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55%が歯や口腔に異常 治療中は16%(2011年データー)にとどまる

 平成23年度都道府県歯広報担当理事連絡協議会が9月28日、歯科医師会館で 開催され、各年に一度実施している「歯科医療に関する一般生活者への意識 調査」の結果を発表した。
  調査の結果、歯や口腔に異常を感じているのは55.0%であったが、そのうち 、現在治療中なのは16.2%にとどまった。
  歯科受診のきっかけは「痛み・はれ・出血があったから」が45.8%で最も多 く、「過去に治療した箇所に不具合が生じたから」30.3%、「定期的に通う時 期だったから」20.6%が続いた。
  歯科受診の目的は「むし歯の治療」が最も多く61.8%。次いで、「歯石除去 ・クリーニング」32.2%、「歯や口の中のチェック」15.8%。歯科を受診しな い理由は「悪いところがないから」が40.2%で最も多く、「ひどい状況ではな いから」22.6%、「必要がないと思っているから」15.8%など、自己判断で受
けていない割合が高かった。

  ◎歯科医院選択の45%は「かかりつけの歯科医」

  また、かかりつけ歯科医がいる割合は64.5%で、歯科医院の選択理由も「か かりつけの歯科医だから」が44.5%で最も多かった。「近所や通勤・通学の途 中など、通院に便利だから」は36.4%で2番目だった。
  歯科受診経験者の治療満足度は75.4%と高く、その理由は「歯科医師の治療 が丁寧で上手」45.2%、「受付・スタッフの対応が良い」42.0%、「時間通り に診療」38.9%などであった。
  歯科医師・歯科医院に期待することとしては、「治療技術が高いこと」67.3 %、「治療費の負担が低いこと」61.7%、「治療が痛くないこと」51.5%が上 位3項目であった。
  歯科医療に対する関心は高く、特に「歯科疾患と全身の病気との密接な関係 」は90.8%、「歯並びやかみ合わせが悪いと、顎関節症、歯周病などの原因に つながる」は89.7%、「定期的な歯科医院でのチェックがむし歯や歯周病の予 防につながる」は86.0%に及んでいた。
  なお、本調査結果は、日歯ホームページ・メンバーズルームに掲載している。


2011年10月3日 提供:都道府県歯科医師会広報担当理事連絡協議会
              

北米と違うのは定期受診率

■歯や口腔に異常を感じている人は62.7%なのに、
  現在治療中の人は11%(2010年データー )にとどまる。


 中原 最近、歯科医師会で歯科医院に関する一般生活者意識調査を出されて、これを私は参考にしています。

 簡単にご紹介申し上げますと、歯や口腔に異常を感じている人は62.7%なのに、現在歯科で治療中の人は全体の11%にとどまる。歯科受診のきっかけは腫れ、痛み、出血があったからが約63%。異常を感じていても、具体的な痛みや目に見える現象を実感しない限り、歯科を受診しない人が多数を占める。もう1つ、歯科受診の目的はむし歯治療が6割以上であり、健診や歯石除去、歯周病治療を目的で受診する人は少ない。

 我々にとっては、こういう重たいデータが出ております。

■北米の定期受診率は54〜67%、日本は16%

 中原 ちなみに北米(アメリカとカナダ)は人口1000人単位で歯科医師が0.6人、日本が0.7人。あまり変わらないんです。日本は過剰だと言われていますが、北米では過少だと言われて、もっと増やさなければいけないと言われている。

どこが違うかというと、定期受診率が違うんです。北米の場合は定期受診率が54%から67%、日本の場合は16%。ですから、3.3倍から4倍くらい北米のほうが、定期受診をする数が多いということです。これはリコールシステムによる定期検診とブラッシング指導、この2つが柱になって推し進められています。

■デンタルフロスを北米では60%の人が使用、日本では15%

 中原 もう1つだけ言わせていただきますと、デンタルフロスを北米では60%の人が使用している。日本では15%。北米においては児童のころから、デンタルフロスを使用する指導を学校でも家庭でも行っている。その結果、こういう状況になっている。これはだれの責任かと言われれば、もちろん歯科医師の責任であり、そういうことを患者国民に理解いただく努力をしなかったとは言えないですが、足りなかったことは間違いないです。

 一面では、これは患者国民の責任でもあるでしょう。自ら体を大事にする役目が、患者国民にあるのではないか。国民の歯科医療への意識を、そろそろこの辺で切り替えていただかないと、歯科医療がスーッと改善していくとは思えない感じがしております。本来“国民”は黄門様と同じ葵の印籠ですから、逆らってはいけないんですが、あえてそういう発言をさせていただきました。


2010年1月 提供:日本歯科医師会雑誌Vol.62