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“発行1ヶ月で3版”書籍:歯学博士・長尾周格著「歯医者が虫歯を作っている」


“発行1ヶ月で3版”書籍:
歯学博士・長尾周格著「歯医者が虫歯を作っている」

 歯科界の転換期を示すように、歯科医師自身が一般国民向けの書籍を出版するケースが目立ってきている。その中でも、購読したくなるような書籍が、2014年3月4日初版⇒同4月2日3版というように、発行1ヶ月で3版という売れ行き好調な書籍が歯科医師・長尾周格氏が著わす「歯医者が虫歯を作っている」(発行:株式会社三五館)である。帯には「なぜ、日本人の95%に虫歯があるの?」と書かかれており、興味をそそるタイトルになっている。さらに、次にように歯科の常識に疑問を投げかけて関心を集めている。「歯磨きはむし歯を予防する」「フッ素はむし歯予防に効果的」「歯磨き後にはマウスウォッシュ剤を」「歯間ブラシでプラークコントロール」「むし歯はむし歯菌、歯周病は歯周病菌が原因」「よく咬むことが不正咬合の予防になる」「定期検診でむし歯予防する」など。こうした指摘を踏まえて、「間違いだらけの歯の常識で日本人はむし歯だらけ」としている。

 自称”常識破りの歯科医”としているだけあり、「歯が悪くなるほど儲かるのは誰」「歯周病の本当に理由」「歯並びは母親の栄養状態で決まる」「むし歯も歯周病も無い人たち」など内容は多岐にわたり持論を展開している。近年、重要視されている「メンテナンス」に関しても”サプリメント”"血液・尿検査”"インプラント”などに言及しながら、あるべき「メンテナンス」を紹介している。

 歯・歯周病の治療の歯科治療それ自体の不適切・不備によるもとの、歯科治療を規制・制約する保険制度によるものがあるとしている。まさに、歯科医師による歯科治療がさらに歯科疾患を生むという意味での”歯科医原病”があると強調している。

 著者の主張の中で、学術手的な論点だけでなく、日本の歯科医療の実態として「日本の保険歯科医療においては、治療に不備があっても歯科医師にその責任が問われることは無く、むしろ再治療になればなるほどさらなる治療が必要となり、治療費が入ってくることで医院の経営が潤うシステムとなっています」「このようなシステムである以上、保険の歯科診療において、”適切な”治療を受けることは非常に困難です。患者さんの多くは保険診療で適切な歯科治療が受けられると信じていますが、歯科医療関係者の多くは、保険でまともな治療が受けられるわけがないと知っています」と、”出来高制度”"保険制度”の問題を指摘し現状を広く国民に知ってほしいとの思いを示している。この点は、今までも歯科界で議論されてきた課題あるが、これこそ患者に理解してほしいと位置づけている。

 内容への評価は読者に委ねるが、予防歯科的食生活改善法の基本として「先住民食」を強く主張し、国民に訴えている。基本的に現在の歯科治療を批判しているが、専門家である歯科医師から異論が出る論調もあるが、問題提起、歯科界に一石を投じる意味はありそうだ。著者は1973年生まれ、北海道大学歯学部卒の気鋭の歯科医師であり、自らの経験か、確信した真の歯科予防方法を本書にまとめたものといえる。社会へのデビュー作としている。

2014年5月1日 提供:奥村勝氏