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フロアブルで、応用範囲がさらに拡大 たかがレジン、されどレジン

Dentistry report
新しい政府の顔ぶれが決まった。全体に名の知れた閣僚が多いなか、厚労大臣は初入閣の田村憲久氏(三重4区)である。医療担当副大臣は桝屋敬悟氏(中国ブロック)、政務官はとかしきなおみ氏(大阪7区)。その力量、見識は未知数だが、自民党における社労族の位置づけの低さをはしなくも露呈した人事となった。厚労大臣は、金融や外交、法務などの閣僚とちがって、口先では仕事にならない。年金、医療費、介護保険、生活保護問題、急増する失業問題などなど、どっちに転んでも正解のない難問に答えを出していかなければならない。正解がないということは、政治判断が求められるということに他ならないのだが・・・(秋)

日常の歯科診療において、現在もっとも頻繁に用いる材料は何でしょうか。トッ
プは、間違いなくレジン、なかでもコンポジットレジンがもっとも頻繁に用いられ
る材料でしょう。およそ歯質欠損にかかわる処置のすべては、コンポジットレジン
充填の適応症ですが、それだけではありません。支台築造、テンポラリー、ちょっ
とした隔壁などなど、フイラーを含まない接着性レジンにまで拡げれば、矯正用ブ
ラケットの接着やクラウンのセット、動揺歯の暫間固定、象牙質露出面の知覚過敏への対処など、その応用範囲はドクターの工夫次第で多岐にわたり、診療の手際のいいドクターは、例外なくレジンに長じているということになります。

コンポジットレジンは、その機械的性質と歯質接着性の向上によって、その応用
範囲がさらに一段と拡大しています。そしてさらに、シリンジから直接注入できる
低粘性のフロアブルレジンの登場によって、作業性が一段と高まり、その使い方次
第で、低侵襲(MI)診療の成否が決まると言われるほどです。臨床医にとって、た
かがレジン、されどレジンです。

歯科用レジンの開発では、わが国は世界に一歩も二歩も先んじているのですが、
低粘度のフロアブルレジンは当初、米国のビスコ社やカ一社によって市販されまし
た。初期のフロアブルレジンは、物性が低かったため主にライニングや咬合圧のかからない小窩洞の充填に限局されていました。しかし、ナノテクノロジーの導入やフィラーの表面処理技術の革新によって、いまではペーストタイプの物性を上回るフロアブルレジンまで登場するようになりました。

コンポジットのナノフィラー化は、フロアブルに限りませんが、フロアブルの物性向上に特に有利に働きました。フイラーの高い含有量を維持しながら研磨後の舌
感がなめらか、充填後に変着色が生じにくい、しなやかな弾性、窩洞への適合性などコンポジットの臨床的な機能を飛躍的に向上させました。

フロアブルで変わるコンポジットレジンの販売シェア

まず、フロアブルは、流動性の良さと透明度の高さが審美修復に高い関心をもつ臨床医を虜にしました。流動性の良さは、象牙質窩壁との間に薄い1層の下地をつくって隙間なくコンポジットを充填するのに適しています。エナメル-象牙境に沿って広がるアンダーカット部にも容易に緊密な充填ができます。透明度の高さのために、周囲の象牙質の色調と馴染みやすく(厚いエナメル質がある場合には、窩縁部にベベルを付与すると光が拡散して周囲歯質の色調と馴染む:カメレオン効果)、自然色調を容易に再現できます。かたちのつくりやすさ(高い賦形性) も魅力です。ひところ、ポーセレン並みのシェードガイドを揃えた審美修復用コンポジットが売り出されて話題になりましたが、レジンの色数をポーセレン並みに揃えることは無駄でした。健全な象牙質の残っているケースでは、賦形性の良さと透明度の高さこそが、自然な審美修復を可能にすることが明らかになりました。

インジェクタブルシリンジに入ったフロアブルレジンは、重量で比較すると割高
なのですが、操作性が良く無駄が出ない、作業効率が良いという特徴のために、保険診療で重視しなければならない時間的・コスト的な側面でもぺーストタイプをし
のぐようになってきました。

フロアブルは、ハイフロー、ミディアムフロー、ローフローに分類されますが、最近では流れのないタイプ、ノンフロータイプという商品まで登場し、その用途はますます広がっています。

フロアブルで変わるコンポジットレジンの販売シェア
(過去4年間のメーカー別コンポジットレジン1ヵ月平均販売数推移)

フロアブルで変わるコンポジットレジンの販売シェア

フロアブルで変わるコンポジットレジンの販売シェア

2013年1月 提供:ケーオーメール