尿酸値が高いと医者は「肉やビールを控えなさい」とよく言う。これらの食品には尿酸を作るプリン体がたくさん含まれているからだ。ところが食べ物から摂取するプリン体の量は、それほど気にすることはないということが分かってきた。それよりもアルコールや肥満の方を気をつけるべきなのだ。

口から入ったプリン体は腸で分解され排せつされるが、一部は腸が吸収し肝臓で分解、尿酸になる。しかし、その量は多くはない。ところが細胞の新陳代謝によって、壊れた細胞の核からたくさんプリン体が作り出され、肝臓で尿酸に作り替えられる方が多いと考えられている。

そこでビールに含まれるプリン体よりも、アルコールそのものが問題視されるようになった。アルコールは体内のプリン体の分解を促進し、尿酸の量を増やす。またアルコールの分解過程でできる乳酸は、尿酸が体外に出るのをさまたげるので、毎日たくさん酒を飲めば尿酸値が上がる。

酒を飲む人には肥満者が多い。内臓に脂肪がたっぷりつく内臓肥満も起こしやすい。こうなると体内にインスリンが増えてくる。尿酸は老廃物だから尿として出ていくはずだが、インスリンが多いと尿酸が再吸収され体に戻り、血中の尿酸値が増えるという。

肥満の人は、まず減量すること。暴飲暴食を避ける。食事なら鍋ものがおすすめだ。肉、魚介類だけでなく低カロリーの野菜やキノコ類をたっぷり入れて食べる。ただし、モチやめん類を仕上げで、などといって食べ過ぎると元も子もない。もちろんお酒の方も控えめに。
(新宿医院院長  新居 裕久)
2005.2.12 日本経済新聞