83%に腸内ウイルス感染歴
伊研究、1型糖尿病の患者
【ローマ共同】インスブリア大(イタリア北部バレーゼ)のアントニオ・トニオロ教授(微生物学)の研究チームは26日までに、主に若年層に起こる1型糖尿病の患者の83%に、腸管内で増殖する「エンテロウイルス」への感染歴が確認されたとの研究結果を明らかにした。ANSA通信などが伝えた。
1型糖尿病は、生活習慣病で成人に多い2型と異なり、思春期の子どもなど主に若年層が発症。何らかの原因で膵臓(すいぞう)の細胞が破壊され、血糖値を下げるインスリンが欠乏して起こる。ウイルス感染に対し免疫細胞が過剰に反応し、膵臓の細胞まで攻撃してしまうことも要因の一つとして指摘されているが、詳しい仕組みは分かっていない。
研究チームは、バレーゼ周辺の2〜16歳の1型糖尿病患者112人を対象に、DNA検査などによってエンテロウイルスに感染したことがあるかどうかを調査、83%で感染歴を確認した。一方、糖尿病でない子どものうち感染歴があったのは全体の7%だった。
この結果についてトニオロ教授は、1型糖尿病を引き起こす要因の特定につながる可能性があると指摘、今後はさらに対象を拡大した研究が必要だとしている。
エンテロウイルスは、腸の中で増殖するさまざまなウイルスの総称。ありふれたウイルスで経口感染する。感染しても大半は症状が現れないが、風邪症状や手足口病、無菌性髄膜炎などを引き起こすこともある。
2010.5.27 記事提供:共同通信社
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