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誤嚥性肺炎防止に口腔ケアを歯科医が看護師に指導
 患者の誤えん防止効果 埼玉・越谷市立病院

歯科医が看護師に口腔ケア指導 

 越谷市立病院と市歯科医師会は昨年4月から口腔(こうくう)ケア指導業務委託を締結、歯科医が市立病院の看護師に対し専門的な口腔ケアを指導している。この結果、技術が向上した看護師による口腔ケアで重篤の入院患者の誤えんが減り、発熱の減少や入院期間の短縮などの効果が出ているという。歯科医師会口腔ケア特別委員会の中里義博委員長は「歯科医が公立病院に出向いた口腔ケアの指導は県内初で、全国でも珍しい」と話す。

  口腔ケア業務委託は、市立病院の山本勉院長(当時)が安井晃歯科医師会会長に申し入れて実現した。脳神経外科、消化器科、呼吸器科の3科では入院患者本人が口の中を清潔に保てない例が多いため、誤えんによる肺炎が起きやすいという。

  看護師への指導は、毎月1回3科の病棟のベッドサイドで行われる。中里委員長ら歯科医3〜4人が入院患者を診ながら、看護師数人に対し器具や保湿剤の使い方から、歯垢(しこう)や食べかす、舌苔(ぜったい)などの除去法を教える。

  9月下旬にも90歳代の脳梗塞(こうそく)の患者に対し、看護師数人が中里委員長らのアドバイスでスポンジブラシを使い口の中をきれいにした。

  歯科医による口腔ケアの指導について、野本由美子看護部長は「歯科医師による患者の観察、器具の使い方、技術などは大変勉強になります」と話す。

  この取り組みは、今年2月の県歯科医学大会(県歯科医師会主催)で発表され、市歯科医師会が最優秀の奨励賞を受賞。6月には市立病院の看護師が口腔ケア学会で発表、全国的に注目されたという。

  中里委員長は「口腔ケアは医療費の抑制にもつながる。今後は、指導を市立病院の他の科や退院後の療養施設などにも広げていきたい」と話している。【飯嶋英好】


2011年10月1日 提供:毎日新聞社