自閉症の対人障害が改善 脳内ホルモンスプレー投与で
  


自閉症の対人障害が改善 ホルモン投与で、東京大

 表情や声色から相手の気持ちを読み取るのが困難という対人コミュニケーション障害が特徴の「自閉症スペクトラム障害」を、特定のホルモンの投与で改善できることを東京大のチームが臨床実験で解明、18日付の米医学誌電子版に発表した。

 自閉症スペクトラム障害は、重度の知的障害を伴うタイプの自閉症からほぼ正常な人まで、幅広くみられる発達障害で、英、米両国では発見される割合がここ35年で60倍以上に増加している。チームの山末英典(やますえ・ひでのり)東大准教授は「治療が可能になるかもしれない」と話した。

 ホルモンは脳から分泌される「オキシトシン」。相手との信頼関係の構築に関わるとの報告もある。チームは、自閉症スペクトラム障害の成人男性40人に、オキシトシンをスプレーで鼻に1回噴霧。人が話す様子を撮影したビデオを見てもらった。

 ビデオの人は、笑顔で嫌な言葉を発したり、嫌な表情で好意的なことを言ったりするなど、表情と言葉が正反対だったが、オキシトシンを投与した人は、表情から相手の友好性を判断する回数が増えた。

 障害のある人が共通して働きが弱まっている脳の領域も活発になった。投与の効果は数時間続くという。今後は連日投与しても効果があるかを調べる。

※米医学誌は米医師会誌(JAMA)サイキアトリー

2013年12月19日 提供:共同通信社