神戸大医学部感染症センターの白川利朗(しらかわ・としろう)准教授らの研究グループと医薬品会社「森下仁丹」(大阪市)が3日までに、ビフィズス菌を使い免疫効果を高め、インフルエンザ予防などに役立つ経口ワクチンの開発手法を確立した。
研究に参加した石川県立大生物資源工学研究所の片山高嶺(かたやま・たかね)准教授は「実用化には10年以上かかるが、ビフィズス菌を使ったワクチンはほかに例がないのでは」と話している。
これまでは、さまざまな感染症の病原体に対する抗体のもとになる抗原を、ビフィズス菌の内部にしかつくることができなかった。
しかし今回、片山准教授が研究する遺伝子を導入することで、ビフィズス菌の外側に抗原をつくることに成功。試験ワクチンをマウスに投与すると、従来より抗体量が10倍以上増えたという。
ビフィズス菌を使った経口ワクチンは常温保存や大量生産が可能な上、筋肉に注射する通常のワクチンに比べ、消化器官や呼吸器の粘膜組織にも働くため、より高い免疫効果が期待でき、インフルエンザのほか腸チフスなどの感染症予防に役立つ可能性が高いという。