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4年前のインプラント治療事故
担当歯科医師が東京地検に書類送検  

8月1日全国紙に、インプラント治療に関わる記事が掲載され、一部歯科関係 者からは、「事件から、4年という時間が経過しているが、なぜ、書類送検なのか不 明。何かあったのか、という意見が一部に憶測読んだ。歯科医師、警視庁広報部、新 聞記者(警視庁記者クラブ)など一部関係者を取材した。

見出しは『インプラント手術元院長 書類送検へ』というもの。記事概要は以 下のとおり。都内の「I歯科」で2007年にインプラント手術を受けた女性患者(当時 =70歳)が死亡した事故で、警視庁捜査一課と中央署は、担当歯科医師は、手術中に注意を怠り口腔内の動脈を傷つけ死亡を招いたと判断。業務上過失致死容疑で手術を 担当した元院長(67歳)を書類送検する方針を固めた(8月1日午前書類送検)とい うもの。具体的には、「下顎の右奥歯の手術を受けている最中に具合が急変。右奥歯 のインプラントを埋め込むために開けた穴が顎骨を貫通して、その下の動脈が切れて おり、死因は出血などによる窒息していると判明した」とされている。

最も疑問とされた、「なぜ、この時期なのか」に関して、新聞記者の弁によれ ば「基本的には、異例なことではないです。医療過誤の判断は難しい点があることも 事実。警察がなぜ、この時期に書類送検をしたか、ということはわかりません。ただ、 本人は容疑を否認しています。これがまったく関係ないかというと、何とも言えない」 という説明であった。

一方、警視庁広報部に取材を申し込むと、「記者クラブ発表以上のことは、あ りません。この時期になぜ、と指摘されても、コメントはありませんね」というもの であった。

事件以後関心は薄れていたが、この時期での警察が「書類送検」と判断した事 実を受け止めるしかないが、死亡した女性の遺族が原告となり、元歯科医院院長を相 手に民事裁判(損害賠償:1億9千万円)を行っているが、裁判の中では被告歯科医 師は、指摘されている容疑を否定している。

参考までに、今回の報道を聞いた関係者の即日得たコメントを以下に紹介する。 「これはチャンスだと思う。この時こそ、日本口腔インプラント学会の立場で、コメ ントを出すべきです。歯科界全体に言えることだが、言うべきことを言わなさすぎる」 (東京都開業医:日本口腔インプラント学会会員)、「事故は4年前なのに、なぜこ の時期に、書類送検なのか疑問。

何か悪質と思える状態が出てきたからなのか」(埼 玉県開業医:元地区歯科医師会会長)、「事件当時は、マスコミ報道もありキツイ時 期でした。最近のこの種の話題がなかったので一応落ち着いたのかと思っていました。 患者からまた質問があると覚悟しています。裁判では、ミスはない主張しているよう だと聞いていますが」(東京都開業医:日本補綴歯科学会会員)、「その話はもうい いです。第二、第三と出てこないことを考えるべきですね。マスコミ対策というより、 専門学会の立場からの意見があってもいいかもしれないです。まあ、無理だと思うのですが」(神奈川県開業医・日本補綴歯科学会会員)。

なお、書類送検は、取り調べた書類だけを検察に送ることであり、起訴される場合は、ほとんど在宅起訴になるが、 不起訴や起訴猶予になる場合もある。罰金刑で済むような交通違反等などがその例で ある。
取材 奥村 勝氏


2011年8月6日 提供:Dentwave.com