女性の半数近くは“従来型”の心疾患でないと専門家は言う
Kathleen Doheny
【10月12日】このトピックの新たなレビューによると、心疾患を有する女性では、男性より悪い転帰をたどる可能性がある。治療は通常閉塞性冠動脈疾患に焦点を当てているが、女性の半数近くはこの疾患に罹患していないためである。
多くの女性にとって、問題は主要心血管の閉塞ではなく、虚血と呼ばれる心臓のごく細い動脈の血流低下である、とロサンゼルスCedars-Sinai Medical Center, Heart Institute, Women’s Heart Center長のC. Noel Bairey Merz, MDは言う。同女史はAmerican College of Cardiologyに掲載されたレビューの主席著者である。Bairey Merzらは、このレビューを書くにあたり心疾患における男女差に関する既報の試験を多数精査した。
「女性、特に45-60歳の中年女性では小動脈の機能に異常をきたす可能性が高い。そのような血管は従来の血管造影では描出されない」とBairey MerzはWebMDに語る。「実際に問題があるのに問題がないと安心してしまうことが多い」。
Bairey Merzらは、問題が主要冠血管の閉塞であれば冠動脈性心疾患(CHD)、小動脈の問題による血流低下の場合は虚血性心疾患(IHD)という用語を用いるよう提案する。
心疾患を有する女性の25-50%は典型的な男性のCHDのパターンに当てはまらず、その代わりに虚血性心疾患が認められるとBairey Merzは推測する。
約20年前に医師と研究者は女性の心疾患が男性と異なることが多いのではないかと考え始めた、とBairey Merzは言う。
「これ(レビュー)は『2010年以前の、2009年の今わかっていること』といった類のものである。徐々に話の辻褄が合うようになってきた」。
Bairey Merzは米国国立研究所のWomen’s Ischemia Syndrome Evaluation(WISE)イニシアチブの議長である。WISE試験は1996年に開始された。
心疾患:男性 VS 女性
既報の試験をレビューしたBairey Merzはこう言う。「男性と女性では平均して症状の現れ方が異なるというのは依然として真実である。男性の方がハリウッド映画のような心臓発作、つまり胸部圧迫感、胸痛を伴う典型的な労作性の心臓発作を起こす可能性が高い」。
「女性の方がハリウッド型の心臓発作の痛みを感じにくい。それを痛みと表現しない傾向が強い。苦痛に感じるとは思うが、消化不良や息切れの方が起こりやすい」
このほかの差として、女性では心臓の小動脈に問題が生じる傾向があるとBairey Merzは言う。
心カテーテル検査室で医師が冠動脈の血流を調べると、女性の動脈は開存しているが、男性の動脈は閉塞していることが多い、とBairey Merzは言う。「男性の方が大動脈に脂肪がたまる可能性がはるかに高い」。
結果的に、女性は型にはまっていないため治療戦略は女性に最適なものでなくなっている、とBairey Merzは言う。
「特に女性の虚血と虚血性心疾患に焦点を当てるべき。それに焦点を当てず単に解剖、つまり(心臓の主要な)血管の閉塞に注目した場合、女性には十分な利益を得ることができない」。
このほか、レビューでは以下の点が考察されている。
・米国では心疾患による年間死亡者数は女性455,000人に対して男性410,000人と女性の方が多い。
・女性の方が男性より心臓発作で死亡する可能性が高く、心不全で入院する者が多い。
・ 炎症のマーカーで心疾患の予測因子であるC反応性蛋白質の平均レベルは女性の方が高い。
・心疾患リスクの伝統的な指標であるFramingham Risk Scoreは、女性の90%以上を低リスクに分類する。これよりも新しいツールであるReynolds Risk Scoreは女性に有利に働く。
セカンドオピニオン
「これは本当に重要なレビューである」と、心臓病専門医で米国心臓協会の広報担当者であり、New York University Langone Medical Center Women’s Heart Center長でNYUの臨床内科准教授でもあるNieca Goldberg, MDは言う。
「誰かが小規模な試験を全部ひとまとめにし、医師があらゆる情報を入手できるようになってからずいぶんになる」とGoldbergは言う。GoldbergはWebMDに代わり試験をレビューし、女性の心臓の健康について本を数冊執筆している。
Goldbergは言う。心臓病の症状のある女性では「血管造影像が正常というだけでは虚血症状がないとはいえない」。
Bairey Merzは心臓病の疑いのある女性には「誤診だと思ったらセカンドオピニオンを求めなさい」と言っている。
「女性の心臓プログラムを用意している医療機関がますます増えてきている」とBairey Merzは言う。
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