White Family dental-site

 

すくすく育て!元気な歯!

 
-MyTownらぶりぃあさお掲載記事より-
1997年12月1日号

PART9:

お店にはシュガーレスとかダイエット甘味料使用と表示されたお菓子やジュースが売られてきてます。今回は表示内容のチェック法と歯の健康との関わりについてのお話しをホワイトファミリー歯科の衛生士、ドクターに伺いました。

 
むし歯は感染したらミズ虫より治らない

虫歯も歯周病もバイ菌による感染症です。ミズ虫に罹ったのと同じ、口の中からバイ菌を一掃するのは現実には不可能です。まじめに食後のお手入れをすること、寝る前は特にきれいにケアーして寝ることです。バイ菌を増やさない様にコントロールすること、つまり「プラークコントロール」です。患者さまから『私は、歯が弱いのですが、これって子供に遺伝するのですか?』とよく聞かれるのですが、感染症は宿主因子、細菌因子、条件基質因子の原因が重なって起きる「多因子病」です。宿主本人の体の栄養管理や代謝能力と歯や歯肉、唾液成分の防御能力組成は 大いに関連があって、つまり、ムシ歯に罹りやすい、歯周病になりやすい、歯質、体質と言うのは生後の生活習慣、環境でほとんど決まるのです。 歯の形に遺伝はあっても、虫歯は遺伝しない  歯の噛み合わせ面の形、歯並びに遺伝はあっても、親が知識を持って予防処置を受けさせ、幼児期、学童期に矯正を終了して、定期ケアー(チェックアップ、クリーニング、フロス指導、フッ素塗布)を受ける習慣を持てば100%コントロール出来るのです。  細菌因子として、病原性の強い菌に出会わない様にする、口の中で増やさない様に、使用後まじめにお手入れすることです。病原性というのは、糖分から歯を溶かす乳酸を作る酸産生能、歯にくっついて取れないネバネバのプラークを作る歯垢形成能、歯肉に血流不良の腫れを起こす免疫毒性を言います。口の中の常在菌であるそれらの菌群は、親から子へ垂直感染し、ケアーが不充分であれば幼児期、学童期にムシ歯や歯周病の種をまくことになるのです。 また、思春期に、口汚な族の恋人や、友人ができ、安易なディープキスやオーラルセックスで水平感染します。事前、事後には正しいお手入れが歯の命を救うのです。感染し易さはエイズより怖いのです。感染したらミズ虫より治らないのです。 ムシ歯、歯周病になりやすい体質は生活習慣がつくる条件基質因子は、ヒトが摂取した食べ物の成分です。 麻薬やシンナー、向精神薬などの乱用は体の代謝バランスを狂わせ、歯や骨はボロボロになります。喫煙やカフェインにも同じ作用があり危険です。 けじめをつけてだらだら食べない。砂糖(ショ糖、シュークロース、)、ブドウ糖、果糖、水飴、麦芽糖、オリゴ糖を含む食品やお菓子で、口の中に残りやすい醗酵性糖質(パン、クッキー、麺)は、ムシ歯を作りやすいし、スッパイ酸を含む物も直接歯を溶かすので、ダラダラと食べていると危険です。 酸性飲料(炭酸、ジュース、乳酸ヨーグルト)でなく、アルカリ飲料(お茶、ミルク、みそ汁スープ)が良いです。 食べる量よりも、食べる回数や食べる時間の長さでムシ歯誘発能は強くなるのです。 食べ方としては、食べ始め終わりのけじめを、はっきりとつけ、楽しく食べます。よく噛んで、唾液がでやすい体質を保ってください。食事の最中にはあまいジュースやコーラ、水や、お茶を飲んで、流し込みの癖をつけないこと。胃液も薄まります。 最後に甘いものを食べない。食事の最後に甘いものや、口に残りやすい停滞性の高いものを食べないこと。サラダやお漬物など、歯応えのある清掃性のあるものを食べ、お茶か水で最後に口の中をきれいに。 それでも、食後は30秒で酸が出来、脱Ca(脱灰)が始まり、唾液の中和作用を受けるまで30分間は、歯は溶け続けるのです。 食後、時間がたってからのお手入れは脱Caの進んだ歯を磨り減らすことになります。醗酵してプラークになっていてナカナカ落とせません。 食後1分以内に歯の掃除をお勧めは、食後は1分以内にフロス(糸ヨウジ)、歯間清掃具で歯の面をこすります(シャワーで背中をきれいにこするのと同じ)。曲面にあわせ、根面の歯肉溝ポケット内から噛み合わせ面に向かって、引き上げるようにこすります。1カ所で4つの曲面があります。歯肉溝ポケットは歯の間で山のように盛り上がったカーブをしています。けして、ノコギリのように押し引きをしないでください。奥歯から前歯まで、すべての歯の間をこすります。慣れると1分で出来ます。そしてお茶か水で口の中を流します。(フロスはY字ホルダー付が奥歯で使いやすい。糸にハミガキ液を着けるのも良い)フロス(糸)が入らない、引っ掛かって取れない、ざらついて糸が切れる、出血して使用後、歯肉が腫れたり、口内炎が出るという場合は、ムシ歯や不適合な修復物がある可能性や歯周病の疑いがあるので、必ず、歯科医院でチェックをうけてください。口の中の他の部分に感染を広げます。フロスは使いはじめの1ヶ月間、頑張って使い続けましょう。 キシリトール使用でも、50%砂糖使用食品の内容表示について、シュガーレス、ノンシュガー、ダイエット甘味料と書いてあるものは、前記の虫歯の発生に関わる醗酵を受けず、酸にならない糖を使っているわけです。しかし、砂糖などの代わりに後記の甘味料だけでは、甘すぎたり、口あたりが悪く、50%前後砂糖分を混ぜている場合があり、内容表示に気をつけてください。つまり、キシリトール使用とあっても、50%以上は砂糖成分が入っていたりします。酸産生能のある甘味には、オリゴ糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖、液糖、水飴、麦芽糖、カップリングシュガー、パラチノースシロップがあり、特にショ糖はプラーク形成能があります。 虫歯になりにくい甘味料があります。虫歯になりにくい、う蝕誘発性の極めて低い甘味料には、アスパルテーム、ステビア、パラチノース、トレハルロース、ソルビトール、マルチトース/還元ー麦芽糖水飴、ラクチトール、還元オリゴ糖、還元パラチノース/パラチニット、キシリトールがあります。中でも エリスリトール、ステビアは消化されず、カロリーゼロです。アスパルテームは大変甘みが強くて、砂糖の180倍甘く、カロリーは砂糖と同じです。他はカロリーは、砂糖の約半分です。  食品中の炭水化物は脂肪と同じ重要なエネルギーで、砂糖(ショ糖)も完全に消化代謝され栄養源になります。糖質58%、脂質28%、タンパク質14%が日本人の栄養比率で、糖質の20%は、砂糖が占め、残り80%はデンプンです。 砂糖が悪いのではありませんよ  脳の神経細胞のエネルギーとして、糖質代謝のブドウ糖は大切です。すべての甘味をショ糖代替には出来ません。将来の食料不足において、太陽エネルギー利用効率の良いサトウキビなど、ショ糖の栄養価は重要でしょう。またワイン、酒、パン生地など、ショ糖は酵母によく醗酵され、おいしい食文化を形づくってきました。私たちの口の中で病気をおこす悪い醗酵を上手にコントロールして、長い人生、老年までおいしく食べたいものです。

【文献】   食の科学(発行・光琳) 歯を守る甘味料(編集・高添 一郎、発行・TPジャパン)

あなたの歯と健康を守る10カ条 −8020(80歳で20本を)達成のための提案−

1) 全身の健康管理に気を配る。

2) 1日30種類以上の食品を、1口30回以上噛む。

3) 野菜や歯ごたえのあるものをできるだけ食べる。

4) 清涼飲料は避け、飲料に砂糖を入れない。

5) 食品は薄味で、インスタント食品は避ける。

6) 食後は必ず口の中の食べカスを除く。

7) 歯の清掃は歯ブラシだけでなく、歯間用の糸ようじや歯間ブラシを使う。

8) 6か月毎に少なくとも3回以上は歯ブラシ指導を受ける。

9) 30歳から定期的に検診と歯石掃除を受ける。

10) 不安を感じたら症状が無くてもまず受診する。

庄司文明(農文協より) 堤一樹、一部改案