脳内炎症が疲労の引き金 ウイルス感染時、理化研
ウイルスやカビ菌など上皮系細胞に感染する場合、脳に影響が出ていることが多い。
一部の身体の異常を感じると脳は疲労感を強くする物質を脳内に出して、身体の全体の活動を抑制するということか?
インフルエンザなどのウイルスに感染した際に感じる疲れやだるさは、脳内で起きる炎症が引き金になることを理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター(神戸市)の片岡洋祐(かたおか・ようすけ)チームリーダーらがラットの実験で突き止め、米オンライン科学誌プロスワンに13日発表した。
チームによると、ウイルスに感染すると体の炎症反応が信号として脳に伝わり、疲労感が生じるとされるが、脳内の詳しい状況は不明だった。さまざまな病気に伴う疲労倦怠(けんたい)感の治療法開発にもつながると期待される。
チームはウイルスに似た物質をラットに投与し、体温39度以上、活動量が普段の約40%に落ちるなど感染症に似た状態をつくった。
脳内を調べると、タンパク質「インターロイキン1ベータ(IL1β)」など炎症性の物質が多くできていた。
同じ状態にした別のラットの脳にIL1βの働きを阻害する物質を投与すると、活動量は低下しなかったため、脳内の炎症が疲労倦怠感の原因とみられた。
発熱を抑える薬剤を与えると、熱は下がったが活動量は低下したままだったため、発熱は疲労倦怠感の直接の原因ではないとみている。
チームの大和正典(やまと・まさのり)研究員は「脳内炎症は神経疾患にも関わっているといわれている。さらに詳しく調べたい」と話す。