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歯の冷凍保存「ティースバンク」の活用法は?

歯を冷凍保存する「ティースバンク」では、冷凍保存した歯をどのように活用するのでしょうか。

再移植のほか、将来は再生医療に役立つ可能性があります。
歯の冷凍保存では、再移植をする目的でお預かりしています。
親知らず(知歯)は「奥歯」、小臼歯(通常前から4、5番目の歯)は「下の前歯以外」に移植できます。

ただし、医師法、歯科医師法では、抜歯と移植は同じ歯科医院(大学病院)で治療を行わなくてはならないという決まりがあります。

もし、抜歯した歯科医院が閉鎖したり、院長が交代したりした場合、抜歯した医院から紹介状があれば、紹介先の歯科医院(大学病院)で再移植を検討することが可能です。

その他の活用法としては、まだまだ実現されていませんが、歯の冷凍保存では歯根膜、歯髄、セメント質などの細胞を生きた状態で保管するため、再生医療の治療や検査に使用できる可能性があります。
夢の医療に使われるために生きた歯の細胞の冷凍保存は、意味深いと考えられます。
診査診断、および、血液検査を受けてから抜歯します。

歯の冷凍保存では、全国に250件ある協力歯科医院、または大学病院で下記の診査が必要です。
・保存したい歯が虫歯や歯周病になっていないか ・レントゲン写真やCT画像で、歯を支える骨の状態や歯の生え方に問題がないか ・歯を傷つけることなく抜歯ができるか

これらの診査をして、歯の冷凍保存と移植ができると診断されたあとは、C型肝炎、B型肝炎、水痘(水ぼうそう)などの感染症にかかっていないかを確認するため、任意の病院で血液検査を受けていただきます。
検査対象すべての項目が標準値、陰性であれば、「ティースバンク(広島大学病院矯正歯科内)」に同意書を提出して登録を行います。

これらのステップを踏んで、血液検査から半年以内に抜歯処置を行い、歯を冷凍保存して預けていただきます。

将来的に、虫歯や歯周病などで歯を抜く場合、抜歯をする前に「ティースバンク」にご連絡いただくと、預けた凍結保存歯を指定の歯科医院へ搬送、解凍して移植します。
歯の再生医療としてはとても簡単な方法です。
冷凍保存する歯や特定の持病があると利用できません。

歯の冷凍保存では、将来、自分の歯を移植することを目的にお預かりしています。

縦に割れた歯や歯周病の歯など、歯根膜(歯の根と歯を支える骨とをつなぐ靱帯=じんたい=のようなもの)が傷んだ歯は、移植しても歯槽骨(歯を支える骨)に定着しないため、冷凍保存しても意味がありません。

また、大きな虫歯、歯槽骨の状態、歯の生え方などに問題があるケースや、傷つけずに抜けない歯などもお預かりすることができません。

歯を抜く前にはB型肝炎、C型肝炎、水疱(みずぼうそう)などの感染症を調べる血液検査を行いますが、陽性反応がある方や次の持病がある方の歯はお預かりできません。
重度の全身疾患、糖尿病、腎臓病、骨形成不全、骨粗しょう症、血液疾患 放射線治療、喫煙者(ヘビースモーカー)、薬物・アルコール中毒 口の中の衛生状態の悪い方

2000年以降、冷凍保存歯の移植の成功率が急速に高くなりました。
現在では80%以上の確率で歯根膜が再生し、術後10年以上も歯槽骨に定着して機能しています。

指導・監修
河田 俊嗣(かわた としつぐ) 神奈川歯科大学 口腔科学講座 歯科矯正学 教授

医科歯科通信記者

2013年11月29日
提供:河田 俊嗣 神奈川歯科大学 口腔科学講座 歯科矯正学 教授
医科歯科通信記者