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フッ素うがい、強い歯に 虫歯の少なさ4位(佐賀)

99年から呼びかけ

 フッ素の洗口剤は、日本では歯科医の指示で購入。左端は韓国のコンビニで売られている洗口剤 子どもたちの虫歯を予防するため、フッ素入りの水でうがいをする「フッ化物洗口」に取り組む自治体が増えている。うがいを行っている小学校を訪ねた。

 「それでは元気よく、ブクブクうがい始め!」。佐賀県神埼市の千代田西部小で、児童たちが音楽に合わせてうがいを始めた。

 フッ化物洗口用に作られた1分間の曲だ。まずは正面を向いてブクブク。「今度は右側」「次は左側」といったかけ声に合わせて、首を前後左右に傾けて、口の中に行き渡らせる。

 「歯のエナメル質にフッ素が作用して、虫歯になりにくい強い歯にしてくれる。ごく初期の虫歯も修復してくれます」と学校歯科医の江頭秀明さん(53)が説明してくれた。

 同小では毎週1回、金曜日の朝にうがいをしている。養護教諭が洗口剤を希釈して濃度0・2%の水溶液を作り、クラスごとのプッシュボトルに入れておく。担任がそれを教室に持って行き、児童のカップに10ミリ・リットルずつ入れていく仕組みだ。
 4年2組の益田歩実さん(9)は「ちょっと苦い感じがするけれど、虫歯にならないようにうがいをしてます」と、きれいな歯をのぞかせた。



 佐賀県は1999年から洗口実施を市町村に呼びかけてきた。3歳児の一人平均虫歯数が全国ワースト1位という不名誉な状態が続いたためだ。

 現在は公立小168校のうち166校が実施。幼稚園や保育園で約7割、中学校が3割強になった。希望しない家庭の子は水でうがいをするようにしている。

 文部科学省の2012年の全国調査では、佐賀県の12歳児の一人平均虫歯数は0・8本で、全国平均の1・1本を下回り、全国4位。九州・山口ではトップだ。

 日本では「フッ素を取りすぎると健康によくない」という意見もあるが、世界保健機関(WHO)は69年から「安全で効果的」として利用を勧めている。

 70年代からフッ化物洗口が普及した新潟県では、12歳児の一人平均虫歯数が13年連続で日本一少ない。厚生労働省は03年に指針を作成して洗口を推奨し、山口県や長崎県、熊本県、宮崎県も力を入れている。

 福岡県では、予防歯科の普及を目指すNPO法人「ウェルビーイング」(福岡市)が、幼稚園や保育園などで普及。フッ素の水溶液を入れるプッシュボトルやうがい用の歌「ブクブクキラー」のCDなどを開発し、販売している。

 福岡市の歯科医、中村譲治さん(64)らが73年に設立した「福岡予防歯科研究会」が、NPOの前身だ。「子どもの頃から上手な予防法を身につければ、将来にわたって歯の健康を維持できる。歯医者は怖いところではなく、定期検診に通う快適な場所になりますよ」と中村さんは話す。

2013年6月10日 提供:読売新聞