腸内菌の代謝産物解析、世界初 代謝産物は血中にも移行、
疾患発症への関与に新たな手がかり
理化学研究所は1月25日、協同乳業や東海大学医学部などとの共同研究で、世界で初めて腸内常在菌の代謝活動とかかわりのある約120種類の成分を特定することに成功したと発表した。
腸内常在菌の代謝産物は血中にも移行するため、菌自体より直接的に健康に関与していると考えられる。研究グループは、マウスの大腸内容物の代謝物質を網羅的に解析(メタボローム解析)。結果、腸内常在菌が産生する物質、吸収する物質、影響を与えない物質など、179種類の代謝産物の詳細を明らかにした。これまで腸管内に存在していることすら知られていなかった多数の成分を検出している。
新たな知見は、多くの生理活性アミンを腸内常在菌が産生していることのほか、酸化ストレスマーカーのオフタルミン酸を無菌マウスからのみ検出し、自然免疫と関連するプロスタグランジンE2を通常菌叢定着マウスのみから検出したこと、腸内での構成比が比較的低い腸内常在菌の方が、代謝産物濃度の差に強く影響を与えている可能性などだった。
研究所は、将来的には様々な疾病患者の大便メタボロームデータを集積し、病気の発症メカニズムの解明や、検便で発症リスクを推定する第一歩にしたいと期待している。