心筋梗塞や脳梗塞の主因である動脈硬化に関わる遺伝子を特定し、発症・進行する新たなメカニズムを発見したと、三重大などの研究グループが4日、発表した。遺伝子をターゲットとした効果的な治療薬の開発につなげたいとしている。
これまで動脈硬化は、主に遺伝子のDNA配列の変化により引き起こされると考えられてきたが、グループは「メチル基」という分子がくっつく「メチル化」と、この分子が離れる「脱メチル化」という化学反応に着目。
高齢で死亡した24人の大動脈から、動脈硬化した部位と正常な部位を採取し、すべての遺伝情報を解析すると、動脈硬化した部位の三つの遺伝子でメチル化、別の三つで脱メチル化が、正常な部位に比べて著しく進んでいることが分かった。
さらにこれら六つの遺伝子は、炎症などを起こし動脈硬化に導く別の遺伝子を活発化させていることも分かった。
メチル化と脱メチル化は、食事や喫煙、大気汚染により促進される場合がある。研究グループの山田芳司(やまだ・よしじ)教授(分子遺伝疫学)は「今後、どういう条件で六つの遺伝子のメチル化、脱メチル化が進行しやすいか調べたい」と話している。