現在の10代の若者、いわゆるティーンエージャーが食塩摂取量をあと1日3gm減らすことができれば、50歳までの心血管系リスクが低下することが示された。12~24歳の年齢層で高血圧が44~63%減少するだけでなく、彼らが50歳に達するまでの間に、冠動脈性心疾患が7~12%、心筋梗塞が8~14%、全死亡が5~9%、ぞれぞれ減少すると見込まれるという。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のKirsten Bibbins-Domingo氏(写真)らが、11月13日から17日までシカゴで開催される第83回米国心臓協会・学術集会(AHA 2010)で発表した。
Bibbins-Domingo氏らは、米国のティーンエージャーが他の年齢層より塩分摂取量が多い(塩9.2gm/日あるいはナトリウム3800mg/日)ことを懸念。彼らが摂取している塩分の大半が加工食品からのものである点に着目し、規制や食品メーカーの自主的努力を通じて加工食品に含まれる塩分を減らすことにより、かなりの効果がもたらされる可能性があるとし、検討を重ねてきた。今回は、食塩摂取量を減らすことが、ティーンエージャーの心血管系リスクに及ぼす影響を調べた。
まず、米国全国健康栄養調査1999~2008(National Health And Nutrition Examination Survey 1999~2008)を使い、12~24歳、25~34歳、35~50歳の3群における収縮期血圧の分布を調べた。次に、公表されている臨床試験とメタ分析の結果をもとに、塩分摂取量を減らすことと収縮期血圧の低下の関連性について解析した。また、米国の成人における冠動脈性心疾患と脳卒中のシミュレーションソフトであるCoronary Heart Disease Policy modelを利用し、食塩の摂取量を1日3gm減らすことが、ティーンエージャーが50歳に達するまでの高血圧に及ぼす影響、さらに心疾患イベント、脳卒中、死亡などに及ぼす影響を推測した。
解析の結果、食塩摂取量を1日3gm減らすと、12~24歳の年齢層で高血圧になる人は38万~55万人も少なくなると予想された。また、彼らが年を取っていく間も食塩摂取量の低減が維持されると仮定した場合、35~50歳の年齢層で高血圧の人は30~43%(270万~390万人)減少することが分かった。
一方、現在のティーンエージャーが食塩摂取量を減らすと、彼らが50歳に達するまでに、冠動脈性心疾患が7~12%(12万~21万人)、心筋梗塞が8~14%(3万6000~6万4000人)、全死因死亡が5~9%(6万9000~12万人)、それぞれ減少すると見込まれることも明らかになった。
これらの結果から演者らは、「ティーンエージャーが食塩摂取量を減らすと、高血圧になっている10代の若者の数が少なくなり、彼らが年をとって中年になるまでの間における心血管系イベントの発生や死亡が減少する可能性が示された」と結論付けた。