避難住民3割弱に血栓
宮城で医師が簡易検査

 被災地でのエコノミークラス症候群の研究をしている新潟大大学院助教の榛沢和彦(はんざわ・かずひこ)医師が、東日本大震災で大きな被害が出た宮城県内の三つの避難所で被災者39人を簡易検査した結果、約28%にあたる11人に同症候群につながる血栓が見つかっていたことが24日、分かった。

 榛沢医師は「血栓は水分不足や身動きが取りづらい環境でできやすい。大変な状況が続くが、雑魚寝をしないような環境整備が必要。車中に泊まるのもやめたほうがいい」としている。

 榛沢医師によると、検査は19日と20日に、宮城県の石巻市、登米市、南三陸町の避難所で実施。足にむくみがある人のほか、長時間横になっていたり、車中泊を3泊以上続けたりした37〜81歳の39人をエコー(超音波診断)装置で調べた。

 その結果、足の静脈に血栓が見つかったのは11人に上り、平均年齢は67・2歳。特に車中泊をしていた8人のうち、4人に見つかった。

 同症候群は長時間、同じ姿勢で座り続けるなどして静脈に血栓ができる症状。流れた血栓が肺で詰まり死亡するケースもある。水分摂取と適度な運動などで予防できるとされる。

 新潟県中越地震などの被災地を見てきた榛沢医師は「今回は福島原発の事故を受けて外に出ず、運動不足の人もいる。トイレの設備が不十分な避難所もあるが、水分を取らないと危険なので改善してほしい」と話す。

 警察庁によると、23日時点で、東北や関東地方などに設けられた約1800カ所の避難所には、原発事故の影響などによる避難を含め20万人以上が暮らしており、健康管理が課題になっている。


2011.03.24 記事提供:共同通信社