プラズマ吸入で心筋梗塞緩和 NO濃度高め血管拡張、東京都市大
東京都市大学工学部医用工学科の平田孝道教授らの研究グループは24日、ヘリウムガスを用いて発生させた大気圧プラズマをラットに吸入させることで、心筋梗塞を緩和させることに成功したと発表した。プラズマ吸入によって、血中の一酸化窒素(NO)濃度が上昇、血管が拡張することで血圧が下がり、血流量が増えることを立証した。今後、大型動物やヒト心筋細胞を用いた試験を開始する計画。将来的に臨床応用を目指す。
実験では心筋梗塞発症モデルラットに対して、麻酔ガスと大気圧プラズマを混ぜて吸入させた。ラットの経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の時間変動を計測したところ、SpO2が83%から97%に増えた。血圧の時間変動でも最高血圧で88mmHgから73mmHgに、最低血圧でも81mmHgから60mmHgにそれぞれ降下した。血中の一酸化窒素(NO)濃度は一定期間上昇し続けたという。
酸素濃度の増加と血圧降下は、プラズマ吸入が引き金となって血中のNO濃度が上昇、血管平滑筋が弛緩することで血管が拡張され、血流量が増えることが要因であることがわかった。これにより、プラズマ吸入が心疾患による血流量の減少を改善できる可能性があることが示唆されたという。
同研究成果は30日付の英国物理学会出版局のオンラインジャーナル「IOP science」に掲載される。
引用:化学工業日報 2014年06月26日(木)