脳外傷、学歴高いほど回復増 【米国神経学会】
認知的予備力が回復力を高める可能性大


脳外傷、学歴高いほど回復増 【米国神経学会】
認知的予備力が回復力を高める可能性大

 米国神経学会(AAN)は4月23日、教育水準の高い人は脳外傷後の回復力に優れている可能性があるという研究を紹介した。Neurology誌(4月23日オンライン版)に掲載。

 アルツハイマー病などでは、疾患による脳損傷が同程度でも、教育水準の高い人は症状が少ないことが示されている。これは、「認知的予備力」と言われる「教育を多く受けた人は、損傷しても脳が機能を維持できる力が高い」という考え方によるもの。だが、脳外傷に対してこの予備力の差が及ぼす影響を検討した研究はほとんどない。

 本研究は、中等度から重度の脳外傷を負った23歳以上で(ほとんどが自動車事故あるいは転落による)、その後1年以上の追跡記録のある769人について、受けた教育水準別(中卒相当185人:24%、高卒相当390人:51%、大卒以上194人:25%)に分けて回復度を比較した。

 損傷から1年後、障害が見られず、職場や学校に復帰できたのは219人(28%)だった。中卒相当はわずか23人(10%)であったのに対し、高卒相当は136人(31%)、大卒以上は76人(39%)で、完全復帰の可能性は、中卒相当と比べ、大卒以上で7倍以上、高卒相当で約5倍高かった。

 研究者は「教育がどのように脳を保護し、損傷や回復力に影響するのかについてはさらに調査が必要。これらの関係を探究すれば、脳外傷からの回復力を高める方法を特定できるだろう」と述べている。

【関連リンク】
People with More Education May Recover Better from Traumatic Brain Injury

引用: 米国学会短信 外科疾患・救急 2014年5月21日(水)

2014年6月10日更新