月経異常が卵巣癌リスク増【米国癌学会】
月経不順や稀発月経では卵巣癌リスクが2.4倍に
米国癌学会(AACR)は4月9日、AACR年次総会(4月5日‐9日開催)で発表された、「月経不順あるいは稀発月経である女性の卵巣癌死亡リスクは2.4倍増加する」という大規模前向き研究の結果を紹介した。卵巣癌は転移するまで自覚症状もほとんどなく、早期診断やスクリーニングが難しいため、生殖器癌の中では死亡率が最も高い。
今回発表された報告は、1959年から1967年の間に1万5000人以上の妊婦を登録し、50年以上追跡調査して、妊娠中の健康に影響を与える要因を研究した「小児の健康と発達に関する研究(Child Health and Development Studies)」のうち、単児出産した1万4403人の情報に基づいたもの。月経不順(35日以上の周期を含む)と無排卵に関する診療報告書および自己申告情報を利用している。報告当時26歳ぐらいだった女性の13%が月経不順であり、そのうち64人が69歳頃に卵巣癌により死亡した。
この研究の責任者であるバークレー公衆衛生研究所のBarbara A. Cohn氏によれば、卵巣癌患者の90%は卵巣癌の家族歴や遺伝性突然変異といったリスク要因がない。月経不順あるいは希発月経である女性の死亡リスクの増加は、一等親血縁者に卵巣癌の家族歴を有する女性の死亡リスクの増加(3倍)に近く、今回の結果は家族歴や遺伝性突然変異以外のリスク要因特定につながるかもしれない。Cohn氏は、「卵巣癌がどのように発症し転移するかに注目すれば、早期診断と予防につながる」と、期待を示している。
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