炭酸美容、はじける人気 パック、ヘッドスパ... 
血行促進、化粧品も

 

 シュワッとした爽快感が味わえる炭酸。血行促進などの効果があるとされ、飲料や入浴剤ではおなじみだ。最近では顔用パックやヘッドスパといった美容に取り入れる動きが広がり、「炭酸泡」による効果をうたった化粧品も登場。美しさに敏感な女性たちの人気を集めている。

 ▽印象を「底上げ」

 透明なジェルを顔に塗ると、パチパチとはじける感触。塗った部分の肌がほんのり赤みを帯び、じわりと温まる-。大阪市のメディオン美容皮膚クリニックが開発した「スパオキシジェル」は、使う直前にジェルと顆粒(かりゅう)を混ぜ合わせて炭酸を発生させる顔用のパックだ。

 炭酸は二酸化炭素(CO2)が水に溶けた状態。パックを開発した日置正人(ひき・まさと)院長によると、CO2を肌から血管に送り込むと、血管内の酸素が皮膚の細胞に入り込む機能が活発になる。結果的に新陳代謝が上がって血流も良くなり、肌の弾力がよみがえったり顔色が明るくなったりするという。

 「自然にあるものを利用して、体がより活発に本来の仕事をするようにしている」と日置院長。炭酸に着目したのは床擦れ治療がきっかけだ。炭酸入浴剤を使った患者は傷の回復が早くなったと聞き、研究を開始。炭酸の濃度を保つ方法を見つけようと試行錯誤を繰り返し、パックの開発にこぎ着けた。

 クリニックでは、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患や、やけどの治療にも活用している。パックは百貨店や雑貨店を通じて販売もしており、好きな時に簡単にエステ後のような効果が得られると人気だ。購入した東京都大田区の女性医師(29)は「パックすると軽く運動した後のように上気した肌になる。顔全体の印象が底上げされる感じ」と満足げだ。

 ▽頭皮にも爽快感

 炭酸の温水で頭を洗う「炭酸ヘッドスパ」を体験できる美容室も増えている。CO2を温水に溶け込ませる機器を開発・販売するシルク・ハット(東京)の植原大貴(うえはら・ひろたか)社長は「頭皮の血行が良くなり、汚れも落ちやすくなる」と説明。爽快感が病みつきとなり、繰り返し利用する客も多い。

 この機器を導入した美容室は全国で約750店舗に広がり、ペットショップや高齢者介護施設で活用する例も増えているという。

 「炭酸泡が楽しめる」とカネボウ化粧品が昨年9月に発売したのは、「フレッシェル モイストリフト パック&マッサージフォーム」。押すだけでもっちりした泡がつくれ、顔に塗れば洗顔や保湿が一度にできる。

 噴射剤にCO2を使うことで弾力があるきめ細かい泡になり、マッサージすれば血行が良くなるといった効果が期待できるという。開発を担当した小沢啓子(おざわ・けいこ)さんは「エステの気持ち良さが家で手軽に体験できます」と話している。

2012年2月29日 提供:共同通信社