| 連日の猛暑で、汗ばんだ体を洗ってさっぱりしたいところ。ここで気をつけたいのが頭皮のケア。汚れを洗い流したり、逆に手足と同じようにごしごしとこすりすぎたりすると、傷めかねない。ただでさえ強い日差しで髪に負担がかかる季節。どのように対処すればよいのか。
 7割に炎症など
 3月に仙台で開いた日本薬学会。花王の研究チームが首都圏の男女345人の頭皮を調べた結果を発表した。
 
 「7割以上に炎症や吹き出物などの症状が見つかった」。炎症が約7割、フケが3割、吹き出物が2割。頭皮が乾燥して荒れてしまい、フケが出ている人もいた。
 
 洗髪の回数が増えている現代人にトラブルが多いのは意外だった。
 
 薄毛や抜け毛、頭皮のケアに詳しい脇坂クリニック(大阪市)の脇坂長興院長は「フケや、皮膚の油分である皮脂が抜け毛をひどくするとの思いから、頭皮を強く洗いすぎる人がいる」と指摘する。
 
 頭皮の表面は角質という細胞で覆われている。新しい細胞が4週間程度で表面に現れ、入れ替わる。強い力で角質がはがれると、生きた細胞がむき出しになる。かぶれやアレルギーの原因になる。
 
 最も汚れやすく
 花王によると、体の中で最も汚れやすいのが頭皮。皮脂が漏れ出る皮脂腺の数は額の2倍以上。汗の出口となる汗腺の数も腕や背中より多いという。そのうえ、いつも髪の毛が覆っている。
 
 皮脂が多いと、マラセチアというカビの一種が増える。赤くただれる脂漏性皮膚炎の元凶だ。
 
 清潔にしないといけないが、洗いすぎるとトラブルを起こす悪循環。大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学講座(アデランス寄付講座)の乾重樹・助教授は「とにかく頭皮にツメを立てないように」とアドバイスする。
 
 多くの専門家が口をそろえる頭皮の洗い方はこうだ。
 
 最初に頭皮や髪をよくぬらしておく。シャンプー容器を2回押すと、洗髪1回に十分な6グラムが手に取れる。しっかりと泡立てて、髪や頭皮になじませる。頭皮は指の第一関節までの腹で押し洗い。
 
 シャンプーの成分が残ると刺激になる。最後は沢山の湯ですすぎ落とす。
 
 夏場は強い紫外線に頭皮や髪をさらす機会が多い。頭皮はあふれ出た皮脂や汗が紫外線で酸化して悪さをする。
 
 「髪についても表面を覆っているキューティクルがはがれやすい」と乾・助教授は説明する。
 
 シャンプーを泡立てずに髪の毛同士をこすり合わせるのは、切れ毛やぱさつきを増やす。頭皮に負担の少ない弱酸性や潤いを保つ作用のシャンプーを選ぶのも有効だ。
 
 ドライヤー離す
 ドライヤーで乾かすときも、送風を熱いと感じるようだと髪や頭皮が傷む。頭部からドライヤーを離して使おう。
 
 いたんだ髪は自然に治るわけではない。それだけにあらかじめ慎重なケアが求められる。頭皮を健康に保つには、角質をしっかりと育てる必要がある。暴飲暴食や寝不足、不規則な生活は改めたい。
 
 栄養バランスのとれた食事や適度の運動は頭皮にもよい。脇坂院長は「1日に抜け毛が100本あっても自然」と語る。
 
 ただ頭皮や髪のトラブルは皮膚や甲状腺の不具合など大病が潜んでいる恐れもある。自己流のヘアケアで何とかなると思わずに、気になるようなら専門医を訪ねよう。
 
 (加藤宏志)
 
 
                  
                    | 
 
 
                        
                          | 1 十分な湯でよくぬらす 2 シャンプーは手でしっかりと泡立てる
 3 指の腹で押し洗い
 4 髪はむやみにこすり合わせない。泡は完全にすすぐ
 5 ドライヤーで加熱しすぎない
 |  
 |  |