花粉症などのアレルギー疾患について、症状の出方が時間帯によって異なるメカニズムを、山梨大医学部の中尾篤人教授(免疫学)の研究チームが解明した。
目や鼻、皮膚などの免疫細胞が、アレルギー反応を引き起こす物質の分泌量を、時間帯によって調整しているという内容で、マウスを使った実験で分かった。日本時間の24日、米国の学会誌の電子版に掲載された。
中尾教授は、鼻炎、ぜんそく、じんましんなどの症状が夜間から朝方に悪化することが多いのは、体内時計が関係しているとの説を2011年に発表。その詳細なメカニズムを研究してきた。
研究によると、体内時計は全身に存在する「クロック」というたんぱく質が関係するが、そのうち目の粘膜や鼻腔(びくう)内などの免疫細胞内にあるクロックが、アレルギー症状を悪化させる。クロックの働きが昼間は弱く夜間は強いため、昼よりも夜の方が症状がひどくなるのだという。
中尾教授は「点鼻薬や目薬の成分の中に、クロックの働きを弱めるような物質を加えられれば、眠気などの副作用の少ない新アレルギー薬の開発につながる」と期待を寄せ、現在、新薬開発に向けた研究も行っているという。