生活習慣病予防に一役


精神疾患の1つ統合失調症になると、筋道立てて考えてから行動をとることができなくなっていく。幻覚や妄想などに悩まされることがあるほか、意欲や集中力の低下、感情が乏しくなるなどの症状が出ることも。記憶力の低下といった認知障害が出る場合もある。

統合失調症は中枢神経の発達異常が原因と考えられており、思春期や20代に発症することが多い。世界で100人に1人がこの病気にかかっているとされる。男女差はない。国内患者数は約70万人でうち約21万人が入院治療を受けている。

精神科の医師が患者に面談し、幻覚や妄想などの症状を基に診断する。症状が最低6カ月続き、仕事や学業など社会機能に顕著な低下がみられることが診断の条件だ。ほかの内科疾患が原因でないかどうかも調べる。

抗精神病薬や抗不安薬を使った治療をすることが多い。3分の2程度の患者で改善がみられる。副作用は筋肉の硬直やふるえなど。途中で治療をやめると「再発する可能性が高いので長期間続ける意志を持ってほしい」と日本大学医学部の小島卓也客員教授は語る。 


総合失調症の主な症状

陽性症状 妄想や幻覚(幻聴)のほか、会話にまとまりがなくなる思考障害、奇異な行動が現れる
陰性症状 感情の動きが乏しくなり、周りに対して無関心になるほか、意欲が低下する
認知障害 集中力や記憶力、生理能力が低下し、本が読めなかったり、指示通り行動できない

(注)3種類のすべてに該当する人もいれば、
いずれかに1−2種類の症状だけの人もいる


2006.4.9 日本経済新聞