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平成21年度国民医療費比 歯科は7.1% 依然として減少傾向に歯止めかからず

厚生労働省(大臣官房統計情報部)は9月29日、平成21年度国民医療費概況として、国民医療費は36兆67億円、前年度の34兆8084億円に比べ1兆1983億円、3.4%の増加、そのほか「国民医療費」「診療別国民医療費」「年齢階級別国民医療」などを発表した。それによれば、人口一人当たりの国民医療費は28万2400円、前年度の27万2600円に比べ3.6%増加している。国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.60%(前年度7.07%)、国民所得(NI)に対する比率は10.61%(前年度9.89%)となっている。

医療費を診療種類別にみると、一般診療医療費は 26兆7425億円(74.3%)、そのうち入院医療費は13兆2602億円(36.8%)、入院外医療費は13兆4823億円(37.4%)となっている。また、歯科診療医療費は2兆5587億円(7.1%)、薬局調剤医療費は5兆8228億円(16.2%)、入院時食事・生活医療費は8161億円(2.3%)となっている。

対前年度増減率をみると、一般診療医療費:+3.0%の増加、歯科診療費:?0.7%、薬局調剤医療費:+7.9%となっており、さらに、診療種類別国民医療費及び構成割合の年次推移を確認すると、構成比率を注目すると歯科については、平成17年度:7.8%、平成18年度:7.6%、平成19年度:7.3%、平成20年度:7.4%、平成21年度:7.1%と減少傾向が続き、歯科界で依然から指摘している歯止めに至っていないことが明らかになった。その一方で、薬局調剤医療費に注目すると、平成17年度:13.8%、平成18年度:14.2%、平成19年度:15.0%、平成20年度:15.5%、平成21年度:16.2%と増加傾向が続いている。ちなみに、医科・一般診療所は、平成17年度:24.7%、平成18年度:24.6%、平成19年度:24.4%、平成20年度:24.4%、平成21年度:23.9%の減少傾向を示しているが、歯科に比較して鈍化である。

また、年齢階級別にみると、0〜14歳は2兆2595億円(6.3%)、15〜44歳は4兆8951億円(13.6%)、45〜64歳は8兆9042億円(24.7%)、65歳以上は19兆9479億円(55.4%)となっている。人口一人当たり国民医療費をみると、65歳未満は16万3000円、65歳以上は68万7700円となっている。そのうち一般診療医療費では、65歳未満が11万6800円、65歳以上が52万5500円となっている。歯科診療医療費では、65歳未満が1万7200円、65歳以上が2万9800円となっている。薬局調剤医療費では、65歳未満が2万6300円、65歳以上が11万1300円となっている。

歯科診療医療費を年齢区分すると、0〜14歳:7.7%、15〜44歳:27.1%、45〜64歳:31.7%。65歳未満:66.3%(平成20年度比?0.9%)、65歳以上:33.7%(平成20年度比+)であり、高齢者の医療費率がアップしていることが示され、反対に65歳以下の医療費が0〜14歳、15〜44歳、45〜64歳のすべての世代で微減少。歯科医療政策としても、中年世代の歯科診療所への受診喚起、高齢者世代のさらなる受診環境の整備が問われてくる。いずれにしても、国民医療費比において歯科医療費の減少傾向の歯止めは喫緊の課題である。こうした状況の中で、厚労省の平成24年度の予算概算要求でも明確に明記された新規・重点化項目である「在宅介護者介護者への口腔保健の推進」を含めた在宅歯科医療への取り組みが問われてくる。過日、成立・施行された「歯科口腔保健法」を追い風にできるかどうかがキーポイントなってくる。同時に、地区歯科医師会の会務活動にも課題が課せられているともいえる。

取材:奥村 勝氏 【詳しいプロフィールはこちら】
オクネット代表。明治大学政経学部卒業後、一般企業に就職。さらに東京歯科技工専門学校を経て歯科医院、歯科技工所に勤務。さらに日本歯科新聞社編集部記者、雑誌「アポロニア」(日本歯科新聞社)編集長、新聞「Dental Today」(医学情報社)編集長を歴任・・・
奥村氏
2011年10月8日 提供:Dentwave