新基準検査値採用?人間ドック 「健康」な人が増える?
人間ドック受診者の正常・異常を判別する指標である血液検査などの基準範囲について、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会(健保連)は4日、新たな基準範囲を作成したと発表した。コレステロールや中性脂肪などは従来の学会基準と大きく異なるが、同学会は「これまでにない大規模調査の結果で、統一基準と受け止めてほしい」と説明する。【下桐実雅子】
これまでの人間ドック学会の基準は、各専門学会が設定した基準値などを用いてきた。また、人間ドックを実施する施設によっては独自の基準がある。
このため、同学会と健保連は2011年の1年間に200施設から集めた約150万人分の健診データを解析。がんなどの病歴がない▽高血圧や糖尿病などで薬を服用していない▽喫煙習慣がない――などの条件に合う「超健康人」約34万人を抽出。この中の約1万人の検査値から、健康と判定できる数値の上限と下限を決めた。性差、年齢差が統計学的にはっきりしたものは、新たに男女別、年齢別も定めた。
これまでの基準と変わらない項目もあったが、おおむね健康と判定される範囲が広くなる傾向となり、とりわけLDL(悪玉)コレステロールや男性の中性脂肪、アルコールによる肝障害の指標になるγ(ガンマ)―GTPは大幅に変わった。例えば、血液1デシリットル中のLDLコレステロールは、従来の「60〜119ミリグラム」から、「男性72〜178、女性(45〜64歳)73〜183」となった。