リフレクソジー

足裏をマッサージするリフレクソロジーの人気が一段と広がっている。専門のサロンは盛況で、癒やしの技術をマスターしようと学校に通う人も多い。すぐにプロを目指すという人ばかりではなく、役立つテクニックを身に付けておきたいという姿も目立つ。

今回は東京、新宿の「青山フットケアアカデミー」の講座を訪ねた。ここは、リフレクソロジーだけではなく、ふくらはぎをマッサージするレッグアロマ、足に負担がかからない靴の補正などを学ぶフットケアといった「足・靴・歩行」を一体とする総合的な技術に重点をおく。東洋式リフレクソロジーに西洋式を取り入れた独自の技術という。

もともとリフレクソロジーは「反射学」と訳される。
人間の頭、手、足にあるといわれる反射区を刺激することで、ストレスや肩こり、腰痛、むくみ、冷え性といった体の不調を解消し、人間が本来持っている自然治癒力を高めることを目的にしたものだ。

この日の生徒は女性2人に男性1人の計3人。多くても6人までの少人数制だ。女性の受講者が大半で主婦も多い。最近は男性の受講者も見られるようになってきた。実際に施術をしているサロンの一角を使って指導が行われる。

リフレクソロジー、レッグアロマトリートメント、自然療法フットケアといった中から、習いたいものだけを選んで受講できる単科コースもあるが、この日はプロを目指すマスターコースの授業風景をのぞいた。3つの技術をすべて習得した足のスペシャリストを目指す。

初心者も卒業間近の生徒も一緒に指導を受ける。内容は実践が中心。生徒同士でマッサージを受ける側と施術する側になり、それぞれ進行具合に応じてインストラクターが細かく指導していく。

ふくらはぎのマッサージにも重点が置かれているため、ベッドにうつぶせになって施術を受けるのも特徴。まずはこの日が初めての授業の村沢慶子さん(26)がレッグアロマトリートメントの指導を受ける。

「いちばん大切なのはお客様に寝てもらう場所です。つま先がベッドの端にくるようにしてください」。コツを伝えながらまずインストラクターの宮島裕子さんが実践。それを手本に生徒が実際にやってみる。
「手のひらをいっぱい使っておなかを意識してください」「力は使いません。体重を乗せて、肩からではなくおなかからいく感じで」

マッサージの基礎からタオルのたたみ方まで、一通りの流れをインストラクターの指導のもと体験する。

「実際やってみないと身につかないというのを肌で感じました。受け身じゃだめですね」と村沢さん。「一生役立つ技術を身につけたい」と思い、リフレクソロジーを選んだ。まず説明会に参加して、次に実際の施術を体験。その際自分の歩き方のくせや腰痛との関連性を指摘され、総合的な知識と技術を学べる点にひかれたそうだ。

「足の裏を触れば、その人の歩き方のすせなどもわかるようになりますよ」と宮島さんはいう。

卒業間近の五十嵐理江さん(29)も、なにか手に職をつけたいと考えたのがきっかけ。

「もともとフットマッサージのサロンに通うのが好きで、自分でできるようになれば家族や友人などにもやってあげられるなと思って。今もときどきやってあげていますよ」

同アカデミーには、足のことを学ぶために通っている、靴の販売員もいる。実は自分にぴったり合う靴をはいている人は意外に少ないようだ。マッサージだけではなくフットケア、インソール(中敷き)、歩行のことなど総合的に学べる点が人気という。
(ライター  鈴木 寛美)


2005.9.3 日本経済新聞