更年期症状の軽減のためにエストロゲンを使用する
HRTホルモン補充療法はオーケー

内分泌医学会が比較的若年の女性におけるHRTを奨励

心疾患リスクどころか、それらの疾患からの保護作用の可能性も・・・

米国臨床内分泌医学会がホルモン補充療法と心臓血管リスクに関する声明を発表し、HRTは早期に閉鎖したの比較的若年の女性に有害とは思われず、この群において確かに有用である可能性があることを強調した
Sue Hughes

-WebMDの専門ニュースサービスHeartwireより-

【1月7日(フロリダ州ジャクソンビル)】米国臨床内分泌医学会(AACE)がホルモン補充療法(HRT)と心臓血管リスクに関する声明を発表し、HRTは早期に閉鎖した比較的若年の女性に有害とは思われず、この群において確かに有用である可能性があることを強調した[1]。「このことを考慮し、エストロゲン治療が更年期症状を軽減する強力な効果を考えて、我々は、医師が更年期症状の軽減のためにエストロゲンを使用することを女性に助言しても差し支えないと考える。それぞれの患者の、症状の重症度、年齢、およびホルモン療法の使用に影響する可能性のある特別なリスクファクターについて評価すべきである」と声明は結論づけている。

声明の執筆者の一人であるAACE前会長のRhoda Cobin博士(マウントサイナイ医学校、ニューヨーク)は、利用可能なすべてのエビデンスを再検討した結果、閉経に近い比較的若年の女性は高齢女性と比較して、心臓血管リスクの点でHRTをそれほど恐れる必要がないことが示唆されると、heartwireに語った。「データは、エストロゲン補充がこれらの比較的若年の女性を心疾患から保護する可能性すらあることを示唆しており、閉経に近い女性をいくらか安心させるものだと我々は考える。そしてたとえ保護作用がないとしても、害を及ぼすようには思われないため、おそらく更年期症状の治療に安全に使用することができるだろう。エストロゲンの使用に適した時期があるように思われる」。

博士は次のように付け加えた:「HRT試験に基づくすべての否定的な発表の後、医師は現在、ともかくエストロゲンを処方することを恐れている。しかし我々は、そのような治療には長所と短所があり、特に心臓血管リスクはすべての人にとって同じではないと考えている。HRTを処方することを考える際には、それぞれの女性について個別に検討すべきであり、多くの因子を考慮に入れるべきである。これらの因子には、年齢、閉経からの時間、その他の心臓血管および血栓のリスク、ならびに更年期症状が含まれる」。

「エビデンスでは特に、エストロゲン単独療法は比較的若年の女性においては心臓血管疾患または乳癌の増加に関連していなかったことを再保証している。したがって早期に子宮摘出術を受けており、それゆえプロゲステロンを使用する必要のない女性から、エストロゲン補充療法を受ける機会を奪うべきではない」と、Cobin博士はコメントした。

AACE声明は、動物実験において、エストロゲンは早期のアテローム性動脈硬化の進行を抑えるのに有効であるが、老齢動物の、より進行したアテローム性動脈硬化の進行を抑える効果ははるかに低いことに言及している。これらの観察の後、年齢または閉経からの時間によって層別化した時の心臓血管リスクに対する治療の影響を明らかにするため、主要なHRT研究で得られたデータの再検討が行われた。

Nurses' Health Studyの再評価から、閉経近くにホルモン療法を開始した女性はCHDのリスクが有意に低下したことが明らかになった(エストロゲン単独の場合はRR=0.66;エストロゲンとプロゲスチンの併用の場合はRR=0.72)。比較的若年の女性(60歳未満または閉経後10年未満)と高齢女性における結果を比較した23のHRT試験に関する最近のメタアナリシスにおいて、前者ではHRTによってCHD事象が有意に減少した(OR 0.68)が、後者では減少しなかった(OR 1.03)ことが明らかになった。さらにWomen’s Health Initiative(WHI)試験において、閉経からの時間によって層別化したと
き、CHDのハザード比は、閉経開始から10年未満の女性では0.76、閉経開始から10?19年の女性では1.1、および閉経開始から20年以上の女性では1.28であった。年齢によって層別化すると、心臓血管疾患のハザード比は、年齢が50?59歳の女性では0.93、年齢が60?69歳の女性では0.98、および年齢が70?79歳の女性では1.26であった。

AACE声明は、最終月経から36カ月以内の年齢が42?58歳の女性720例における5年間のHRTとプラセボを比較する評価を行っているKronos Early Estrogen Prevention Study(KEEPS)によっ て、比較的若年の女性におけるHRTに関して、更なるデータが得られる予定であることに言及している。エンドポイントには、頸動脈内膜中膜肥厚および冠動脈のカルシウム沈着の進行の防止が含まれる予定であるが、結果が利用可能になるには数年かかるだろう。

1. American Association of Clinical Endocrinologists. AACE Analysis shows no excess cardiovascular risk from hormone replacement therapy for most patients [press release]. January 2, 2008. Available at:
http://www.aace.com/newsroom/press/2008/index.php?r=20080102-1.

Heartwire(WebMDの専門ニュースサービス)の全文は、www.theheart.org(心血管領域の医療専門家向けウェブサイト)で閲覧できる。

2008.1.7 記事提供 Medscape