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歯の衛生週間オーラルケア売場では

【寄稿】歯の衛生週間に合わせオーラルケア売場見直しを 文=佐竹正人
〈はじめに〉

 来月6月4日からは、「歯の衛生週間」です。オーラルケアについてお話します。オーラルケア商品は、当初は6月4日を「虫歯予防デー」と言っていたように虫歯予防がメインでしたが、昨今の高齢化社会になるに従って「歯周病ケア」に重点が移ってきました。歯周病(以前は歯槽膿漏と呼ばれていた)は、今では成人の3人に2人が罹っていると言われる国民病で、歯を無くす第一原因となっています。

 また、最近は女性を中心に健康美の一環として白い歯が注目され、ステインクリア(着色除去)の商品が登場し、オーラルケア売り場はストアにとって重要な売り場となりました。

〈歯ブラシ〉

 歯ブラシは、虫歯の原因である歯垢の除去がメインでしたので、ブラシの材質や毛の堅さの違いしかありませんでしたが、最近は歯周病対策として歯周ポケットに入りやすいブラシの毛先が細いものや、ワンポイント磨きに適した、ワンタフトやコンパクトヘッドなど、使う方の用途に合わせた商品が登場しています。

しかし、コンパクト歯ブラシでは磨き残しが増えたり、移動が多くなり、横磨きになり易く、時間ばかりかかって、急いで動かし、かえって雑に磨くことになります。

ビッグヘッドの歯ブラシが、2010年あたりから増えていて、目が悪い、手が動かしづらいなどの、歯ブラシの動かし方に問題を抱えた方でも、歯ブラシの毛先の量が多く、広い面積で当たるので、磨き時間の短縮や、移動が少なくなり横磨きもすくなく、磨き残しのない、安全な歯ブラシとして、人気になってきています。

 特に高齢者の方には、思うように歯ブラシを動かせない方もいらっしゃいますので、短時間で効率良くブラッシングできる音波振動タイプの電動歯ブラシをお勧めするのも良いと思います。、回転振動タイプは、歯の根本を削ったり、歯肉退縮を起こすので、使わないでください。

〈歯磨き〉

 歯磨きには薬事法による分類で主に口臭予防やステインクリア(着色除去)が用途の化粧品と、現在の売り場の大部分である表示に薬用と書かれた医薬部外品、そして医薬品があります。これらは虫歯や歯周病などの治療(キュア)ではなく、あくまでも予防(ケア)が目的ですので、使用は歯科の治療を受けながら使用していただく事が治療効果を上げる事になります。

着色を落とすタイプや歯を白くする、ツルツルになるなどプラーク除去を謳う歯磨き剤は、使いすぎると歯のエナメル質を削ってしまうので、一週間に数回程度を丁寧に軽く、磨くときに使いましょう。毎日痛必要はありません。着色は食後すぐのお手入れが出来ていれば、数日ごとの使用で、6ヶ月ごとに、クリニックで、衛生士さんに歯磨き指導を受けながら、クリーニングしてもらうのが、安全です。自宅で自己流ですと、10年後には、歯が削れたり、歯肉退縮など、問題を作ってしまいます。

自然素材の重曹、ハーブなどを含む歯磨き剤は、下水にも安全です。

 医薬品タイプの効能は、歯肉炎、歯槽膿漏の諸症状(出血、口臭、腫れ、発赤、歯茎からの膿、口の粘り、歯茎のむずがゆさ)の緩和になっており、現在は佐藤製薬の「アセス」と「三宝はぐきみがき」のみがブラッシングタイプで販売されています。あとは直接歯茎に塗り込むタイプとして、「デントヘルス」と「生葉薬液」があります。

しかし、原因菌である、歯周病菌や、プラークそのものを形成する虫歯菌などばい菌の繁殖を抑制する、原因除去としては、抗菌剤の、CHXや、ティーツリーオイル、ミントオイルを含むものは非常に効果的ですが、中程度以上の歯周病の方以外は使わないでも、タイミング良いケアが出来て、半年ごとのクリニックでのチェックアップが出来れば、問題はないでしょう。、

 勧めるポイントは歯周病の初期症状、つまり歯茎からの出血や口臭、口のネバネバ感などが発生した時に使い始めてもらいましょう。歯茎が腫れたり、膿が出たりした時は症状が進んでいますので、まずは歯科を受診していただき、治療をしながら使用していただく事が基本です。

 あと、歯の病気として増えつつあるのが知覚過敏です。原因はステインクリアなどや、回転振動型のブラウンなどの電動歯ブラシとか、自己流の雑なナイフ持ち磨きをしたり、コンパクトヘッド歯ブラシでの移動磨きの横の動きとか、過度のブラッシングや歯周病の進行により歯茎が下がり、歯の象牙質が露出して起こるといわれています。この知覚過敏に硝酸カリウムで歯の表面にバリアを作る歯磨きがあります。最近はこうした歯周病や知覚過敏に1個で対応できるマルチタスクな歯磨きが登場しています。

●高齢化に伴い義歯ユーザー増加傾向

〈マウスウォシュ〉

日常生活が忙しい方や、年齢が高くなってきて、交感神経が緊張している、ストレス下では、唾液の分泌が少なくなるので、ドライマウスという状態は、口腔内の細菌の繁殖がおおくなったり、粘膜が傷

 マウスウォッシュには、洗口液とデンタルリンス(液体ハミガキ)が存在します。洗口液はブラッシングできない時に口中の汚れを化学的に分解して除去することが目的で開発されました。洗浄が目的ですので、アルコールの含有もあり、少し刺激的な事が特徴です。使い方はブラッシングの代わりもできますが、最近は歯周病ケアの効果をあげるため、ブラッシングの後に磨き残した歯垢などを除去するために使用するようになってきました。この時のコツは、使用後口をすすがない事です。

 一方、デンタルリンスは、ブラッシングの前に口中の殺菌と歯垢を分解し、ブラッシングの効果あげて歯茎のケアをする事が目的です。さらに、歯垢の付着を防ぐ効果や歯茎の腫れを改善し、血行を良くする成分も配合されたトータルケアな商品となっています。歯周病の方には、ぜひ歯磨きと一緒に使用していただきたい商品です。

〈義歯ケア〉

 高齢者が増加するに従い、歯を無くして義歯をつける方が多くなり、3000万人に達にすると言われています。そのため、義歯をメンテナンスする義歯ケアの売上げも増加しています。商品には義歯洗浄剤と義歯安定剤があります。洗浄剤は就寝時の義歯を洗浄・殺菌するものです。安定剤は接着剤のように、義歯と歯茎を密着させるものです。

 接客のポイントは、安定剤には、水に溶けやすいクリーム・粉末タイプと溶けにくいクッションタイプがあり、これも使用する方の義歯の種類やニーズによって使い分ける必要があります。一般的には、部分入れ歯には、クリームタイプ、総入れ歯にはクッションタイプが合っていると思われます。

〈口腔ケア〉

 義歯ケアと同様、今後増加すると思われるのがドライマウス(口腔乾燥症)です。自覚症状としては、口が渇く、物が食べづらいなどが起こります。原因は加齢、病気による唾液腺の異常や自律神経症などがあげられます。こうした症状を緩和する商品が、口腔ケア商品です。商品としては、歯磨きやマウスウォッシュが販売されています。

〈最後に〉

 オーラルケアは、今後の高齢化社会のなかで今後まだまだ伸びて行く部門です。商品それぞれの特徴をしっかり理解して、患者さまのQOL向上に役立てるようにしてください。

◎佐竹正人 … ドラッグストア勤務

2012年6月9日 提供:薬局新聞