アルツハイマー病の発症に関わる遺伝子の移動メカニズムを線虫の実験で明らかにしたと、名古屋大大学院の松本邦弘(まつもと・くにひろ)教授らが9日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表した。
この遺伝子が移動する際に起きる異常で発症するとみられており、詳しい発症の仕組みや予防・治療薬開発につながる可能性があるという。
原因遺伝子は「APP」と呼ばれ、神経細胞内にある。細胞中心部と末端の間を行き来し、異常が起きて末端に蓄積されると脳に染みができ、アルツハイマー病を起こすと考えられている。
松本教授らは、緑色蛍光タンパク質を使い、線虫の神経細胞内のAPPの移動を観察。末端部分でダイニンというタンパク質がAPPを載せ、中心部に運び出していることを突き止めた。
中心部から末端への移動の際は、キネシン1というタンパク質が「モーター」の役割を果たすことは既に分かっていた。
線虫と人ではAPPやダイニンがほぼ同じ構造をしており、人にも同じメカニズムがあるとみられるという。