カフェインは怖いんだな〜

BMJ誌から
コーヒー1日2杯でも胎児に発育遅延のリスク
妊娠週数を問わず妊婦はカフェイン摂取を極力控えるべき

大西 淳子=医学ジャーナリスト

妊婦のカフェイン摂取が胎児の発育に悪影響を与え、出生体重の低下に関係することが示されてきたが、摂取量と発育遅延レベルの関係を厳格に調べた研究はなかった。CARE Study Groupの英Leicester大学Justin C Konje氏らは、大規模な前向き観察研究を行い、1日にコーヒー2杯(1杯のカフェイン含有は100mg前後)程度であっても、カフェイン摂取と胎児の発育遅延リスクの関係が有意になることを示した。詳細は、BMJ誌電子版に2008年11月3日に報告された。

カフェインは胎盤を通過する。胎児への影響を考慮して、英米では、妊婦のカフェイン摂取は300mg/日以下を推奨している。しかし今回、それより少ない摂取量でもリスクが上昇する危険性が示された。

著者らは2003年9月から2006年6月まで、英国の2病院の産科で妊娠8〜12週の低リスク妊婦2635人を登録した。平均年齢は30歳で、妊娠前のBMIの平均値は24.5だった。

妊娠前4週から出産までの全ての摂取源(食物と薬剤)からのカフェインの摂取量を、英Leeds大学が作製し精度を確認済みのカフェイン評価質問票を用いて求めた。妊娠4週前から妊娠8〜12週、妊娠13〜28週、妊娠29〜40週に分けたカフェイン摂取量も計算した。

カフェインクリアランスの代替としてカフェインの半減期を調べた。登録から2週間以内に、空腹時にカフェインを含むダイエットコークを飲み、それ以外にカフェインを摂取しない状態で1時間後と5時間後に唾液を採取し、唾液に含まれるカフェイン量を測定することにより半減期を推定した。

飲酒は自己申告とし、喫煙については自己申告に加えて唾液に含まれるコチニン濃度を測定して確認した。

主要アウトカム評価指標は、胎児の発育遅延に設定。今回は、母親の年齢、身長、体重、人種、出産経歴と、新生児の出生体重、性別を考慮した発育パーセンタイルチャートにおいて、体重が10パーセンタイル値未満を発育遅延とした。

2635人の妊婦が出産した2635人の新生児のうち、発育遅延は343人(13%)だった。

妊娠中の飲酒は平均0.4ユニット/日(95%信頼区間0-9)だったが、飲酒量が最も多かったのは妊娠前と妊娠4週目までだった。

妊娠期間全体では、カフェイン摂取量の平均は159mg/日だった。摂取量は妊娠初期に減少、妊娠後期には増加していた。妊娠前の平均は238mg/日、妊娠5〜12週には139mg/日で、妊娠中期はこのレベルが維持されたが、妊娠後期になって徐々に増加して153mg/日になっていた。

カフェイン摂取源としては、紅茶が62%、コーヒーが14%、コーラが12%、チョコレートが8%、ソフトドリンクが2%など。市販薬からのカフェイン摂取はわずかで、無視できるレベルだった。

妊婦のカフェイン摂取は、胎児の発育遅延リスク上昇と関係していた。摂取量が100mg/日未満のグループに比べ、100〜199mg/日ではオッズ比1.2(95%信頼区間0.9-1.6)、200〜299mg/日ではオッズ比1.5(1.1-2.1)、300mg/日以上では1.4(1.0-2.0)(傾向性のp=0.02、以上は飲酒と唾液コチニン濃度で調整)だった。この関係は、妊娠初期、中期、後期を通じて認められた。

200mg/日以上摂取したグループでは、100mg/日未満のグループに比べ、産児の体重が60〜70g少なかった。

カフェイン摂取量が妊娠後に大きく減少した(妊娠前は300mg/日だったが妊娠5〜12週に50mg/日未満に減少)109人の妊婦と、妊娠中も300mg/日以上の摂取を続けていた193人の妊婦で産児の体重を比較すると、差は161g(24-297、p=0.02)になった。

妊婦におけるカフェインの半減期と胎児の発育遅延の関係は、半減期が中央値より短い妊婦の方が中央値より長い妊婦群より強かった(交互作用の検定のp=0.06)。

以上のように、妊婦のカフェイン摂取は、喫煙と飲酒で調整しても胎児の発育遅延リスクの上昇と関係しており、この現象は妊娠期間を通じて見られた。摂取量の閾値は同定できなかったが、100mg/日未満ではリスクは低いと考えられた。

妊娠を望む女性には、妊娠前から出産までの全期間にわたってカフェインの摂取を極力控えるよう注意を与える必要がある。

2008.11.21 記事提供 日経メディカルオンライン