誕生季節で違うアレルギー発症

生後早期の真菌および花粉への曝露によって早期喘鳴のリスクが上昇する

大気中の胞子または花粉濃度が高い時期に生まれた子は2歳時点での早期喘鳴のリスクが高い。

Fran Lowry

 

【2月24日】大気中の胞子または花粉濃度が高い時期に生まれた子は2歳時点での早期喘鳴のリスクが高いという研究結果が『Thorax』のオンライン上で公表されている(2月24日)。

「空気アレルゲンへの曝露は明らかに喘息の悪化に関連があるが、空気アレルゲンへの曝露が疾患誘導に果たす役割はほとんどわかっていない」とカリフォルニア大学(バークレイ)公衆衛生学部のKim G. Harley, PhDらは記述している。「アレルゲンに応答するためのT細胞の初回プライミングは妊娠後期から新生児期の間に起こると考えられており、生後早期の環境アレルゲンへの曝露によって、Th2細胞が優勢となるようなT細胞のスイッチングが促進される可能性がある」

本研究の目的は、生後3カ月間の環境中の胞子または花粉の多さによって生まれ月と2歳時点での早期喘鳴との関連を説明できるかどうかを検討することであった。

また、研究者らはフローサイトメトリーを利用して、生後24カ月時の末梢血中のTh1およびTh2型細胞を測定し、サイトカインプロフィールと生後早期の空気アレルゲンへの曝露との関連性を検討した。

本研究は、低収入の主としてメキシコ系移民家族の健康に対する環境曝露の影響を検討する出生コホート研究機関である、Center for the Health Assessment of Mothers and Children of Salinasに登録されている小児514例に関する分析であった。小児は在胎中に登録され、生後24カ月まで追跡調査された。胞子および花粉濃度は、全児の在胎中-生後24カ月に相当する1999年10月-2003年7月に測定された。

全体では、35名の小児(6.8%)が早期喘鳴と診断された。秋または冬(環境中の胞子濃度が高い期間)に生まれた小児は、生後24カ月までの早期喘鳴のリスクが最も高かった(補正オッズ比:3.1; 95%信頼区間 [CI]:1.3%-7.4%)。生後3カ月間の担子胞子および子嚢胞子の平均1日濃度の上昇(曝露の四分位範囲あたりの補正オッズ比、それぞれ2.1および2.8)ならびに生後3カ月間の総花粉濃度の上昇(補正オッズ比:2.0; 95% CI:1.1%-3.9%)は、早期喘鳴のオッズ上昇に関連があった。糸杉、オーク、松、アルダー、桑の花粉は特に早期喘鳴のオッズ上昇と強い関連があった。

Th1型細胞の中央値は、総CD4+リンパ球の3.4%であった(四分位範囲:3.07;範囲:0.03-21.6)。Th2型細胞の中央値は、CD4+細胞の0.9%であった(四分位範囲:0.8;範囲:0.4-4.1)。生後24カ月時のTh1細胞のレベルと、生後3カ月の平均胞子濃度の間には正の相関が認められ、生後3カ月の平均花粉濃度との間には負の相関が認められた。

「早期喘鳴と多くの抗原性の胞子・花粉との間に関連が認められたにもかかわらず、われわれのTh表現型データからは、この関連とアトピー性感作との関係の可能性についてまったく知見が得られない」と著者らは記述している。「小児におけるThの成熟を支配する発達過程および早期喘鳴がみられてもほとんどの小児は後に小児喘息を発症しないという事実を考慮すれば、本研究においてTh表現型と抗原曝露との間に明らかな関連が認められなかったことは意外なことではない」

本研究の制限の1つは、出生-生後3カ月の間に胞子に曝露した小児は、生後3-6カ月に高濃度の花粉にも曝露した可能性があるという点である。「このため、担子胞子および子嚢胞子に関連した喘鳴のオッズ上昇は実際には少し後の花粉曝露の影響であるかもしれない」と著者らは記述している。

もう1つの制限は、空中を浮遊する粒状物質またはRSウイルスが花粉および/または胞子と喘鳴との関連に影響を及ぼした可能性があるという点である。著者らは粒状物質についてはコントロールできたが、RSウイルスについてはコントロールできなかった。

さらに、「対象とした小児において皮膚プリックテスト評価によるアトピー状態の情報が得られなかったため、アトピー性の喘鳴と非アトピー性の喘鳴を区別できなかった。非アトピー性の小児の喘鳴の多くは後の小児期に症状が消失するため、このことは重要である」

著者らは次のように結論している「大規模なメキシコ系移民集団において、胞子または花粉濃度が高い時期の出生と2歳時点での喘鳴との関連が認められた」

本研究は、米国立環境衛生科学研究所および米国環境保護庁の資金提供を受けた。著者らの情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。

Thorax. Published online February 24, 2009.

Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape


2009.3.2 記事提供 Medscape