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歯周病菌と同種のスピロへーターは
自然界では怖い感染致死性病原体。

レプトスピラ症などで10人死亡
マレーシア北部クダ州、一部公園を閉鎖


 [クアラルンプールAP=共同]マレーシア保健省は23日、ネズミの媒介による細菌性の感染症「レプトスピラ症」などで先月から約10人が死亡したことから、感染の危険性がある数カ所の公園を閉鎖し、一般の河川では泳がないよう国民に警告した。主要各紙が報じた。

 各紙によると、21日に死亡した17歳の少年は北部クダ州の川で泳ぎ、友人と公園でピクニックをした後に発病した。保健省当局者のコメントは得られておらず、レプトスピラ症による死者が何人かは不明。

 保健省はウェブサイトで、雨が降っている際には川で泳がないよう呼び掛け、特に身体に傷がある場合は川の水に触れないよう警告した。

 レプトスピラ症は感染したネズミなど動物の尿で汚染された水に触れることで感染するため、同省はネズミなどが集まる原因となるゴミを水源付近に捨てないよう要請した。マレーシアでは昨年の感染者が1400人以上と2004年の263人から5倍以上に激増、このうち死者は62人で、2004年の20人から急増した。

 レプトスピラ症の症状は激しい筋肉痛、発熱、嘔吐、頭痛などで、感染から1週間以内に治療を受ければ回復するとされる。

スピロヘータ目レプトスピラ科レプトスピラ属に属するグラム陰性菌を病原とする。ネズミなどの野生動物を自然宿主として、ヒトだけでなくイヌウシブタなどほとんどの哺乳類に感染。腎臓尿細管などで増殖し、排泄物を経由して汚染された水や土壌から経口・経皮的に感染する。ヒトからヒトへの感染は起こらない。


疫学

中南米東南アジアなどの熱帯亜熱帯地域での流行があり、東南アジアの流行は7 - 10月に集中している。特に被害が深刻なのはタイであり、年間数千人規模の流行がみられる。
日本では1970年代前半までは年間50名以上の死亡が報告されていたが、近年では患者数、死亡者数とも激減し、各地で散発的に認められる程度となっている。例えば、1999年に沖縄県八重山諸島集団感染が発生した。下水道工事関係者や畜産関係者などの患者が多く職業病の一つである。近年の海外渡航者の増加に伴い、流行地からの輸入感染例が報告されている。また、海外からの家畜や伴侶動物などの輸入を介して国内にレプトスピラが持ち込まれる可能性が指摘されている。海外ではトライアスロンなどのウォータースポーツによる集団発生も報告されている。

災害に伴う発生例


2009年10月、フィリピンは台風16号、台風17号の接近を受け、集中豪雨により、マニラ首都圏の大部分が冠水するなどの被害を受けた。この豪雨災害に伴い被災地ではレプトスピラ症が蔓延。89人が死亡した[1]

症状


ヒト

潜伏期間は3日から14日程度で、悪寒、発熱、頭痛、全身の倦怠感、眼球結膜の充血、筋肉痛、腰痛など急性熱性疾患の症状を示すとされる。軽症型の場合は風邪と似た症状でやがて回復するが、ワイル病の別名でも呼ばれる重症型では、5〜8日後から黄疸、出血、肝臓・腎臓障害などの症状が見られ、エボラ出血熱と同レベルの全身出血を伴ったり、播種性血管内凝固症候群を引き起こす場合もある。重症型の死亡率は5〜50%とされる。

イヌ

急性の場合、出血、発熱、嘔吐、血便、口腔粘膜の潰瘍、黄疸、腎炎、出血傾向などの症状を示し、2〜4日で死亡する。

ウシ・ウマ・ブタ・ヒツジ・ヤギ

発熱、溶血性貧血、黄疸、流産・死産、生殖障害、間欠性眼炎、虹彩毛様体炎など、種によって様々な症状を示す。

キツネ、スカンクオポッサムのほか、家鼠をはじめとする各種囓歯類では不顕性感染(症状が表れない)で保有体となって感染源になる。ただしハムスターは例外的に激しい症状を示して1〜 2週間で死亡する。また、ブタやウシも感染源となっている可能性が示唆されている。

治療方法

主に抗生物質が使用される。軽症型にはβラクタム系やアミノグリコシド系、テトラサイクリン系、重症型ではストレプトマイシンペニシリン系の抗生剤が使用される事が多い。ただし投与後に発熱・低血圧などのショック症状(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応)を起こす場合がある。

予防


ワイル病秋疫混合ワクチン

血清型が合致する菌に対しては6年程度免疫が有効とされるが、初回は一週間間隔で2回接種し、1年後にもう1回接種する必要がある。なお、確認されている血清型は250以上あるが、現在のワクチンではその中の5つの型にしか対応していない。
    50℃10分の熱で死滅するほか、乾燥やpH6.8以下の酸に弱い為、次亜塩素酸ナトリウムヨード逆性石鹸で消毒出来る。一方で低温には強い。
    軽症型での治療にも使われるドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系抗生剤は予防に効果があるが、長期間の服用は奨められないとされる。
    流行地域では不用意に水に入らない事。特に洪水の後は感染の危険性が高まる。
    イヌの輸入の際はレプトスピラに感染していないことを証明する必要がある。

2010.08.25 記事提供:共同通信社