(岡山)腸管出血性大腸菌感染症 県内12月発生突出
 

◇すでに10件 他県は週1件程度

 12月に入り、県内で腸管出血性大腸菌感染症の発生が例年に比べて増えている。昨年までは12月の同感染症報告件数は多くても5件だったが、今年は既に10件(10人、18日現在)で、いずれもO(オー)157。冬に流行するノロウイルスと異なり、本来は高温多湿の夏場に多い感染症で、県は「全国的な傾向ではなく、原因もわからない」と首をひねり、手洗いなどの予防を呼びかけている。(竹上史朗)

 今年の同感染症発生件数は6月に11件となり、月あたりで初めて10件を突破。8月は倉敷市でO26の集団発生があり、115件と急増したが、9月11件、10月8件、11月は0件と例年並みかそれ以下のペースで推移した。しかし、12月は既に10件。管轄保健所ごとの内訳は、岡山市が6件、倉敷市が3件、備中(総社市、早島町)が1件だった。

 同感染症が伝染病予防法の指定伝染病となり、届け出が必要となった1996年8月以降、12月で最も多かったのは2004年の5件、他の年は0-3件にとどまっていた。

 県などが、10件のうち8件で検出されたO157の遺伝子を県環境保健センターで解析したところ、遺伝子の型が一致。感染源が同じ可能性もあるが、食品や職場などに共通性は見つからなかった。県健康推進課によると、12月に入って発生件数が増えているのは岡山県だけ。中四国地方の他県では週に1件あるかないかという。

 同課は、菌を死滅させるための加熱や菌の付着を防ぐ手洗い、菌を増やさないための冷蔵庫(10度以下)での食品保存を求め、「腹痛や下痢、血便など気になる症状があったら、医師の診断を受けてほしい」としている

2012年12月19日 提供:読売新聞