5月の健康増進法施行などを機に公共スペースを禁煙にする動きが強まっているが、煙害で不快な思いをしている人は依然多い。「全面禁煙にしてほしい場所」を聞いたところ「路上」=写真は東京都千代田区大手町=が一位となった。
                  
                  路上での歩きたばこは、煙やにおいだけでなく、すれ違いざまにやけどを負ったり、服に穴があいたりなど深刻な被害を受けた人が多数。「手の甲にあたって熱かった」(20代男性)、「コートに焼け焦げを付けられた」(40代女性)……。怨嗟(えんさ)の声が相次いだ。
                  
                  手に持ったたばこが、子どもの顔とほぼ同じ高さになる危険性も指摘、中には「ポイ捨てしたたばこがベビーカーの中に飛んできた」(40代女性)という、一歩間違えれば惨事になりかねない被害もあった。横断歩道付近は「青になった瞬間に投げ捨てていく」(20代女性)吸い殻の山で見苦しい。
                  
                  東京都千代田区などで制定されている路上喫煙禁止条例では、1、2位とも処罰の対象になる(指定区域内)。「住民や区内通勤者はルールを知っているが、地方から来た人は知らない人が多い」(同区)。全国でみれば路上の歩きたばこがまかり通っている。
                  
                  3−5位はいずれも鉄道関係。首都圏の私鉄各社がホーム、駅構内の全面禁煙化に踏み切ったが、全国的にはまだ不満を持つ人が多い。喫煙場所を除き終日禁煙の駅構内でも「ルールを無視して所構わず吸う人が目につく」(20代男性)。
                  
                  新幹線などの長距離列車の喫煙、禁煙車両の割合に不満する人も多い。JR各社によると、新幹線の禁煙車両の割合はおおむね3分の2程度。禁煙車の方が多いとはいえ、「予約が取れずに喫煙席に座ったら煙が充満して座っていられなくなった」(20代男性)という事態がしばしば起こる。禁煙車に乗ったのに、「隣の人が頻繁にデッキに出て吸い、帰ってきたときのにおいが不快」(20代女性)なのも迷惑だ。
                  
                  6位のファミリーレストランは、一般の飲食店や喫茶店などを上回り、飲食関係で最も全面禁煙を望む声が多い。子ども連れが多いことが主な理由だ。分煙が十分でなく、「禁煙席に座ったらすぐ隣が喫煙席。煙が流れてきて意味がなかった」(40代男性)。
                  
                  子どもが遊ぶテーマパーク・遊園地も「吸わないで」という声が多い。屋外が多いだけに喫煙者も配慮を怠りがちだが、「たばこを吸いながら子どもを遊ばせてる親を見て気分が悪くなった」(30代女性)。ベンチ周辺のポイ捨てへの批判も強い。
                  
                  映画館やコンサートホールは、長時間吸えない反動か、ロビーの喫煙スペースでひっきりなしに吸う光景が見られる。「イスのある場所が喫煙場所になって座れない」(40代女性)と"喫煙者優先"の現状を批判する指摘もある。
                  
                  職場では「社長以下幹部が軒並みヘビースモーカー。社内での歩きたばこさえまかり通っている」と40代の女性。「髪や服がくさくなるばかりでなく、男子職員が吸った吸い殻の後片付けを女子職員がさせられ腹が立つ」(30代女性)との声もあった。
                  
                  回答の中には、「自室以外はすべて禁止すべきだ」との主張や、「たばこの煙アレルギーで呼吸が苦しくなり、目も痛くなる。外出のたびに防毒マスクをつけたいくらい」との切実な訴えもあった。
                  
                  喫煙者に「全面禁煙になったら困る場所」を聞いたら、「居酒屋・バー」がトップ。アルコールと紫煙は切っても切り離せない、ということか。たばこを吸わない人が全面禁煙を望む場所の中では、「ファミリーレストラン」が4位に、「路上」「テーマパーク・遊園地」も上位に入った。
                
                
                   
                    | 1 | 路上 | 東京都千代田区を皮切りに杉並区、広島市、福岡市などが歩きたばこ禁止に踏み切る | 753 | 
                   
                    | 2 | 横断歩道付近 | 信号待ちの時間でちょっと一服。「歩行中より煙を避けにくい」(30代女性)面も | 370 | 
                   
                    | 3 | 鉄道のホーム | 全面禁煙化は一部私鉄のみ。喫煙場所以外で吸う不心得者への批判も多い | 279 | 
                   
                    | 4 | 駅構内 | JR西日本が10月から駅構内を全面禁煙化。ルールを守らない喫煙者も少なくない | 254 | 
                   
                    | 5 | 列車の中 | 禁煙車が満席で喫煙者に座らざるを得ないケース。「逃げ場がない」(50代男性)のがネックに | 240 | 
                   
                    | 6 | ファミリーレストラン | 飲食店関係では最も全面禁煙を望む声が多かった。分煙対策の不十分さを指摘する意見が多い | 224 | 
                   
                    | 7 | 公園 | 全面禁煙の公園はごく小数。ベンチなどの周りに散乱する吸い殻が見苦しい。 | 168 | 
                   
                    | 8 | テーマパーク・遊園地 | 子どもへの影響が心配。「乗り物待ちに待ちの行列でたばこを吸われ不快な思いをした | 166 | 
                   
                    | 9 | 映画館・ホール | 客席はほぼ100%禁煙だが、ルール違反の喫煙者がいる。煙でスクリーンが見にくくなる弊害も | 155 | 
                   
                    | 10 | 職場 | 分煙が不十分という不満が目立つ。影響が長時間に及び、健康面への懸念も | 154 |