膠原病全身エリテマトーデス(SLE) 20代の前兆 生きる物語
  

 20代「SLE」の前兆 生きる物語 笑顔で満す

 膠原(こうげん)病の一種、全身性エリテマトーデス(SLE)患者で、佐賀県難病相談・支援センター所長を務める三原睦子さん(53)は子供の頃、「好き嫌いが激しい」性格で、オルガン、書道、そろばん――と習い事に挑戦しても、3日と続かなかった。唯一、夢中になったのがクラシックバレエだ。

 バレリーナを描いたテレビドラマを見て、小学3年からバレエ教室に。レッスンがない日も、近所の体育館で自主練習を積んだ。しかし、高校進学時に福岡県久留米市から佐賀市に移転し、教室に通えなくなった。高校では友達もなかなかできず、「入学当初は毎日泣いていた」。寂しさを紛らわそうと、教師を目指して勉強を重ねたが、これも家庭の経済事情で大学進学を諦め、佐賀県内の自動車会社に就職した。

 職場の同僚だった夫修さん(56)は、当時の三原さんは「ディスコ通い」で名をはせていたと話す。社会人になって「ダンス熱」が再燃していた三原さんはバレエ教室だけでなく、原付きバイクで、毎晩のようにディスコ通いをした。飲酒はせず、午後10時の閉館ギリギリまで数時間、踊り続けた。

 7年後に「寿退社」して結婚。約1年後、長男を出産し、翌年には次男が生まれた。体に異変を覚えるようになったのはその頃だった。夜中、次男が泣いてミルクを求めても、起き上がれない。微熱と倦怠(けんたい)感が一日中続く。日光に当たると体に発疹が出て、額にも広がっていた。

 振り返ると、前兆はあった。20代前半から、指先が赤くただれる症状があった。1人目を妊娠した頃、掃除や洗濯など家事をしただけで体が重くなった。しかし、「妊娠中や出産後は体がきつくて当たり前」と思っていたし、昔からめったに風邪をひかず、病気と思っていなかった。

 総合病院で検査をした結果は「SLE」。どんな説明を受けたか覚えていない。印象に残っているのは、医師の一言。

 「治らない病気です。すぐに入院してください」=つづく

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 ◇全身性エリテマトーデスの症状

 発熱や全身の倦怠感、内臓の病気などさまざまな症状が次々に起こる。発症する男女比は1対9程度で女性に多い。

2013年10月23日 提供:毎日新聞社