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日本歯科医師会が全国調査を公表:”歯科医療に関する一般生活者意識調査”

日本歯科医師会が全国調査を公表:”歯科医療に関する一般生活者意識調査”

■受診の動機は、痛みやはれ、出血、過去の治療箇所の不具合

歯科受診のきっかけとして多かったのが、「痛み・はれ・出血があったから」(36.7%)、「過去の治療箇所の不具合が生じたから」(27.4%)というものであった。生活者の多くが「具体的な痛みや症状を実感したら受診をする」という傾向は前回調査時から変わってはいないが、今回は「定期的に通う時期だったから」が2割を超え、口内の病気予防や健康チェックのために受診する人が増える兆しが見られる。

■8割以上が、歯や口内に異常を感じながらも治療をしていない

回答者10,000人のうち、半数以上が「歯や口腔に異常を感じている」(55.0%)と回答している。しかしながら、異常を感じている人でも現在治療を受けている人は2割にも満たない(18.4%)状況にある。

■受診を自己判断で決めている人も

歯科治療を中断、または受けていない理由では、「悪いところがないから」(42.3%)、「治療が終了した、病気が治ったから」(33.8%)、「痛みを感じるなど、ひどい状況ではないから」(18.9%)などの回答が上位を占めている。自己判断によって治療を受けていないケースも多い。

■かかりつけ歯科医がいる割合は6割以上

約66%の人に「かかりつけの歯科医がいる」ことが分かった(65.8%)。男女とも、年齢が上がるとともにその割合は増える傾向にあり、70代においては約85%になっている(男性: 84.6% 女性:85.3%)。かかりつけ歯科医を選ぶポイントとしては、通院に便利な場所(自宅の近所、通勤・通学の途中)という「立地」を重視している人が多く(59.1%)、次いで「技術力」(22.6%)、「歯科医師が信頼できる」(17.3%)が挙げられている。

■4人に3人は治療に満足。決め手は「丁寧」「スタッフの対応」「時間通りの診療」

歯科治療経験のある9,647人のうち、4人に3人にあたる約75%が治療に満足していると回答している(74.5%)。「治療の丁寧さ」(44.1%)、「スタッフの対応の良さ」(39.5%)、「時間通りの診療」(39.5%)、「治療方法の分かりやすい説明」(30.2%)などが満足度の決め手となっている。技術力はもちろん、きめ細やかなサービスも患者の満足度を左右する上で重要なポイントとなっている。

■「技術力」「治療費」「痛みの軽減」に加え、「治療期間の適切さ」や「治療内容のわかりやすい説明」も期待

生活者が歯科医師・歯科医院に期待していることは、「治療技術」(59.7%)、「治療費負担が低いこと」(54.9%)、「痛くないこと」(47.3%)が上位に挙げられています。さらに、「治療期間・回数の低減」(38.5%)、「治療内容の分かりやすい説明」(36.9%)なども期待している。

■歯科医療に対する生活者の関心度は非常に高いが、詳しく知っている人は少ない

歯科医療について、生活者はさまざまな関心を寄せている。「歯並びやかみ合わせの悪さが歯の病気の原因となる」(87.7%)、「歯科疾患と全身の病気との密接な関係」(85.4%)などの事柄に対する関心度は85%を超えている。
また、認知度も、「歯並びやかみ合わせの悪さが歯の病気の原因となる」は87.9%、「歯科疾患と全身の病気との密接な関係」は76.7%と高くなっているが、いずれも、「聞いたことがある程度」で、「詳しく知っている」の割合は1〜2割にとどまっており、詳しく理解している人が少ないことが明らかになった。
また、歯科疾患と全身の健康との関わりについても、「歯周病」と「低体重児出産や早産」「気管支炎」「血糖値を下げる妨げ」「脳卒中」へ影響を及ぼすことについては6〜7割が「全く知らない」としており、歯科疾患と全身の健康の具体的な事柄に関して知られていないことが明らかになった。歯科疾患と全身の健康との関わりについては、今後ますます認知や理解を広げていくことが課題と考えられる。

■歯科医師会からは日常の基本的な口腔ケアに関する情報が求められる

歯科医師会から欲しい情報は、「歯や口の中の主な疾病とその予防方法」(46.2%)、「歯の正しい磨き方」(40.3%)など、基本的な日常の口腔ケアに対する情報が求められている。また、20・30代は「正しい歯の磨き方」、女性20・30代は「子ども向け歯の手入れ方法や予防方法、食育」、60代以上の高齢者は「高齢者向け歯の手入れ方法や予防方法、介護予防、歯と健康長寿の関係」、「義歯やブリッジなど治療した歯の日ごろの手入れ方法」を求める人が多くなっており、年齢層によって求められる情報は異なっていることが明らかになった。

以上の調査結果により、日常の検診・健診や定期的なチェックへの意識は上がってきているものの、実際の治療率は低く、また歯科疾患とそれが及ぼす全身への影響についてきちんと理解している人は少ないという実態が明らかになった。

引用:奥村勝氏 DENTWAVE 2014年6月26日(木)
更新日:2014年7月2日