副腎疾患のひとつアジソン病になると、全身がだるく、脱力感、食欲不振に悩まされる。日焼けしにくい唇や歯茎、ツメや手のしわなどに色素沈着がおきるのが特徴でもある。発症する割合は、10万人に数人といわれている。

腎臓の上にある3種類のホルモンを分泌する副腎皮質の働きが弱まり、全身症状がでる。働きを高めようと脳から別のホルモンが過剰に出て、その影響で皮膚の色素沈着が起きる。まれに遺伝性があるが、大半が自己免疫によって副腎皮質が破壊されるためとされる。昔は結核菌が原因となることが多かった。

副腎皮質から出るホルモンのうち、糖代謝や免疫維持に不可欠なコルチゾールの補充によって治療する。一生薬が手放せなくなるが「日常生活に支障が出ることはない」と東京医科歯科大学の平田結喜緒教授はいう。

コルチゾールは、けがや感染症にかかると分泌量が5−10倍になり体の抵抗力を高める。アジソン病の人は大量補充が必要だが、病気を知らずにいると命を落とすことにもなりかねない。症状が当てはまる場合は、一度専門医に診てもらおう。



アジソン病の主な症状

▽日焼けしにくい部分の色素沈着
・唇、歯茎、口の中の粘膜
・ツメの縁
・手術跡や傷跡のふち
・手のひらの溝、指の関節
▽全身症状
・低血糖
・全身のだるさ
・やせてくる
・低血圧
・性欲定価、(女性なら)無月経


2005.9.4 日本経済新聞