エコナ健保取り消しか?発がん性の疑い

エコナ、どうなる? 特保取り消しなら初 "発がん性"で消費者庁

 「体に脂肪が付きにくい」と食用油で初めて特定保健用食品(特保)を取得した花王の人気商品「エコナ」が、販売を自粛している。発がん性物質に変わる恐れのある成分を含むというのが理由だ。消費者団体からは特保許可の取り消しを求める声が上がるが、前例はない。9月に発足して厚生労働省から事務を引き継いだ消費者庁の対応が注目される。

 花王によると、エコナは1998年に特保表示が認められ、翌年2月に販売開始。オイル、ドレッシング、マヨネーズ、ドッグフード...。特保商品以外も含めてシリーズ化し、12種59商品を売り出した。昨年度の売り上げは約200億円だった。

 問題となっているのは、油臭さを除くために高温加熱する工程でできる「グリシドール脂肪酸エステル」。厚労省によると、発がん性物質とのデータはないが、欧州では、体内で分解されると発がん性物質の「グリシドール」に変わる危険性が指摘されている。

 指摘を受けた花王の調査で、エコナには一般の食用油の10〜182倍含まれていることが今年6月に判明。「安全性に問題はないが消費者に不安を与えている」として9月16日、シリーズの販売自粛に踏み切った。

 花王の相談ダイヤルには半月で、1年間分を上回る約16万件の電話が殺到した。今後、含有量を一般の食用油並みに減らして販売を再開する方針という。

 これに対し、消費者団体は「エコナは主成分のジアシルグリセロールでも発がん促進作用が疑われ食品安全委員会で審議が続いている」と指摘。「安全性に疑問が残る食品に国がお墨付きを与えるのは問題だ」として消費者庁に特保表示の許可取り消しを求めている。

 グリシドール脂肪酸エステルについては、食品安全委員会の依頼で厚労省が調査中。しかし、「試験方法すら確立されておらず、手探りの状態」(新開発食品保健対策室)で、目標とする11月末までに科学的データが得られるか分からない。

 こうした中、消費者庁は9月29日、「食品SOS対応プロジェクト」を設置。福島瑞穂消費者行政担当相は「科学的結論が出るまで何もできないのでは従来の行政と一緒」と話し、取り消しに向けた手続きも視野に検討を始めた。

 しかし、約890品目にも上る特保で取り消された例はない。担当職員からは「クロならともかく、グレーの段階で取り消しまで踏み込めば企業活動への支障も出るだろう」と慎重な意見も出ている。

2009.10.5 提供 共同通信社