糖尿病患者、年間8%が受診中断 失明・突然死の恐れも
新潟大南野徹教授らがメカニズム解明、米誌に発表
糖尿病患者で受診を中断してしまう人は年間8%で、約22万人にのぼるとの推計を厚生労働省研究班がまとめた。治療を勝手にやめると、自覚しないうちに病気が進んで失明や足の切断、突然死につながりかねない。研究班はかかりつけ医に向け、中断を防ぐ手引書をつくった。
大阪市で開かれた日本糖尿病学会で24日発表した。全国11地域の医師会の協力を得て2009〜10年、生活習慣が原因とされる2型糖尿病患者約2200人(40〜64歳)を調査。予定された受診日から2カ月の間に来院しなかった人を受診の中断として集計すると8・2%が該当した。厚労省の患者調査(11年)の受診者数にあてはめると約22万人になった。
中断の理由は「仕事で忙しい」や「体調がよい」、「経済的に負担」が多かった。手引書は、多忙な患者への受診時間の配慮や知識の啓発、価格の安い後発医薬品の使用の検討などを勧めた。電話や郵便物、メールなどで受診を促すのも「有効な手段」とした。
厚労省の推計では、糖尿病患者は約950万人(受診していない人を含む)。糖尿病は進行すると、視力が落ちる網膜症や足の切断につながる神経障害、腎不全に陥る腎症などが起きる。
研究代表者の野田光彦・国立国際医療研究センター糖尿病研究部長は「気付かないうちに血糖値が上がって合併症が進むことはしばしばある。継続的に受診してほしい」と話す。(武田耕太)
引用: 朝日新聞 2014年5月25日(日)