政府は16日、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、予防接種を受ける住民を健康状態や年齢層で4グループに分け、接種の優先順位を決める考え方などを定めた「政府行動計画」の案をまとめた。
行動計画は中国で広がるH7N9型鳥インフルエンザが人間に強い感染力を示すようになった場合などの危機管理の要となる。意見の公募をへて、5月下旬から6月上旬に正式決定する見通し。
予防接種では住民を(1)呼吸器疾患のある人や妊婦など重症化の危険性が高い人(2)65歳以上の高齢者(3)成人・若年者(4)小児―に分類。新型インフルエンザがどの年齢層に感染しやすいタイプかなどを見極めた上で、接種を受ける優先順位を決めるとした。
一般に抵抗力が強いとみられる成人・若年者のグループは、接種の優先順位が低くなることを想定するが、1歳未満だったり健康上の理由で接種を受けられなかったりする子どもを抱える保護者は、家庭内感染を防ぐため小児のグループに含めることにした。
政府はH7N9型ウイルスの懸念を受け、特措法を13日に前倒しして施行した。行動計画では新型発生で最大約64万人が死亡すると推計。流行の状況を、発生前の準備をする「未発生期」のほか、「海外発生期」「国内発生早期」「国内感染期」「小康期」と5段階に分け、国内発生早期から必要に応じて緊急事態宣言を発し、外出自粛要請ができるなどとした。
人口45%分の抗ウイルス薬を備蓄する目標や、社会機能を維持するために優先的に予防接種が受けられる業種の決定方法なども盛り込んだ。
※新型インフルエンザ対策特別措置法
2009年に流行した新型インフルエンザ(H1N1型)対策の課題を踏まえて12年4月に成立。新型インフルエンザのほか、未知の新感染症も適用対象となる。新型が発生すると、政府は対策本部を設置して対処の基本方針を決定。感染力が強く病原性が高い感染症が広まる恐れがあると判明すれば、外出やイベントの自粛要請といった対策が可能となる。新型発生前の準備段階で、政府と自治体に対策のための行動計画を策定するよう求めている。