がん治療を長く続けていると、抗がん剤や放射線が効かなくなるなど、がん細胞が「悪性化」するメカニズムを、東北大の本橋ほづみ准教授(生化学)らのグループが解明し、米科学誌「キャンサー・セル」10日号に発表した。悪性化を進行させる物質を標的とした、新たな抗がん剤の開発につながると期待される。
正常な細胞は、炎症や毒物などのストレスにさらされると、たんぱく質の一種「NRF2」が核内に入り込み、ストレスから自己防御する。がん細胞にも、この仕組みがあり、抗がん剤や放射線治療からがん細胞自身を守っている。本橋准教授らは、肺がん細胞を使い、NRF2にはブドウ糖や特定のアミノ酸の代謝を活性化し、細胞増殖を促す働きがあることを突き止めた。また、がん細胞が治療などでストレスにさらされた際、NRF2が働き、細胞を増やす材料を作り出すことも分かった。
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