降圧薬年代別患者数シェア

第3回 降圧薬の年代別患者数シェア

2008年10月から12月の期間内で、対象となる降圧薬(Ca拮抗薬、ARB、利尿薬など)を1つでも服用した実患者数を示す。これらの患者数データから、どのようなことが言えるだろうか?

討論のポイント

1 「0から49歳」の若年層以外で、降圧薬として処方された患者が最も多いのは、【Ca拮抗薬】。特に年齢が「65から79歳」「80歳以上」の患者層では、全体の7割近くに処方されている。
このデータは、実患者数を示している? 【Ca拮抗薬】が最も多いのはどういう理由からか?(コメント:3件/拍手:70件)
2 「80歳以上」の患者層で、【利尿薬】の処方患者割合が、他の患者層に比べて多い。
このデータは、実患者数を示している?
 この患者層に処方者数が多いのは、降圧薬以外の目的で処方されている?(コメント:4件/拍手:45件)
3 「0から49歳」の若年層に限ってみると、降圧薬として処方された患者が最も多いのは、【ARB】。
このデータは、実患者数を示している? この年齢層だけ【Ca拮抗薬】よりも処方患者数が多いのはどういった理由からか?(コメント:3件/拍手:44件)
ページ全般へのご意見(コメント:2件/拍手:3件)

投稿コメント

このデータは、実患者数を示している? 【Ca拮抗薬】が最も多いのはどういう理由からか?

循環器科・男・勤務医 (循環器科・男・38)2009-07-02 14:08
現在は新規に開始する場合にはARBが多いかもしれないが、数年前まではCa拮抗薬を第一選択で処方するのが突出していたと思われる。以前からの継続処方されている関係で65-79歳はCa拮抗薬が多く、新規処方が多い49歳以下ではARBが多いと思われる。
Ca派 (その他・男・43)2009-07-03 20:52
確実な降圧作用があるCa拮抗薬は、しっかり血圧をコントロールしたい高齢者層で選択されやすい。また、高齢者層では高血圧治療が既に数年、十数年という患者さんも多いと思われ、ARBがまだあまり定着していなかった時代からCa拮抗薬を処方されていた方も多いだろう。逆に、若年層でARBが相対的に多く処方されているのはうなずける。年齢が上がってくればCa拮抗薬の切り替え、併用はあるだろう。全体的には納得がいく結果である。
無派閥 (循環器科・男・30)2009-07-04 12:20
ACEIやARB、利尿剤は特に高齢者では高カリウム血症、腎血流量低下などの副作用があって症例によっては使いにくい。それに比べてCaブロッカーは、あまり副作用を気にせず使えるので、特に降圧剤を最初に処方するプライマリ医の先生方からの処方が多いからではないでしょうか。

このデータは、実患者数を示している? この患者層に処方者数が多いのは、降圧薬以外の目的で処方されている?

脳神経外科・男・勤務医・45 (脳神経外科・男・45)2009-07-02 10:36
高齢者において利尿剤の投与が多いのは、高齢者で味覚の低下による塩分の過剰摂取による高血圧が増えてくるためと高齢者では食塩感受性高血圧が多いためであるが本来はもっと塩分を排出させる利尿剤が投与されていても良いと思われる。
循環器科・男・勤務医 (循環器科・男・38)2009-07-02 14:03
高齢者では塩分摂取量が過剰なことが高血圧、ひいては心不全の一因と思われる。下肢浮腫、血液検査でのBNP値などを参考に高血圧に利尿剤を少量投与するケースがこの年齢層では多いのではないか。
呼吸器内科・男・勤務医 (内科・男・48)2009-07-08 09:54
高齢者に対しては、脱水・頻尿・電解質バランスの崩れなどの副作用から、それ程処方は多くは無いと思っておりましたが、案外処方割合が高くて、少し以外でした。浮腫などに対して、短期間の使用は多いと思いますが・・。
内科・男・勤務医・41 (内科・男・41)2009-07-22 15:58
高齢者高血圧ではガイドライン上第一選択薬はCa拮抗薬、ARB、少量の利尿薬のいずれも可となっている。高齢者では一般的に食塩感受性が高く、RA系はあまり亢進していないことから利尿薬が有用である。SHEP、STOP-Hypertension、HYVET等の大規模試験で有用性も証明されている。高齢者における利尿薬の利点は、Ca排泄抑制効果による骨粗鬆症予防の可能性もある。また心拡張不全による心不全などにも利尿薬の効果は期待できる。80歳以上の高齢者は高血圧の治療歴も長く比較的早く開発されて処方されるようになった利尿剤が今も継続して処方されている可能性がある。

このデータは、実患者数を示している? この年齢層だけ【Ca拮抗薬】よりも処方患者数が多いのはどういった理由からか?

田舎の竹医者 (腎臓内科・男・149)2009-07-02 15:53
このデーターだけでは何とも言えません。単純に高血圧しか疾病が無いという人は何人いるのか?他の合併している疾患の種類によって、ARBを投与するのか、Ca拮抗薬を投与するのか、また他の降圧剤を投与するのか使い分けが変わってくると思います。それにしても、高齢者で利尿剤の投与が多いのは、それだけ心不全(慢性)を合併している人が多いからではないでしょうか。また、ここ数年はARBブームなので、てっきり最も投与の多いのはARBと思っていましたが、全般にCa拮抗薬の方が多いのには、ちょっとびっくりです。
高血圧 (内科・男・41)2009-07-03 12:35
英国のガイドラインでも55歳以下の若年者ではRA系抑制薬が推奨されている。若年者では交感神経系の緊張が亢進している例が多く、それを抑制できる可能性のあるRA系抑制薬が使いやすい。また頻脈になりやすいCa拮抗薬は若年者では使いにくい。
低血圧 (呼吸器内科・男・50)2009-07-12 14:45
若年者は腎機能障害の割合が少ないので、頻脈を気にしなくてよいARBを使いやすいという背景がある。結果は実態を表していると思われる。

ページ全般へのご意見

内科男院長59 (内科・男・59)2009-07-10 13:26
臓器保護のため
ダイアン (内分泌・代謝内科・男・33)2009-07-28 21:07
近年ARBを第一選択に用いる医師が増えたため新規処方が多い若年者でARBが多く、以前よりCCBが投与されていた患者が多い高齢者群ではCCBの人数が多くなったのではないでしょうか。


2009.6.30 提供 日経メディカル