それによると、2020年~2025年にかけて「レベル3」の自動運転車の普及が加速するといいます。2025年以降には「レベル4」の自動運転車も実用化されると見ています。その結果、2030年にはレベル3とレベル4の自動運転車が350万台以上出荷され、その比率は北米における総出荷台数の25%程度になると予測します(図2)。

自動運転車が普及すると、自動車保険の仕組みも変わります。現在、保険料はクルマの保有者が負担していますが、自動運転時代には「メーカーやブランド、搭載しているシステムごとに保険料が決まり、クルマの保有者と自動車メーカー、システムプロバイダーがその保険料を分担することになります。レベル4の自動運転車では、クルマの保有者が負担する保険料が現在の半分程度にならないとメリットは出てこないだろう」(森本氏)と指摘しました。

 

EV:テスラs自動パーキング、オートパイロット
2016年5月30日(月)21時37分

 

【テスラ モデルS 改良新型】デザイン一新
2016年5月18日(水)14時09分

自動駐車機能の無料配信も開始


 

 

 

 

 

 

 

テスラモーターズは5月18日、外観デザインを一新した『モデルS』の納車および自動駐車機能『サモン』の無料配信を日本で開始したと発表しました。

今回の改良ではヘッドランプがフルLED化されたのを始め、従来の黒いノーズコーンから『T』エンブレムを強調したフロントマスクが採用されました。

テスラモーターズジャパンのニコラ・ヴィレジェ代表は同日都内で開いた発表会で「時代とともにデザインも新しくなった」とした上で、「ノーズコーンは『モデルX』や『モデル3』と共通のデザインにしました。当然のことながらエンジンが無いのでグリルが不要で、デザインの可能性を広げることができます。またサイドロッカーはボディカラーに合わせて非常に高級感を出した」と説明しました。

同時に配信が開始されたサモンは、すでにアメリカで1月から提供されているもので、スマートフォン操作で車外からモデルSを自動で駐車させることができるというもの。自動駐車は直線方向のみの動きになるが前進駐車だけではなく、後進しながら駐車できるのが特徴としています。最大12mまで遠隔操作が可能ということです。

サモンは納車済みのモデルSでもソフトウェアをアップデートすることで機能を追加することができます。今後納車される車両に関してはインストールした状態で引き渡されるとしています。また『モデルX』や『モデル3』にもサモンが適用されるといいます。

Dr.堤より
昨日、夜、自動配信で、アップグレードされた自動駐車も、なかなか怖くて試せない・・・・人間より、機械のほうがどんどん進化して、ついていけないね。自動運転もつい、忘れがちだ・・・これも歳のせいか?

 

EV:テスラのHEPAフィルターと生物兵器防御モードのテスト
2016年5月18日(水)17時13分

 

大気汚染は公衆衛生に重大で広範な影響を及ぼします。世界保健機構によると、大気汚染は現在「世界最大の単一環境健康リスク」と考えられ、その結果毎年300万人以上が命を落としています。これは毎年交通事故で亡くなる人の2倍以上にあたります。

健康と安全は私たちにとってとても重要なことです。テスラは衝突を避け、乗客を守るためにモデルSとモデルXを設計したように、大気汚染から運転中の皆さんを守ることが重要だと感じました。病院やクリーンルーム、宇宙産業で使われている空気濾過システムに喚起され、私達は、花粉、バクテリア、汚染物がキャビンに潜入する前に外気から取り除き、これらの微粒子を完全に消去するためにキャビンの空気を系統的に洗浄することの可能な
HEPA(= High Efficiency Particulate Air Filter 通称:ヘパ)フィルトレーションシステムを開発したのです。その最終結果は標準的な自動車用フィルターより数百倍の効果が確認されました。外で何が起こっていようと、ドライバーや同乗者に極限までフィルターされた空気を提供出来ます。今日はそのテストのプロセスを皆さんに共有させていただきます。

当社は、このシステムが微細な粒子やガス状汚染物質はもちろん細菌やウイルス、花粉やカビ胞子も捉えることを確認したいと考え、このフィルトレーションシステムは、カリフォルニア州の混雑時の高速道路から、同州のセントラルバレーにある湿地帯、埋立地、牧草地、中国の主要都市まで、実際の環境で試験されました。

その後、さらに踏み込んだ試験を行い、路上ではなく、大気の状態を正確に制御でき、慎重にモニタリングできる環境でシステム全体の試験を実施しました。極めて高い汚染度
(PM2.5濃度1,000 µg/m³。それに対しEPAの「クリーンな」空気品質指標の限界値は12 µg/m³)の巨大な泡の中にモデルXを配置し、ファルコンドアを閉め、生物兵器防御モードを起動しました。

以下のグラフには、起動後の車内と泡の中の汚染度の推移が示されています。2分も経たないうちにHEPAフィルタによりモデルX内の空気が浄化され、汚染度は、非常に危険なレベルである1,000 µg/m³から、あまりに低く当社の計測器では検出できないレベル(下限値を下回る値)まで大幅に低下しました。この状態では、汚染物質の泡の中に座っていながら、ガスマスクを外し新鮮な空気を吸うことができました。

さらに、この自動車システムは車内の空気を完全に浄化しただけでなく、その後数分の間に、車外の空気の浄化を開始し、PM2.5レベルを40%低下させました。つまり、生物兵器防御モードは単なる宣伝文句ではなく、実際に機能して、その名の通り、車内では軍事目的での生物攻撃さえを乗り切れるということになります。

また、車外の空気も浄化するため、自動車周辺にいる人々にとってもよい環境作りにつながります。この試験はモデルXで実施されましたが、先日発表した新しいデザインのモデルSにも適用されます。

テスラは、簡単に交換できる一次および二次フィルターでのミクロ幾可学と化学的パッシベーションによる防御の改善を継続します。このため、車を所有する期間が長いほど精度が向上します。改善に関するご提案があればぜひお願いします。

*世界保健機関によると、年間平均のPM2.5(最も危険な微小粒子状物質)濃度は、
北京で56 µg/m³、メキシコシティで25 µg/m³、香港で21 µg/m³

 

警察庁、公道でハンドル手放しによる自動運転認める
2016年4月14日(木)13時06分

公道試験のガイドライン案を公表


 

 

警察庁は、「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン(案)」を策定しました。

ガイドラインは、自動運転車の実証実験を公道で実施するに当たって、交通の安全と円滑を図る観点から留意すべき事項などを示すことで、企業が適正、安全な公道実証実験を実施するためのものです。

自動運転車の公道実証実験では、実験前に、内容を踏まえ、日本自動車研究所などの実験施設で、様々な条件や事態を想定した走行を十分に行い、実験車両が、自動走行システムを用いて安全に公道を走行可能であることを確認することを求めます。

公道実証実験の実施場所としては、一般道路のうちでも、歩行者・自転車利用者の交通量が少ない場所、歩行者・自転車利用者の通行がない高速道路を推奨します。

また、実証実験では、緊急時に必要な操作を行うために運転者席に乗車するテストドライバーに加え、テストドライバー以外の者が実験車両に同乗して、自動走行システムの状況をモニターすることにより、周囲の道路交通状況を監視するテストドライバーとの役割分担を行うよう求めます。

自動運転の実験車両と併走するなどして安全を確保する車両を用意することや、実験車両の車体に自動走行システムに関する公道実証実験中であることを表示することも求めます。地域住民や道路利用者に対し、チラシ、看板により公道実証実験の実施日時、実施場所を事前に広報することも求めます。

さらに、テストドライバーは、実験車両の種類に応じ、法令に基づき運転に必要とされる運転免許を保有していることを義務付け、常に道路交通法を始めとする関係法令における運転者としての義務を負います。仮に、自動運転車で交通事故や交通違反が発生した場合でも、テストドライバーが、常に運転者としての責任を負います。

テストドライバーの条件として、相当の運転経験を持ち、運転技術が優れていることや実験車両の自動走行システムの仕組み、特性を理解しており、公道実証実験の実施前に、実験施設で、自ら実験車両の自動走行システムを運転し、緊急時の操作に習熟していることを求めます。

一方、テストドライバーが自動走行システムで走行している間、ハンドルを持つ必要はないが、常に周囲の道路交通状況や車両の状態をモニターし、緊急時に必要な操作を行うことができる必要があります。

見通しが良く、交通量が少ない場所、緊急時の操作を行う確率が低い状況では、アームレストや膝の上に手を置くなど、リラックスした態勢でも差し支えないが、見通しの悪い場所、交通量が多い場所などでは、ハンドルを持つか、瞬時に持てるよう手をハンドルの至近距離の位置に保つべきとしています。

このほか、サイバーセキュリティ基本法を踏まえ、公道実証実験を安全に行うため、適切なサイバーセキュリティを確保することも求めています。

警察庁では、ガイドラインについて一般から意見を募集します。受付期間は5月7日まで。

 

EV:テスラ モデルS、初のフロントデザイン変更

2016年4月13日(水)12時00分

モデルXやモデル3と統一感


 

 

テスラモーターズは4月13日、初となるフロントデザインの変更を含む、『モデルS』の最新アップデート情報を公開しました。

モデルSは、これまでもワイヤレスソフトウェアアップデートにより週20程の改善や追加更新を実施。性能向上や安全機能、便利機能の追加を行ってきました。

今回の大幅アップデートでは、フロントデザインを初めて変更しました。黒いノーズコーンをなくし、『モデルX』や『モデル3』と統一感のあるデザインとしたほか、フルLEDアダプティブ ヘッドランプを新たに装備。夜間の視界を向上する14LED 3ポジションダイナミックターニングライトを採用し、さらにスタイリッシュなフロントデザインとなりました。また、今回のフロントデザイン変更により、空力性能が若干向上、航続距離も少し延びるといいます。

インテリアでは、高級自動車用フィルターの2倍の効果を発揮するHEPAエアフィルトレーションシステムを採用。車内の空気から99.97%の微粒子状汚染ガスと、アレルギー源、バクテリアや他の汚染物質を完全に排除します。また、インテリアオプションとして「フィギュアド アッシュ ウッド デコール」と「ダーク アッシュ ウッド デコール」を追加。車内デザインをよりパーソナライズできるようにしました。

そのほか、標準装備の充電器を40アンペアから48アンペアにアップグレード。高アンペアの充電源に接続した際、より高速な充電を可能としました。

 

トヨタ、次世代コンセプトカー「uBox」初公開
2016年4月13日(水)20時00分

米大学と共同開発


 

 

 

 

トヨタ自動車は4月12日、米国ミシガン州デトロイトで開幕した「自動車技術会 国際会議」において、コンセプトカーの『uBox』を初公開しました。

uBoxは、トヨタと米国クレムソン大学の国際自動車研究センターの学生が、共同開発したコンセプトカー。国際自動車研究センターの「Deep Orange」と呼ばれるチームが主体となって、製作が行われました。

uBoxは、米国で10-20代の若い世代、「ジェネレーションZ」をターゲットに開発。次世代の自動車購入層にアピールするために、ユニークなアイデアを盛り込んでいます。

車体には、カーボンファイバー複合素材やアルミを使用。サイドドアは観音開きとし、優れた乗降性を追求しました。移動オフィスとしての利用に配慮し、最新の車載コネクティビティを導入。ルーフ全面をガラスとし、高い開放感を実現しました。

室内は、ドアトリムや空調吹き出し口などの部品を、3Dプリンターで製作した部品と交換することが可能。シートは脱着式。また、所有者対象のオンラインコミュニティを通じて、カスタマイズのアイデアを共有できます。

パワートレインは、EV。その詳細は公表されていませんが、トヨタによると、ファン・トゥ・ドライブと、内外装の110Vコンセントを通じた家電製品への電力供給を両立させているといいます。

 

EV:次世代環境車の主流争い
2016年4月12日(火)0時00分

テスラ「Model 3」や新型「プリウスPHV」登場


 

 

ランキング1位は「テスラの技術トップに聞いた、次期EV“Model 3”とその先の未来」。Tesla社は2017年に発売するModel 3で、電池の量産規模を高めることで、従来の「Model S」に比べて、価格を約半分に抑えています。同社は2020年までに年間50万台のEVを生産する計画です。



10位には「トヨタが新型“プリウスPHV”を披露、EV走行距離は60km以上に」がランクインしました。日本では2016年秋に発売する計画です。欧州の燃費規制(CO2排出量)は2021年に95g/kmを求めており、同時に欧州では燃費規制の達成手段としてPHEVを優遇しています。ドイツBMW社やAudi社などが既にPHEVを投入しており、トヨタは欧州勢と対抗するPHEVを投入したことになります。




13位は「ホンダの新型FCV、どう低コスト化した?」でした。燃料電池車(FCV)は高コストが課題。トヨタは既存のHEVと電池やモーター・インバーターを共有化することでコストを下げているのに対し、ホンダは今後投入するPHEVとプラットフォームの共有化でコストを下げる選択をしました。両社のFCVの低コスト化への考え方に違いがあるのが興味深いです。

15位は「サムスンSDI社、600km走れるEV用電池を2020年ごろに供給へ」。電動車普及のカギになるのが電池です。電池では韓国LG Chem社やサムスンSDI社が供給先を増やしています。サムスンSDI社は電池材料を工夫することで2020年ごろをめどに、一度の充電で600kmを走行できる程度のEVを実用化する考えです。

電池のエネルギー密度向上によって、より少ないスペースに多くの電池を搭載できるようになるとともに、使用する材料が少なくなることでコストも抑えられます。日本の電池メーカーは、韓国勢にどう対抗していくかが、問われています。

 

EV:テスラの新型EV、モデル3 が受注上乗せ

2016年4月2日(土)9時50分

発表2日で27万台超

米国のEVベンチャー企業、テスラモーターズが3月31日夜(日本時間4月1日)、米国で発表した新型EV、『モデル3』。同車の受注が、さらに伸びていることが判明しました。

これは4月3日、テスラモーターズのイーロン・マスクCEOが自身のTwitterページで明らかにしたものです。「土曜日(4月2日)の時点で、モデル3の累計受注が27万6000台に到達した」と公表しています。

イーロン・マスクCEOは4月1日、自身のTwitterページにおいて、「モデル3が、発表後24時間で18万台の受注を獲得した」と発表していました。それから1日が経過し、さらに9万6000台の受注を上乗せした計算です。

『モデルS』の成功で、プレミアムEVメーカーとしての地位を確立したテスラモーターズ。同社の市販EV第4弾となるモデル3は、米国ベース価格3万5000ドル(約388万円)と、テスラのEVとしては価格を抑えているのが特徴です。

大手自動車メーカーの市販EVの草分け的存在、日産『リーフ』が2015年12月、デビュー5年を経て、世界累計販売20万台を達成したばかり。モデル3が発表2日で、累計受注27万台を超えたのは、異例のペースといえます。

 

クラウド、ビッグデータ、人工知能がクルマの進化を促す
2016年4月5日(火)11時50分

コネクテッド・カーとADAS/自動運転の今後

自動運転では、カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR、超音波等の多様なセンサー群を利用してクルマの周囲状況を、ECU等からクルマの走行状態を常時把握・分析します。そして、3次元運転用マップを参照しながら、ぶつからない進路を決定し、その結果を人間を介在させることなく、直接CAN等制御系システムに流し込むことでクルマを走らせます。現在2020年頃をターゲットとして欧米の各社が目指している自動運転は、概ねNHTSAの言うLevel 3の実現にありますが、この段階ではクルマが自動運転を“諦める”ことが許されていて、その場合、自動運転からドライバーに「十分余裕を持って運転を戻す」ことが条件付けられています。

一方、上記した各種センサー群では高々100〜200mの把握可能距離であり、例えば、時速100kmで走行した場合200mは7.2秒に相当し、センサー群による周囲状況の把握のみではドライバーに「十分余裕を持って運転を戻す」ことは実質的に困難と言えます。

このため、200mより先の状況に関しては、過去に走った多数のクルマから各種センサーデータをデータセンターに集約し、ビッグデータ処理、更には機械学習等人工知能を導入して周囲状況を正確に把握し、計画的な自動運転を支援する高度なICTシステムの構築が重要になっています。

また、こうしてセンサーネットワークと化すクルマを一例とし、2020年頃には各種ウェアラブル端末がセンシングした日常生活のデータを不特定多数の人間から収集し、人間生活のあらゆる局面で運転支援のみならず、医療や農業等の各種産業においても適用可能であり、今後、ヒトの脳や生活を新たなレベル支援し得る可能性もあります。こうした動きは、海外でIndustrie 4.0やCyber Physical System、Industrial Internet Consortium等といった枠組みで議論されており、今回はクルマの自動運転を例として、その他産業への波及効果やそのチャレンジや共通課題(ネットワークセキュリティ等)についても説明します。

 

EV:14時間連続走行を達成したEV、ナノフローセルが出展
2016年2月24日(水)18時30分

ナノフローセル社の小型EV クアンティーノ
 
ナノフローセル社の小型EV クアンティーノ
 
ナノフローセル社の小型EV クアンティーノ

リヒテンシュタインのナノフローセル社は、3月1日から13日まで開催される「ジュネーブモーターショー」に、14時間のノンストップ走行を実現したEVコンセプト『クアンティーノ』を出展します。

クアンティーノは全長3910mmの小型4シータークーペ。EVパワートレインは、4個のモーターが合計最大出力136hpを発生。同社独自のナノフローセルパワートレインは、2個のタンクに液体電解質を内蔵し、電池の中で循環。最大1000kmの走行を可能にしています。クアンティーノは、日常使用における適合性と連続負荷下でのシステム統合性を確認するため、チューリッヒ近郊のテストセンターで耐久テストを実施。14時間の連続走行を達成しました。

同社はジュネーブモーターショーにて、クアンティーノおよびナノフローセル技術を紹介します。

 

レクサスが中国で生産されない理由は「こ・だ・わ・り」
真似できない=中国メディア
2014年7月12日(土) 6時34分

トヨタが世界で展開している高級車ブランド「LEXUS(レクサス)」は、現在中国での生産は行われていません。
中国メディアの新快報には、中国での生産を行わないレクサスについて「中国人消費者からすれば頑固にも思える」とする一方、日本国内での取材を通じてレクサスが持つ「こだわり」を実感したとする記事が掲載されました。
新快報記事では、レクサスのクルマづくりに対し「顧客至上主義」であると高く評価したうえで、そのこだわりぶりには「まるで茶道のよう」だと形容されています。
茶道では、「茶師は相手に最高のお茶を供するために茶具や茶葉を徹底して選ぶもの」であると紹介、レクサスの生産においても「工匠」たちは車の材料から徹底した選定を行っていると伝えています。

レクサスが材料を厳選している一例として、座席に使用される革について取り上げた。「天然皮革のうち、レクサスの基準に合致するものは10%ほどしか存在せず、さらに数回にわたる選別を経て、最高の質感と滑らかさを持った皮革だけが2カ月をかけてレクサスの座席になる」と紹介した。  また、レクサスの安全性についても紹介し、レクサス ESの塗装工程は42工程に達し、さらに6回も塗装を繰り返すと紹介。さらに「品質検査においては4000カ所以上において200種類の検査が実施されている」と伝えた。
記事はそのほかにも、レクサスの生産は「人間による生産」を高度に重視していることや、「匠」と称される熟練工が複数いることを紹介しています。
「匠の技と経験こそ、レクサスの生産現場における最大の財産」とし、レクサスの日本での生産現場には「中国の自動車製造において到底まねのできない仕組みがあった」と驚きを示しています。

Dr.堤より
ホワイトファミリーの歯科治療の工程のこだわりと重なる。
匠の技だけでない。
さらなる検査とアイデアとデザインアートがあってこそ。
進化する。毎回の治療工程で改善案。

 

ルマンでトヨタ予選ポール獲得!!
Le Mans 2014 - A bord de la Toyota TS 040 HYBRID n°7
2014年6月13日(金) 17時15分

序盤にマークした中嶋のタイムは破られることなく、#7がポールポジション、#8が3番手となった。トヨタのル・マン24時間レースでのポールポジションは1999年の『TS020』以来2度目。日本人ドライバーとしては82回のル・マンの歴史で初めてとなる。

決勝レースは14日午後3時(日本時間午後10時)に24時間に向けたスタートが切られる。

レスポンス

EVカーのカナメ。シフトの鍵を握るバッテリー技術
2011年12月22日(木) 11時23分

EVバッテリー レポート2011-12 vol.1
脱内燃機関、そしてEVシフトの鍵を握るバッテリー技術

2005年から2008年夏ごろにかけて発生した、1バレルあたり150ドル近辺をつけるという原油価格の暴騰は、世界を文字通り震撼させた。さらに東日本大震災時に日本各地でガソリン供給不足が発生し、ガソリンスタンドに長蛇の車列が発生した話題などは記憶に新しい。

経済活動に欠かせない物流の主役、道路交通は、ほぼ全面的に石油エネルギーに依存している。近年、世界の油田の劣化によって石油生産がピークアウトするのではないかと危惧されていたが、石油の枯渇を待つまでもなく、燃料価格が暴騰するだけで経済が壊滅的なダメージを負うことがハッキリしたのだ。

各国の政府やメーカーが電気自動車(EV)の開発に躍起になって取り組んでいる最大の動機は、今後急速に深刻化することが確実視されているエネルギー危機への対応なのである。

EVの開発動機としてしばしば挙げられるもののひとつに、地球温暖化の原因物質とされる二酸化炭素の排出量削減があるが、これは副次的なものだ。アメリカのオバマ大統領が推し進める「New Energy for America」というエネルギー政策では、脱石油社会を進めるだけでなく、新規雇用までも創出し経済を安定させることを見据えている。

自動車メーカーはそれに対応する技術を確立させることが、今世紀後半に向けて生き残る唯一の手段だという認識を持っている。ゆえに、今日においてはまだ商業的に成立しているとはとても言えないレベルにとどまっているEVの開発に執心しているのだ。

そこで今回、これらビジネスソリューションで要求されるEVの高いバッテリー技術に焦点を当て、開発者インタビューや試乗会・発表会などの取材を交えつつ、4回にわたり「EVバッテリー レポート」として連載する。第1回は導入として、脱内燃機関そしてEVシフトを加速させる環境変化と、その普及への鍵を握る技術課題について考察したい。

◆エネルギー危機への対応がEV開発を加速

EVを爆発的に普及させるには、EVをマーケット商品にしなくてはいけない。マーケット商品にするために、各社はどのように戦略を練っているのだろうか。

EVの普及を実現するために不可欠な要素は、さらなる低価格化だ。バッテリーやモーター性能の著しい向上に支えられて、身近な価格になってきたとはいえ、同クラスのエンジン車に比べて2倍ないしそれ以上の価格が現状ではつけられている。ユーザーの大半は政府や自治体、あるいは運輸業者などのフリートユースであり、エンドユーザーがEVを購入するケースはまだ少数例だ。

アウディの電気モビリティ戦略担当者、ハイコ・ゼーガッツ氏は「多くの顧客がEVに強い関心を示しているのは確かだが、実際に購入する場合、既存のクルマに上乗せして支払ってもよいと考えている金額はごくわずかだ。またガレージで充電可能な住宅の割合も、EVのメイン市場となる都市部では低い。価格、性能、インフラなど、いろいろな面で適切なソリューションを提示できたとき、EVは一般化するだろう」とインフラの拡充整備がEVの普及の鍵とみている。EVが実験段階から市販段階への移行期であるこのタイミングで、日米欧の各国では、充電ステーションの急ピッチでの拡充や最新テレマティクスを駆使した給電・充電ソリューションの構築に向けて積極的に取り組んでいる。

2009年に登場した三菱自動車の新世代EV『i-MiEV』に端を発したクルマの電動化のムーブメントは、いまや世界に広がりつつある。日産自動車『リーフ』、本田技研工業『Fit-EV』、三菱自動車『MNICAB-MiEV』などの市販EVが次々に生まれ、また発電用エンジンを搭載して高価な電池の搭載量を減らしたレンジエクステンダーEV(E-REV)、ハイブリッドカーのバッテリーを外部電源から充電できるようにしたプラグインハイブリッドカー(PHEV)など、ソリューションも急速に多様化している。さらに、フランス政府や福生市が推し進めるEVシェアリングサービスプロジェクト等、新たなビジネスソリューションの形態も確立されている。

◆EV普及の鍵を握るバッテリー技術

石油以外で人間が利用可能なエネルギーは、実は結構豊富である。非在来型天然ガスであるシェールガスやバイオエネルギー、水力や太陽光、風力などの再生可能エネルギー、核エネルギー等々、枚挙にいとまがない。が、それらのエネルギーは、輸送、貯蔵、補給などの利便性の点で、いずれも石油に比べて大幅に劣っている。現状では、多少燃料価格が上がろうと、クルマは石油エネルギーで走らせるのが最も効率的というのが実情だ。

しかしながら、その状況はEVの登場と共に大きく変わりつつある。エネルギーを電力として効率的に蓄えることが出来る電池技術の発展である。

が、そのチャレンジはまだ始まったばかり。EVや燃料電池車が一般的な技術となるには、これから様々な技術革新を実現させていかなければならない。なかでも課題とされているのは、EVのバッテリーである。電力はもともと、発生させたものはリアルタイムで消費しないと消えてしまう。たとえば電力需要が低いときに発電所をフル稼働させても、熱エネルギーの多くは電力に変換されず、そのまま捨てられてしまうのだ。

◆耐久性の向上と急速充電性能の要求を満たせるか

本来は貯蔵性のないエネルギーである電力を保存しておくのに最も一般的なのが、蓄電池に充電しておいて、必要なときにそれを引き出して使うというやり方だ。不特定のルートを走り回るEVは、電車のようにパンタグラフから電力を採って走るというわけにはいかない。必要なときにEVを即座に走らせるために必要不可欠なのが電力貯蔵技術であるバッテリーなのだ。

一般に、自動車を構成する部品点数はガソリンエンジン車の場合およそ3万点だが、このうちエンジンとその補器類がおよそ1万点で、全体の1/3以上を占めている。これをバッテリーとモーターに置き換えれば部品点数が大きく減り、パッケージングに大きな変革を実現できると見込まれている。部品点数の低減は、大幅な軽量化やコスト優位性への可能性も秘めており、ひいては電費の向上にも寄与するものとも考えられている。もちろん、排出ガスを出さない、パワートレーンからの振動や騒音がないことなども、EVのメリットとしてよく知られているポイントだ。

今日、世界で胎動を始めているクルマの電動化。そのムーブメントはまだ、未来に向かって一歩を踏み出したばかりであるが、EVがコンセプトカーから実用車へとその存在意義が変化していくなかで、消費者はバッテリーの性能差を意識する必要が出てきた。そしてまた、バッテリー技術のブレークスルーを実現する可能性が登場しつつあることも確かだ。次回では、EVの課題を打ち破る新たな技術として東芝のSCiBにフォーカスを当ててレポートする。 

 《井元康一郎》


家庭での電源量がコンセントの場合最大15Aという規制もあり。充電にかかる時間を考えると、大きな容量のバッテリーを積んでも何日も充電にかかるのでは現実的ではないです。
法規制の200V*15Aが充電の最大量であることは、充電時間をみて、カラからのフル充電には所要一晩は掛かる。
通常の20%から80%までの充電で200Vで数時間、400Vの急速充電設備なら1時間未満で可能です。
将来、バッテリーの重量と大きさが小さくなることで、よりバッテリーを積む余地が生まれても、
充電時間がかかることなどや価格面のデメリット。燃費・電費から言えば、軽い車が良いとすれば、これ以上の大きなバッテリーは非常時用としての意味合いで、車に積むか?
でも、、
非常時で普通家庭2日分のエネルギー蓄電、25kW前後が現状で最適なバッテリー量か?
これからはハイブリッドと言うよりは、EVのレンジエクステンダーとしての
発電エンジンか非常時走行用兼発電エンジンを積んだ車が最優力な候補か?
また非接触充電のインフラがいつ頃、どのように普及するか?の技術革新に期待したい。



VW、中国でEV専用ブランド立ち上げか
2011年5月17日(火) 18時09分

中国新車市場でトップシェアを誇るフォルクスワーゲン。同社が、中国で計画してい る新ブランドのネーミングがスクープされた。

これは9日、自動車メディアの『CHINA CAR TIMES』が報じたもの。同メディアによる と、フォルクスワーゲンが中国で立ち上げる新ブランドの名前は、『Kai Li』になる という。これは中国政府の内部文書からのリーク情報とのことだ。

またKai Liは、フォルクスワーゲンの現地合弁パートナー、第一汽車と共同設立。ブ ランド名以上に注目すべきは、その車種体系かもしれない。

同メディアによると、Kai Liは中国初のEV専用ブランドで、中国政府のEV普及計画に 沿う形で立ち上げることになるという。

Kai Liの市販第1号車の登場時期は不明だが、同メディアは「『ボーラ』か『ゴルフ』 をベースにしたモデルが、Kai Liの最初の市販車になる」と伝えている。

《森脇稔》

世界F1レースのEV版*フォーミュレック2 012年から開催へ
 

世界最高峰のEVレース、フォーミュレック…2012年から開催へ 南アフリカに本拠を置くフォーミュレック(FORMULEC)社は2012年から、EVフォーミュ ラレースの「フォーミュレック・ワールドシリーズ」を開催する。

このEVフォーミュラレースに使用するマシンは、同社が2010年秋のパリモーターショー で初公開した『EF1』。F1マシンと同じく、シングルシーターのフォーミュラマシン で、強力なモーターにより、0-96km/h加速3秒以内、最高速240km/h以上の性能を誇る。

同社の発表によると、フランスのFCI社のスポンサードを受け、フォーミュレック・ ワールドシリーズを開催。2012年から、年間10戦を行う計画だ。

さらに同社は2014年から、他社の参入にも門戸を開放。F1のような世界最高峰のEVフ ォーミュラレースへの発展構想を描いている。

《森脇稔》

EVの国連協定規則を採用
2011年4月28日(木) 21時45分

国交省、EVの国連協定規則を採用

国土交通省は28日、国連の型式認定相互承認協定に基づき、新たにバッテリー式電気自動車に係る協定規則を採用したと発表した。

また、反射器に係る協定規則などの改訂が国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で採択された。

これらを受け、道路運送車両の保安基準、装置型式指定規則および道路運送車両の細目告示などの一部改正案をまとめ、意見募集を開始した。

バッテリー式電気自動車に係る協定規則の採用に伴い、電気装置について高電圧配線の橙色被膜の義務付け、交流回路の絶縁抵抗値の追加、開放型鉛電池の水素エミッシ?ンの測定義務づけなどの要件を追加する。

これらは、新型車について2014年6月24日以降に新たに型式指定を受ける自動車と改 造車に適用し、継続生産車については2016年6月23日以降に制作される自動車に適用する。

《編集》

 

日本EVクラブ5月7日EVセミナー三軒茶屋
 

原発とEV

EVは電気を食わない。エコ?

送電線の@自由化が必要 、スマートグリッドの実用化には、必須。 車の電池から、家に吸い上げる量もコントロール出来る 夏などのピーク電力にも電気自動車は有効。 深夜夜間電力を貯めて、ピーク時に自動車から放電。 ピークレベルを平準化出来る。

過去に大5次EVムーブメントがあった。 温暖化 石油枯渇(ショック)

日産三菱が先だが、トヨタ、ホンダは電池でサボっていたすぐに取り戻せる。

EVは スポーツカーの性能に沿っている。運転が楽しい

過疎地に向いている。自宅で充電できる。 一般に言われる。充電スタンドはいらない。車でもガソリンスタンドみたいな物は、 いらない。どこでも、お店のパーキングなど 家の電気で充電出来る。 ビジネスとしては、成り立たない。電気代ははガソリンに比べて極めて安い。 お店の付加サービスに向く。

一事業所に2系統の変電設備が入らない。法律の変更で、どこでも、急速充電のサー ビスが出来るガソリンスタンドがなくなる。急速になくなると、ガソリン車は不便になる。今後1 0年間で半分くらいに?

地球の危機。 温暖化のポイントオブノーリターン。2℃上昇に納める。そのために、CO濃度をコ ントロールする。 此は必須なので、排気を出さない車が必須。

380PPM今、 石油の枯渇2030年で、でが悪くなる。

カリフォルニアZEV規制2012年からEV生産は、3%くらい各社で3000台 から5000台必要。 13州に広がっている。

ヨーロパはCO2規制でほとんどがEVへシフトしている。

EVコンバートは過去の自動車の資産を活かしながら、環境に貢献出来る。

エネルギー効率とCO2規制で優れている。 しかし、バッテリーの生産コストとエネルギーとバッテリー寿命の分を考慮するとトー タル燃料コストでは、高い? リサイクルは、事業が出来ないとバッテリーがネック? 鉛電池はリサイクル確率されている。 リチウムイオンはまだ、リサイクルが難しい。分別コストかかる。 コンバージョンビジネスは等身代で、地域内で進める。試作と販売ではビジネスリス クが違う。 EVの移動販売にも向く。

 セルフコンバージョンを手伝う、そのスペースを提供する技術指導する。 そういうビジネス地産地消、作る感動を売る。

法律の変化変更に気を付ける

電池の構造リチウム電池 置いておくだけで劣化 4年寿命、

モーター89%効率回転4000回転
テスラ誘導モーター97%1万から15000ぐらい回る。
モーターの主役、ブラシレスDCモーター95%、4000から10000,回る

日産 リーフ、米国が認めた衝突安全性能[動画]
2011年4月30日(土) 21時00分

EVとして、米国で初めて衝突安全テストを受けた日産『リーフ』。その映像が26日、 ネットで公開された。

このテストは、米国IIHS(道路保険安全協会)が実施したもの。前面オフセッ ト64km/h、側面50km/h、後方32km/hという内容で、ダミー人形が受けた傷害レベルに 応じて、GOOD(優)、ACCEPTABLE(良)、MARGINAL(可)、POOR(不可)の4段階で 評価する。

さらにIIHSでは、追突時のむち打ち確認テストと横転を想定したルーフ強度テストも 行う。そして、総合評価でGOOD(優)となった車に「トップセーフティピック」を授 与し、米国で販売される車の中で、最も衝突安全性の高いモデルと認定している。

リーフは全てのテストで優秀な結果を残し、EVとして初めて、トップセーフティピッ クに認定された。テストの様子は、米消費者団体専門誌『コンシューマー・リポーツ』 が、動画共有サイトで公開している。 http://www.youtube.com/watch?v=KknZJR9m0iY&feature=player_embedded

リーフ:“世界最高水準の省電力LEDヘッドランプ”はどう実現したのか…
市光工業 開発者に聞く
2011年5月9日(月) 11時30分

 

◆LEDの個数を減らしてコストダウン、リフレクターの構造を改良して明るさを確保

日産の電気自動車『リーフ』のヘッドランプにはLEDが使われている。LEDは、これまでもハイマウントストップランプや室内灯、テールランプなどに利用されていたが、明るさや製品コストの問題から一部の高級車種を除いてヘッドランプへの採用はほとんどなかった。しかし、動力だけでなく、エアコン、照明、灯火類をすべてバッテリーでまかなうEVにおいては、電装品の低消費電力化は、航続距離など車の基本性能に直結する重要事項だ。そのため、EVにおいてはLEDヘッドランプの意味は大きい。モーター以外の消費電力が低いということは、航続距離性能にも貢献するはずだ。

このリーフ用のLEDヘッドランプを開発したのは、市光工業である。LEDヘッドランプ自体は、高級車ではレクサスやアウディなどでの採用例がすでにある。ハイブリッド車ではプリウスにもLEDヘッドランプが搭載されているが、市光工業のLEDヘッドランプはEV向けということで、これらの先例との違いはあるのだろうか。

リーフのLEDヘッドランプ研究開発を取り仕切った同社研究開発部プロジェクトマネージャの村橋克広氏はつぎのように説明する。

「まず、リーフ用のLEDヘッドランプは消費電力が23WとこれまでのLEDヘッドランプより格段に低くなっています。れは主にヘッドランプに使用しているLEDの個数の違いによるものですが、今までのヘッドランプはLEDを3つ以上使います。今回、リーフのために開発したヘッドランプは2個のLEDで500ルーメン以上、色温度を5500Kに設定し、必要十分な明るさを実現しています。これは、低消費電力だけでなくコストダウンにもつながります。現在、LEDヘッドランプはプロジェクター型が主流ですが、こちらは反射型とプロジェクター型の特長を組み合わせた、独自の光学系となっています。部品単体の工作精度は要求されますが、部品点数を減らすことができます。」

EV向けということで低消費電力という要求は至上であったこと、車格としては大衆車であるリーフ向けにできるだけ量産コストの低い製品を開発する必要があったことの2点が同社の製品の特徴づけにもなっているようだ。さらに、反射型としたことで、デザイン性も増したという。


 

◆「LEDは次世代のヘッドランプ光源の主流を担う」

市光工業は自動車の灯火類の老舗メーカーのひとつだが、LEDヘッドランプについてはいつごろから取り組んでいたのだろうか。また、その開発の背景はどのようなものだろうか。村橋氏は次のように述べる。

「ヘッドランプの光源に白色LEDを、と開発を始めたのは7年以上前です。当時は、色効率や明るさなどの面からイルミネーションや室内灯など一部の商品化のみでした。当然、ヘッドランプとしては暗い、コストがかかりすぎるなど、とても実用にはならないものでしたが、シールドビーム、ハロゲン、HIDとヘッドランプの光源が10、20年単位で進化していく中で、次世代の光源はやはりLEDだろうという考えのもと、開発をスタートさせました。そのときは、とくにEVということは意識していませんでしたが、そうした中、5年ほど前に日産自動車やフィリップス・ルミレッズ・ライティングと共同のEDヘッドランプの開発プロジェクトがスタートしました。」(村橋氏)

そのプロジェクトとは、フィリップス・ルミレッズ・ライティングが高性能のLEDチップを開発提供し、ヘッドランプ開発と量産化を市光工業が担当するというものだ。フィリップス・ルミレッズ・ライティングのLEDチップは、4つの発光素子を集積したマルチチップタイプで、高光束(明るさ)なものだ。独自の反射型光学系と合わせて、他社製品よりLED数を2つに減らすことに成功した。EVというクラスレスな存在のリーフだが、車格的にはあくまでもCセグメントクラス。そのため、開発に当たってはあくまでも“大衆車・標準搭載”であることを意識していたという。



◆発熱、組み付け精度、配光など、様々な課題を解決


省電力LEDヘッドランプの開発にあたっては、課題も少なからずあった。

「製品開発にあたってはコストや熱対策、配光パターンなど、解決すべき問題は多くありました。電子機器に使われているLEDは発熱が少ないと言われていますが、それは数mA、数十mAといった極めて小さい電流での話です。家電での電球型LEDがそうであるように、照明光源として使うような場合は放熱対策が必須となります。量産化についてはPM設計部門や生産技術部門・量産スタッフがさまざまな工夫を凝らしてくれました。熱対策、配光パターンや特性、信頼性など基本設計の部分が開発部門で取り組んだところです。」(村橋氏)

と、設計でこだわった部分を述べる。その設計思想の根底に流れるのは「他とは同じことはやらない」だそうだ。これは、EV専用モデルとしてスクラッチからデザインされたリーフのコンセプトにもマッチしている。プロジェクター型ではなく反射型の採用もそのこだわりを反映している。

「反射型を採用したのは、他と同じではおもしろくないという理由もありますが、それだけではありません。EVだからといってコストを度外視するわけにはいきません。プロジェクター型はレンズやレフが各々別でユニット数の分、部品が増えてしまいます。今回我々が開発したリーフの主な部品はリフレクター1枚とヒートシンク、シェードそれにマルチチップのLEDが2個だけです。それに、反射型の場合、プロジェクター型に比較してリフレクターの各セグメント形状で配光パターンを細かく制御できます。よって、必要とされるところに、より細やかな光配分ができます」

革新性というのは、単に人と違うことをするのではなく、技術的な課題に対して合理性やブレークスルーを伴ったものということだ。リーフの登場によって、大衆車へのLEDヘッドランプの普及に先鞭はつけられたが、村橋氏は今後のLED光源の進化への取り組みをどのように考えているのか。

「当然いろいろ考えています。ハイビームへの展開はもちろん、ADB(Adaptive Driving Beam)やAZB(Adaptive Zone Beam)への応用も考えています。LEDチップも発光効率やコスト面でも改善の余地があると思っています。1個のLEDで十分な光量(明るさ)を確保できれば、1個でヘッドランプが可能になり、消費電力やコスト面で、適用可能範囲は更に増えるでしょう。技術的には道筋がついていますのでそうなれば、EVに限らずLEDヘッドランプが標準的になってくる可能性があります。早ければこれは数年後に実現するかもしれません。」

《中尾真二》