感染症:腸内細菌 ノロウイルス捕捉を確認
北大研究チーム、米医学誌に掲載

 

腸内細菌:ノロウイルス捕捉を確認 北大研究チーム、米医学誌に掲載

 ヒトの腸内にいる常在菌の一つが感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスを識別して捕捉することを突き止めたと、北海道大などの研究チームが発表した。ウイルスの除去手法の開発につながると期待される。26日付の米医学誌ジャーナル・オブ・バイロロジーのオンライン版に掲載された。

 ノロウイルスは、腸管で増殖して嘔吐(おうと)、下痢などを起こす。佐野大輔・北大准教授(水質変換工学)によると最近の研究でノロウイルスが血液型を決める抗原に吸着することが判明。チームはこの性質に着目し、健康な人の便の中の菌を小腸内に近い環境で培養し、この抗原に似た物質を分泌する「SENG―6」という菌を探し出した。

 さらに電子顕微鏡で観察し、SENG―6が分泌した物質にノロウイルスが大量に結合していることを確認した。佐野准教授は「細菌を使って下水処理の際にノロウイルスを除去できる新手法を開発できれば、自然環境への拡散を防げるのではないか。予防する食品の開発にも役立つだろう」としている。【大場あい】

2013年6月29日 提供:毎日新聞社