ダチョウの卵からスギやヒノキの花粉によるアレルギーを抑える抗体を取り出すことに京都府立大のチームが成功したことが28日、分かった。企業と共同で、抗体を使ったマスクやエアコンフィルターなどを開発し、3月にも販売を始める。
チームの塚本康浩(つかもと・やすひろ)京都府立大教授(獣医学)は「多くの日本人が花粉症に苦しんでおり、仕事の効率も下がっている。ダチョウが日本の経済を救う」と期待している。
チームは、神戸市内の施設で飼育しているダチョウが春先にまぶたが腫れたり、涙目になったりすることに着目。40羽の血液を調べると、27羽がスギとヒノキの抗体値が高く「花粉症」であることが判明した。
この花粉症のダチョウの卵から抗体を抽出。花粉症を引き起こすアレルゲンと一緒にヒトの皮膚に塗ると、アレルギー症状が抑えられたという。ヒトの抗体が反応する前に、ダチョウの抗体がアレルゲンの分子を覆うためと考えられる。
卵1個から取り出せる抗体は約4グラムで、染み込ませたマスクは4万〜8万枚作れる。ダチョウは年に約100個の卵を産むため大量生産でき、哺乳類の抗体を使った場合に比べるとコストも安いという。