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10年前にアメリカでは
国際がん研究所が口腔がんを目標に100万ドルを交付  

〜アメリカ歯科医師会と研究者が5年間の教育プログラムに着手〜

国立がん研究所は、口腔がんの予防と早期発見のために歯科医が重要な役割を担うことから、歯科医の生涯研修を目標にした5年間のプログラム実施に向け、その資金を供給するため、アメリカ歯科医師会に120万ドル(約1億4,000万円)を授与した。歯科医師会と優れた研究者との共同で開発するプログラム「行動様式の変更、歯科医と口腔がんの制御」が生涯研修プログラムとして、全米の歯科医に提示される。このコースでは、口腔がんの早期発見、患者のリスク評価、禁煙による介入のための開業医の技術を高めるように計画立案されている。

研究者はコースに参加する歯科医を、事前、直後そして6ヵ月後に調査し、歯科医の専門的行動様式の変化を知るために結果を評価することになっている。

「このプロジェクトはユニークである」というのは、5年プロジェクト研究の主任研究員である、Sol Silverman先生である。Silverman先生は口腔がんの専門医として国際的に有名で、アメリカ歯科医師会の予防および専門家連絡審議会の顧問でもある。彼は「歯科医のためのトレーニングを早期発見と禁煙に焦点を絞ることによって、我々は最終的には口腔がんの発生率、罹患率および死亡率を減少させる教育的なアプローチを開発し、これを継続していくことができる」と述べている。

アメリカ公衆衛生学雑誌に掲載された、禁煙に関する歯科医の知識、態度及び行動の調査によれば、回答者の10%以下が禁煙のトレーニングを実施し、5分の1以下が80%以上の患者に喫煙について尋ねている、という。

Baylor歯科大学の准教授であるK.Vendrell Raskin先生は、「しかし、調査した歯科医の95%以上がこのトレーニングを是非受けたいと思っている。喫煙しているヒトの半分以上が、少なくとも年に1回は歯科医師に受診しており、禁煙によって著しい健康上の利益を得る20歳から44歳のグループの人たちは、内科医にみてもらうより歯科医にみてもらう確立が高いので、歯科医は禁煙運動における重要な役割を担っているのです」といっている。

アメリカがん協会によれば、毎年3万人のアメリカ人が口腔がんに冒されており、このうち2万人以上が男性であり、約8,000人が死亡している。喫煙と飲酒によって高率に口腔がんは発生するが、25%以上の口腔がん患者は喫煙や飲酒とは関係がない。

この研究費によって、患者の生命に重要な役割を果たすために、歯科医に口腔がん予防と早期発見の技術と方法をアメリカ歯科医師会が提供できることが望まれる。
(ADA News, Sept16, 2002)


国立衛生研究所が唾液診断の研究を推進

アメリカ国立衛生研究所は過程もしくは歯科診療所で使用するための、複合的で迅速な唾液分泌を解析できる、戦争やテロリズムとの戦いに有効な「より敏感な検査」と呼ばれる新しい唾液検査に関する共同研究をはじめる。

近年、HIVの検出や使用薬剤のモニタリングなど様々な臨床的状況において唾液には診断のための多大な可能性があるといわれてきた。しかし、この最前線における進歩はいつも期待されるだけにとどまっていた。

現在、疾患の標識や環境的、職業的あるいはバイオテロリストによってまきちらされた薬剤など危険な物質の暴露に対して、同時に多数の分析物を検出する技術は完成度を増し、すぐに使えるところまできている、と国立衛生研究所側は話している。

科学者たちは、実験器具など装置のない戦場、空港、工場、病院、診療室または家庭で、平行して多数の分析物を検査できる、ポケットサイズの分析器あるいは小型のマイクロチップが開発されるだろうと予言している。

近年は、健康および疾患に関わる多数の検体を同時に評価することができる検査機器を作成するために技術的基礎が整っており、臨床家に新しい予防法や治療法を提供することができる、という。

国立衛生研究所は最初のプロジェクトは、「唾液・口腔液による診断のための技術開発」であると公表し、その開会の挨拶の中で、NIDCR所長のLawrence Tabak先生は、「唾液によって多く口腔液及び全身疾患を非浸襲的に評価できること」を強調した。

彼は、「唾液による診断の分野に焦点を絞ることは、歯周病、★蝕、口腔がん、自己免疫疾患、心臓疾患などの全身疾患のみならず、薬物適応性のモニタリング、薬物動態学、薬物ゲノム、そしてバイオテロリスによってまきちらされた炭疽菌や化学物質など死に至る危険な物質の同定のために、非常に大きなインパクトがある」と話している。

国立衛生研究所は技術開発、化学、工学、生物学、生物情報および臨床科学を専門とする応募者を求めている。

このプロジェクトは国立ヒトゲノム研究所、国立がん研究所および関節炎・骨格筋・皮膚疾患国立研究所など、より広い分野の研究者の共同研究によって実施される。
(ADA News, Feb3, 2003)


2003.8日本歯科医師会雑誌