関節リウマチの早期の持続的な寛解は、
大げさな薬を使わなくても可能

新規発症の関節リウマチ患者は、従来の抗リウマチ薬で初期治療を行えば相当数の患者が持続的寛解に達することができる
Neil Osterweil
Medscape Medical News

【6月13日】(パリ)新規発症の関節リウマチ(RA)患者は、従来の抗リウマチ薬(DMARD)で初期治療を行えば相当数の患者が持続的寛解に達することができることが、オランダの研究者によって欧州リウマチ学会の2008年の年次会議(EULAR 2008)で発表された。

低用量のメトトレキサートで開始して、増量が必要ならば厳密に管理しながら増量し、その後でその他の従来型DMARDまたは抗腫瘍壊死因子α(TNF-α)阻害薬を追加するという手法で、治療開始から9カ月ないし1年でRA患者の半数以上が寛解に達したと、Medisch Spectrum Twente(オランダ、エンスヘデー)のリウマチ科医であるIna Kuper, MDが報告した。

「最近発症した関節リウマチの患者を通常の診療において低活動状態ないし寛解にもっていくことが、寛解を目的とした厳密増量DMARD治療法を守ることで可能である」と博士は語った。

しかし、DMARDを使用しない持続的寛解の可能性は、RAの家族歴、過体重/肥満、病悩期間、喫煙、免疫マーカーといった要因で弱まると、ライデン大学リウマチ科(オランダ)のDiane van der Woude, MDが別の研究の中間発表の時に報告している。

オランダではリウマチ専門医も患者も高用量プレドニゾロンに対して、その有害作用のために慎重であるとKuper博士は述べ、メトトレキサートを25 mg/週以上と少なくとも1種類以上のDMARDを使用後の患者の関節28箇所の疾患活動性スコア(DAS28)が3.2より大きい場合のみに、TNF遮断薬が処方される。

著者らは、最近RAが発症してDMARD使用歴がない患者をコホートとする前向き記述的研究であるオランダ関節リウマチ監視登録(Dutch Rheumatoid Arthritis Monitoring Registry)からデータを得た。

Kuper博士が報告した結果は、DAS28が2.6未満である寛解を目標とする増量手法に最初に割り付けられた患者169例のものである。

患者の治療はメトトレキサート15 mg/週から始め、それで第8週までに寛解に達しなかった場合は、用量を25 mg/週に増量する。それでも第12週までに寛解に達しなかった場合には、スルファサラジン2g/日を追加する。第20週までに寛解しなかった場合には、スルファサラジンを3 g/日に増量する。それでも第24週までに寛解しない場合には、アダリムマブ(商品名Humira、Abbott社)を加えた併用療法を行う。この時点以降は、DAS28に基づいて3カ月毎に治療内容を調整し、その他のTNF-α遮断薬に変更してもよい。患者には、非ステロイド系抗炎症薬と10 mg/日未満の用量のプレドニゾロンを使用してもよい。

その結果として、初回の寛解に達するまでの期間の推計中央値は25.0週(21.7から28.3週)、低活動の臨床徴候が初めて現われるまでの期間の推計値は20.0週(16.2から23.8週)であった。試験期間ごとの寛解率は、第8週が15.5%、第12週が22.2%、第20週が30.7%、第24週が38.8%、第36週が52.1%、第48週から52週が51.0%であった。

2つ目の研究では、van der Woude博士らがDMARDなしの寛解に達する確率が小さくなることに関係するリスク因子を調べた。博士らは、ライデン早期関節炎診療(Leiden Early Arthritis Clinic)に1993年から2003年までに訪れたRA患者1900例以上からなる発端コホート研究を行った。

この試験の前半(1993 - 1995)では、クロロキン、スルファサラジン、メトトレキサートのいずれかによる遷延治療法で患者を治療し、1996年から2002年末までは早期治療法と同じ薬剤を使用して治療した。

この試験では、DMARDを同時使用せずに1年以上にわたって滑膜炎がなく、その後、外来診療の必要がなくなった症例をDMARDなしの寛解として定義した。すると、平均追跡期間8.2年間すなわち総計3817人年において、RA患者の15.2%(69/454)がDMARDなしの寛解に達した。寛解によって当初は外来診療を終了したが滑膜炎が再発して診療に戻ってきた患者6例は寛解群から除外されたので、この中には含まれていない。

単変量解析を行うと、寛解に達する確率が小さいことに関係する変数として、家族歴陽性(ハザード比[HR]は0.56、信頼区間は示されず)、高い肥満指数(BMI、HRは0.90)、症状発現期間が長い(HRは0.93)、喫煙(HRは0.55)、免疫グロブリンMリウマチ因子(HRは0.17)、抗シストリン化ペプチド(抗?CCP)抗体(HRは0.09)、エピトープ遺伝子保有(HRは0.47)が見つかった。
多変量解析でDMARDなしの寛解の成功に関連する因子を探ると、高齢、低BMI、赤血球沈降速度、症状発現期間の短さ、非喫煙、抗-CCP抗体欠如がDMARDなしの寛解持続の独立した予測因子になっていた。

van der Woude博士は、新規の治療薬で報告されている寛解率を参考にすると、今回の試験で見られたDMARDなしの寛解率のうち15%には注意を要すると述べている。それに対して、リーズ大学(英国)の筋骨格疾患科のリウマチ学教授であるPaul Emery, MDが例外について語った。

「それは正常の急性期反応を示し、自己免疫抗体を持たない患者であったのだ。我々が試験を行った頃の生物学的試験の大部分が、そうした患者を採用基準にしている」とEmery博士はMedscape Rheumatismのインタビューに答えている。「講演者は、寛解率のうち15%は自然発生的に起こったものとして除きたいと言っていたが、それは同種類の患者ではない?そのサブグループが、今話した関節リウマチを持っていないかもしれない軽症の患者群であることは明らかだ。」

この研究は、資金に関する情報が示されていない。Kuper博士とvan der Woude博士の開示情報では、関連する金銭的利害関係はない。Emery博士の開示情報によれば、博士はBristol-Myers Squibb社の研究者・専門家話者であり、コンサルタント料、研究の助成金と援助、謝礼を同社から受け取っている。
EULAR 2008: The European League Against Rheumatism Annual Congress: Abstracts OP-0002 and OP-0003. Presented June 11, 2008.

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2009.6.13 提供 Medscape